File.16 浅草から封切館が消えた
東京浅草。かつては日本有数の歓楽街で、浅草寺の門前町として発展した下町。現在は歓楽街としてよりも、下町情緒を活かした観光地として人気を集める街。かつては数十軒の劇場と映画館が軒を連ねた浅草から、ついにロードショーの灯が消えます。松竹と東映の撤退後、最後まで営業を続けていた浅草東宝が本日をもって42年間の歴史に幕を下ろしました。
日本で最初に常設の映画館が建設されたのは浅草とも言われ(1903年に出来た電気館)、映画街としてならした街から映画館が消えていきます。これも時代の流れ、レジャーの多様化といえばそれまでなのですが、ファンの支持も厚かった劇場だけに惜しまれるところです。
浅草東宝の特徴が週末恒例のオールナイトプログラム。過去の東宝名作品4~5本の一挙上映は人気があり、固定ファンもついているほどでした。映画のプリント(フィルム)は映画館が保有しているものではなく配給会社から借り受けるシステムのため、旧作の上映はそう簡単にできるわけではありません。配給会社の倉庫から作品を手配し、それが上映に耐えうる状態のプリントでなくてはならないわけです。このため古い作品だと特に手間がかかるもので、公開中の映画を上映するほうが実は楽なのです。大晦日にはクレイジーキャッツ関連作品上映が特に人気を集めました。
浅草の近辺にシネコンはありません。しかし、至近に映画街の有楽町・日比谷があるうえ、新しく開通したつくばエクスプレス沿線にはシネコン出店計画があります。さらに、浅草東宝の運営会社である東京楽天地が、TOHOシネマズと共同で目と鼻の先の錦糸町に新たなシネコンを計画、MOVIXも亀有に新館を建設中です。
浅草の映画館減少は郊外に広がるシネコンの普及も一因ですが、浅草で映画を観るという観客自体が少なくなってしまったのが大きいようです。劇場のコメントとしては「設備の老朽化と観客数の減少」が閉館理由とのこと。
浅草に残る映画館はあと三館(別に成人劇場が二館)。いずれも名画座です。
浅草東宝の最終封切作品が『ALWAYS 三丁目の夕日』となったことは感慨深いものがあります。最終日までの四日間は歴代ヒット作品の特別リバイバル上映で、今日の最終上映作品は『東京オリンピック』
と『日本沈没』
の二本立て、500円。575席のシートにお客様が座るのもこれが最後。
さようなら、浅草東宝。
| ぼくの浅草案内 著者:小沢 昭一 |
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コメント
はじめまして、月夜野さん。
TBありがとうございました。
ブログ拝見させていただきました。
そうですねー!とってもさびしくなります。
わたしにとって、
浅草でお気に入りの映画館であり、
併設していたボーリング場でも遊んだ思い出
がいっぱいです。
週末にオールナイト上映される映画館という
ことでも楽しませてもらいました。
六区通りもなつかしい景観が少なくなって
きたのが残念です。
このなつかしいロケーションを忘れないよう
にしっかりと目に焼きつけてきました!
これからもよろしくお願いします。
また、おじゃまします。
投稿: 下町ウォーカー | 2006年2月 1日 (水) 15時12分
下町ウォーカーさん、ご来訪ありがとうございます。
昔ながらの施設や親しみのある場所が消えていくのは寂しいですね。浅草東宝劇場は場所も良いし、それなりの規模を持つ映画館だったので無くなるのは残念な限りです。
今後の浅草の変化も見ていきたいと思います。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年2月 1日 (水) 22時06分
初めましてこんばんは。
TBありがとうございました!
映画館サイドからの記事、とっても興味深いです。これからちょくちょく覗かせていただきますね~。
親戚が浅草にいたので中学時代まではよく行ったのですが、高校以後は行かなくなってました。そんな私を十数年後にまた浅草に通わせたのが浅草東宝さんでした。そうかぁ~~、浅草で唯一の封切り館だったんですよねぇ。シネコン流行りの風潮の中、こういう昔ながらの劇場は貴重だと思うんですがやはり経営維持はむずかしいのでしょうか・・・・・。
マルベル堂に寄ったついでに、今度は名画座3館に入ってみようかなと思ってます♪
投稿: ふぁぶ | 2006年2月 1日 (水) 22時31分
ふぁぶさん、ご来訪ありがとうございます。
浅草東宝はふぁぶさんのように固定ファンが多かったようです。ブログでも多数のファンが惜しんでいるようで、映画館として幸せな最後だったと思います。残念ではありますが…。
シネコンが一般的になった現在、既存館は大変です。時代の流れですが寂しいものはありますね。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年2月 1日 (水) 22時48分
こんばんは、おやすみなさいと申します。
トラックバックありがとうございました。
昨日の閉館最終上映を観てきたのですが、なんだかがっくりきました。大井武蔵野館、自由が丘武蔵野館、そして、昨年年末の倉敷東映と、好きだった映画館の閉館上映を追ってきたのですが、浅草東宝の閉館を知ったのがつい数日前で、全く心の準備ができていませんでした。あれだけ席数の多くて旧作を上映してくれる映画館は、もうないわけですね。緯度0も、獣人雪男も、もう2度と観られないのかも....
投稿: おやすみなさい | 2006年2月 1日 (水) 23時42分
おやすみなさいさん、ご来訪ありがとうございます。
フットワークの軽さ、驚きます!
武蔵野館といえば中野武蔵野ホールやロードショー館でもある新宿武蔵野館も閉館してしまいましたね。本当に悲しい限りです。
倉敷東映は先般、当サイトの「File.6 全席指定制のメリット」コメント欄でも書かせていただきました。精力的な興行をしている劇場でしたね。
映画館がなくなると同時に、映画館で見られる旧作がなくなるのも寂しいです。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年2月 2日 (木) 01時13分
はじめまして。
TBありがとうございました。
(こちらからも送らせて頂きました。)
浅草東宝がなくなったのもショックだったんですけど、よく行っていた上野セントラルもなくなって、かなりショックを受けました。
自分の映画ライフが何だか変わってしまいそうで・・・
浅草東宝はあの玄関?(1・2F)のレトロ具合が好きでした。浅草は別の目的でよく行ってたんですけど、今思えばもう少し浅草で映画を見ても良かったなぁ・・・と思います。今更ですけど。。
投稿: aju | 2006年5月21日 (日) 08時57分
ajuさん、ご来訪およびTBをいただきありがとうございます。
浅草東宝はレトロかつシンプルな面構えが魅力的でしたね。上野セントラルほどゴテゴテしてなくて・・・。無くなってから思うのですが、こういう旧作特集を組んでくれる中規模映画館は無くなってしまったなって思います。
映画館は映画を見せるだけでなく、人々の映画体験を記憶に残す記録装置でもあると思います。浅草東宝や上野セントラルでの映画体験が、多くの人の心に残っていけばいいですね。
現在、拙サイトで上野セントラルと同じ日に閉館となった新宿ピカデリーの特集をしておりますので、ぜひこちらもご覧くださいませ。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月22日 (月) 05時05分