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2006年1月21日 (土)

File.7 映写窓からこんにちは

漆黒の場内に向かって映写窓からのびる、ひとすじの光跡。カタカタ・・・と響く映写機の駆動音。ノスタルジックな映画館の光景です。映画館で上映される映画は、映写室にある映写機を使って投影されていますが、この映写室と場内との間は映写窓に設置された窓ガラスで仕切られています。

この窓ガラス、ただのガラスではありません。ガラスというものは透明なようでもわずかに光を反射する性質を持っており、光学用途に用いるには光の透過率を向上させることができるかが重要です。カメラや眼鏡のレンズはもちろん撮影用フィルターなども同様に、より明るくより自然な光学特性が求められてきたのです。
映画を上映する際は、スクリーンと映写機の間に1枚ないし2枚の映写窓用のガラスが介在します。当然、映写品質に影響の少ない高精度・高品質なガラスが使われ、性能面では透明性、透過性、安定性、堅牢性が重視されます。透明でないと映像に不要な色が被りますし、透過性が悪いとガラス面で余計な光の反射が生まれて映像品質に影響して映像も濁ります。映写用窓ガラスは透過率99%以上のものがベストです。極めて照度の強い映写ランプの光を受けるため安定性も大切です。

映写ガラスを2枚用いるのには理由があります。これは映写機の駆動音がなるべく場内に漏れないようにするための配慮です。映画の静かなシーンで映写機の音が丸聞こえでは集中できませんよね!?最近の映画館ではとくに場内の静寂を保つために多くの最新技術が導入されており、映写二重ガラスもそのなかのひとつです。映写窓は映写室側の開口部が狭く、場内側が広くなるように設計されます。こうすることで、映写室内の余計な照明が場内に差し込むのを防ぐとともに、映写室からスクリーンを見渡しやすいようにしているのです。同じ理由で映写室内は壁面が黒い色で統一されていることが多く、最近では場内も光の反射を防ぐために黒やグレーのカラーリングがなされていることが多くなっています。映写窓が1枚の場合は遮音性が劣るので、映写機周りの壁面に吸音材を使用するなどの対処がされます。

最新のデジタル上映用の映写機に対応するために、映写窓が横長(または2面)の劇場もあります。従来のフィルム映写機の隣にデジタル映写機を設置するスペースを設けているわけです。ただし、シネコンではフィルム映写機は通常は1スクリーンにつき1台ですが、単館だと1スクリーンにつき2台の映写機で上映を行うところもあり、この場合は最初から横長(または2面)の映写窓を装備しています。


二重ガラスの映写窓

余談ですが、映写室と場内の間には防火シャッターか防火板の設置が法令で義務付けられており、火災の場合には映写窓にシャッターが降りてくるようなシステムになっています。現在のフィルムは発火することはありませんが、安全保護上こういった設備になっています。

普段は気にされない方も、たまには映写窓をのぞいてみてはいかがでしょうか?なにか新しい発見があるかもしれませんよ。

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コメント

こんばんわ☆
mixiの「はと」です♪♪
月夜野さんのサイト、興味深々で
このコメントを書く前からずぅっと見入っていました(´∀`*)

うちの劇場の映写窓の周りの吸音材、なんかもうボロボロになって黒い布から綿がこぼれて大変です(笑)
会社は特にいじらないようなので、私がガムテープなんかで押さえてたりしていますw

「火災の場合には映写窓にシャッターが降りてくるような」

そういう仕組みだったんですか!
私初めて知りました!
いろいろ勉強させてもらっています♪

また来ますね☆

投稿: はと | 2007年4月 1日 (日) 01時59分

はとさん、こんにちは。

映写窓も映画館ごとに個性があるんですよ。ガラスの枚数やブランド、吸音材・ガラスアングルの有無、間口や奥行きの広さ…などなど。その違いは多種多様で本当に面白いです。

地味すぎて観客はもちろん映写スタッフですら気にしないような設備なんですが映写窓は非常に重要なのでここに配慮がある映画館は個人的には印象が良いです(笑)。

ボロボロですか…グラスウール丸出しになりつつあるのでしょうか(笑)。グラスウールは設備用にブロック形のもの(画像に写っていますね)があるので酷いようなら取り替えたほうがいいですよ。必要であるからそこにあるものなので。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: 管理人:月夜野 | 2007年4月 1日 (日) 02時57分

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