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2006年1月27日 (金)

File.12 シネコン~その革新性

昨日に引き続き、WMCのオープンとシネコンがもたらしたものをご紹介したいと思います。前回は上映作品構成のことについて、今回は映画館としての革新性をご紹介します。

シネコンには複数のスクリーン(劇場)が備えられています。シネマコンプレックス=複合型映画館と呼ばれる所以でもあるわけですが、これを活用することで1つの映画館で複数の作品をラインナップすることが可能となりました。スクリーンが6つあれば、最低でも6作品を同時に上映できますし、上映時間帯をずらすことで1スクリーンでさらに複数の作品を上映することも可能です。たとえば同じスクリーンで昼間はファミリー向け作品の上映、夜は大人向け作品というようなかたちです。スクリーンはそれぞれ小規模館~大規模館と定員数を変えて建設されており、人気作は定員の多いところで上映するなどフレキシブルな運営ができるようになっています。

WMCで画期的だった点のひとつに最先端の上映設備が挙げられます。従来の映画館と比較して同じ定員数でもより大きめなスクリーンを導入し、段差のあるスタジアム形式座席配置で観客の頭が映像に被るようなことはほとんどなくなりました。大きめで座席間隔の広いシートは大柄な人でもラクチンで、人間工学を取り入れた身体にフィットする形状も好評を得ました。ドリンクホルダー装備も当時としては珍しかったようです。
劇場内は不要な光の反射を抑えるためにグレーの色調で統一。それまで一般的だった音の反響を利用する構造から脱却し、残響を抑える構造を採用しています。吸音壁によってクリアで残響特性の優れた環境を実現しました。そのうえで最新のデジタル音響設備(SRD、dts、SDDS)に対応して、未体験の音響空間が味わえるようになりました。

WMC海老名で最大の定員数の7番スクリーンは日本初のTHX認定シアターとしても著名で、優れた音響と映像は多くの観客の心をつかみ、遠方から訪ねてくるお客様も現れるほど革新的なものだったのです。THXの詳細についてはいつか言及したいと思います。

大型売店の設置も画期的でした。出来立てでアメリカンサイズのポップコーンとドリンクをはじめ、ホットドッグやナチョス、お菓子にアイスクリームといった幅広い商品ラインナップは映画館で食を楽しむという新たな側面を生み出しました。
チケット売場を1ヶ所に集約した発券システムで立ち見なしの定員入れ替制を採用したのも新しいポイントです。後にこれが全席指定制へと発展します。広いロビーはコーポレートカラーである青色基調でまとめられ、テレビモニターで予告編を常時流すという演出も目新しいポイントでした。

スクリーンを同じフロアに並べることで、映写室も集約され効率よく上映ができるのも特徴のひとつです。WMC海老名の場合別フロアにある7番スクリーン以外はすべて1部屋の映写室でつながっていて、少人数で上映ができるように設計されています。
シネコンは集約することを突き詰めていった劇場形態であり、結果的にコスト削減と合理化を目指したものであるともいえます。同時に、従来の映画館とは一線を画する高品質な上映設備を装備することで映写品質の向上にも貢献しました。しかし残念なことに、シネコンの成功がさらなる既存館の閉館へとつながっていくことになります。


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