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2006年1月19日 (木)

File.3 全米No,1大ヒットの謎

映画の宣伝でよく見かけるキャッチコピーのひとつに「全米No.1」があります。話題作を宣伝するうえでの常套コピーですが、この宣伝文句を疑問に思っている方も少なくないと思います。そう…

やたらNo.1作品をかたる作品が多いのです。

なぜNo.1作品が濫造されてくるのか。このキャッチコピーはどのような根拠で生まれてくるのか。今回はこのへんのカラクリをご紹介したいと思います。

日本では映画の公開は土曜日となっているのが通例です。映画館にとっての週始めは土曜日といっていいでしょう。作品を送り出す配給会社にとってこの土曜日初日の観客動員数は非常に重要もので、その映画のヒットを左右する数字でもあります。これはアメリカでも同様で、全米興行成績は金曜日~日曜日の三日間で集計されることが多くなっています。この三日間の成績が日本での宣伝内容にも大きく影響してくるのです。

たとえば、「初登場No.1」なら、初日の動員数だけがNo.1でもコピーに偽りはありません。「オープンニング成績No.1」も同様です。つまり、ほんのわずかな期間でもNo.1になれば堂々とこの黄金文句を使うことができるわけです。翌日にはランキング圏外に去っていった不発作品にもNo.1が冠せられる理由はここにあります。そのため、具体的にどういった事柄に対してNo.1なのかを確認しないと観客としては信憑性がありません。

映画業界にとってオープニング成績は重要ですが、最も大切なのは興行ランキングにおけるロングラン記録です。実は、「全米No.1」というコピーは日本での期待が薄い作品や話題性の乏しい作品に使われることが多いようです。そりゃそうですよね、『スター・ウォーズ』や『タイタニック』という超話題作であれば、実際に全米第一位だったとしてもわざわざそのことを喧伝しなくてもお客様は集まりますから(笑)。配給会社としてはできる限りロングランをしてほしいと思うのが本音なので、売りの少ない作品にはこぞってこのコピーが付けられることになります。「○週連続No.1」なら作品の人気を具体的に示したコピーといえるでしょう。

逆を言えば、たとえ第一位にならなくても、ずっとランキングに残っている作品や公開から日数が経ってから再び上位に食い込んでくるような作品は注目作品ともいえます。現在、シネスイッチ銀座でリマスター版が公開されている『ニュー・シネマ・パラダイス』は単館公開のため興行成績こそ地味でしたが、公開期間40週間という驚異のロングランを達成しています。真のNo.1はこういった作品にこそふさわしいものなのかもしれません。

ニュー・シネマ・パラダイス ニュー・シネマ・パラダイス

販売元:角川エンタテインメント
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