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2006年3月12日 (日)

File.37 新宿松竹会館が建替え

3月6日、松竹にとって長年の懸案だった新宿松竹会館の建て替えが公式に発表されました。新宿松竹会館は新宿ピカデリー1を中心として4つのロードショー館を有し、松竹東急系丸の内ピカデリーとチェーンを組む日本有数の大劇場施設です。1958年10月に新宿松竹・新宿名画座・新宿スター座としてオープンして以来、松竹における東京都心西部の看板劇場として47年間親しまれてきました(ピカデリーの名称は1962年より)。

人気百貨店の伊勢丹新宿店と隣接していることもあってか、新宿のロードショー館としては女性客が多いのが特徴。1階部分はハンバーガーショップになっていて、お昼時には女性客で賑わいを見せます。お昼休憩をここでとる伊勢丹従業員の姿も珍しくありません。建物構造は斜面に立地している関係で1階部分は南北にかけて階段状に設計されており、劇場施設としては珍しいです。
女性専用トイレの新設、シートの入れ替えやロビーの改装などリニューアルが続けられてきましたが、老朽化により今年から2年がかりで建て替えられることになりました。

新宿松竹会館のメイン劇場は新宿ピカデリー1。座席数820席(改装前は1154席)で三階席も有する大劇場です。スクリーンサイズは7.1m×12.6m(ビスタ時)、7.1m×15.35m(シネスコ時)で、非シネコン館ながら大きなものを装備しています。高い天井と広いロビーを持ち、昔ながらの「大きな映画館」の魅力を感じさせます。

さて、冒頭に「4つのロードショー館」とご紹介しましたが、オープン時の劇場数は先述の通り3館でした。あとの1館は後になって新設されました。これこそが映画館ファンにその名を知られる新宿ピカデリー4です。
新宿ピカデリー4は、映画館とは別に存在していた
雀荘を改装して作られた、いわくつきの劇場です。

大劇場の風格を醸し出す新宿ピカデリー1に対し、新宿ピカデリー4は座席数44席、スクリーンサイズはロードショー館としては恐らく日本最小クラス1.1m×1.8m(ビスタ時)、1.1m×2.4m(シネスコ時)。場内は低い天井と完全にフラットな床で見事な閉所映画館に仕上がっています。殺風景な通路の奥にある狭隘なモギリ台がピカデリー4の入口となっていてロビーなんてものはありません。トイレも事務所兼用で風情が感じられます。
ご近所にあるミニシアターの新宿武蔵野館(旧シネマ・カリテ)も小さい映画館ですが、ピカデリー4はさらに小さい。同じくらいの座席数で比較するとこれもミニシアターですが、大阪市のテアトル梅田2(60席)でも
スクリーンは2.20m×5.10mあります。
新宿には小ぶりなロードショー館が乱立していて、他にも新宿文化シネマ3(62席)、新宿文化シネマ4(56席)、新宿東映パラス3(48席・閉館)といずれ劣らぬ猛者揃いです。

最近では大型テレビの価格が下がり、一般家庭でも比較的容易に大画面を楽しめるようになりました。ピカデリー4の1.1m×1.8mというスクリーンサイズはテレビ画面に換算するとだいたい80インチです。80インチ…、ホームシアターを構築する方にとっては決して大きな画面サイズではありません。薄型テレビでいちばん売れている37型より2倍少し大きい程度。そのくらい慎ましやかな大きさの映画館なんですね。
ピカデリー4は映写室がないも特徴です。ほとんどの映画館では観客の頭上後方から映写しますが、ここはリア・プロジェクション方式といってスクリーン裏から映写をしています。これは映写室を設けるスペースがないときなどに採用される珍しい方式で、スクリーンにサウンドホール(スクリーン裏のスピーカーのために音を透過させる極小の穴)がありません(新宿東映パラス3も同様でした)。

  
大劇場と極小劇場の対照的な2館

併設の他館も個性があって、左前方部がひしゃげた座席配列の新宿ピカデリー2と劇場の前側半分から左後方が押し狭まれた新宿ピカデリー3も良い味を出しています。

ピカデリー4では場内に入った瞬間に「小さっ!!」と、思わず感嘆(?)の声を上げる観客も名物の一つです。座席に座ると前の人の頭で小さなスクリーンが隠されてしまうのもお約束。快適な鑑賞ができる映画館ではないものの、なぜか観客同士の連帯感を感じる不思議な映画館でもあります。小さな小さな映画館だからでしょうか、他の観客と同じ体験を共有している、運命共同体のような気持ちを味わえることがあるのです。これこそ、家では味わえない劇場ならではの醍醐味ともいえるのではないでしょうか。

新しい新宿松竹会館の劇場施設概要はまだ発表されていませんが、現在のピカデリー1ほどの大劇場は造られないと思われます。シネコンは高品質な上映設備で快適な映画鑑賞を楽しめて良いのですが、大劇場が消えていくのは時代の流れとはいえ寂しい感じがしますね。もっとも、ピカデリー4のような劇場も今回はきっと造られないはずですが…!?
お隣の伊勢丹会館も再開発が予定されているので、近い将来にこのあたりは一変するかもしれませんね。

新宿松竹会館(仮称)再開発概要
【所在地】 東京都新宿区新宿3-15
【敷地面積】 1,611.13㎡(487.36坪)
【投資額】 60億円
【計画規模】 地上12F、地下2F 
【スケジュール】 平成18年6月解体開始、平成20年9月竣工(予定)
【スクリーン数】 10スクリーン(予定)
【座席数】 2,260席(予定)
【駐車台数・駐輪台数】 56台・80台(予定)
※ マルチプレックスシアター使用フロアーは3F~12Fとなり、その他フロアーは貸し店舗

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コメント


★月夜野さん、初めてお邪魔いたします。

当エントリー、とても興味深く拝読させて頂きました。

僕は、先の大型連休の谷間に伊勢丹に出掛けたのですが、
「新宿ピカデリー(新宿松竹会館)」前を通りかかった際に、張り紙によって映画館の閉館を知りました。

月夜野さんが書かれたエントリー文中にもありますように、
新宿においては、ミラノ座、新宿プラザ劇場に次ぐ大型映画館の消滅が、僕に取っても、まずはさみしいですね…。

先日、当方でも、「新宿松竹会館(新宿松竹会館)」の閉館に触れたエントリーをしましたのでTBさせて頂きます。

それではまた。

投稿: ダーリン/Oh-Well | 2006年5月10日 (水) 15時44分

ダーリン/Oh-Wellさん、ご来訪ありがとうございます。

ちょうど時間的に入れ違いで貴サイトのほうにTBの御礼コメントを差し上げたところです。ようこそいらっしゃいました。

伊勢丹パーキング側の看板スペースを1つ使って閉館の案内が掲示されていますね。あの地味な手書き看板スペースも味があるものだったのに、見られなくなってしまいます。

新宿ミラノ座も名称が無機質なものに変更されるし、どんどん寂しくなっていきますね。

大劇場も、一度閉館してしまうともう造られないでしょうからひとつでも多く残ってもらいたいですが老朽化もあって難しいところです・・・。

新宿松竹会館の記事は反響の大きさにこちらも驚いています。閉館を惜しむ声は少なくないようですね。

こちらへもまたぜひ遊びにいらしてください。

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月11日 (木) 02時07分

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受信: 2006年3月14日 (火) 23時59分

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受信: 2006年5月 1日 (月) 23時59分

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受信: 2006年5月10日 (水) 15時27分

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