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2006年4月 2日 (日)

File.41 ミリオンシアター

映画鑑賞割引の日であるファースト・デイと、春休みの土曜日が重なった4月1日。全国的に晴天に恵まれて各映画館では好調な動員があったようです。おりしも関東地方では桜の満開時期とあって花見に繰り出した行楽客も多く、絶好の娯楽日和となりました。
春休みは映画業界にとって重要な稼ぎ時で、映画製作・配給会社ともに自信作を繰り出してヒットレースに備え、映画館ではアルバイトを増員するなどして多数の来場者を出迎える準備をします。とくに来場者数が多い劇場は大変な混雑を見せ、劇場側も「闘い」の様相を呈します。

新しく出店する映画館は、年間の観客動員数や売上げをある程度予測してから出店計画を立て、営業してペイができるか市場調査のうえで進出を判断します。今回のような繁忙期に閑散としているようなことは何があっても避けなくてはなりません。
ひとつのシネコンが対応する商圏人口はおおよそ30万人前後と言われ、シネコン進出基準のひとつとなります。商圏人口が50万人あればかなり理想的な立地であるといえるでしょう。もちろん地域差があって地理的要因やライバル館の存在など他にも多数の判断材料はありますが、商圏人口は最も重視される指標のひとつです。これはシネコンが入居する商業施設にもいえることで、デベロッパーは購買力と商圏人口の大きなところを狙って開発を進めます。自家用車以外の交通アクセス手段や昼夜人口比率なども大切です。

特に業績好調な映画館のお話をしたいと思います。
映画館が配給会社に提示する営業成績で特に大切なもの、それは観客動員数と興行収入です。映画館の年間観客動員数成績において一つの目安となるのが100万人で、これを達成した映画館のことをミリオシアターと呼びます。年間100万人という数は案外少ないイメージがあるかもしれませんが、
映画館に行く平均回数が国民1人当たり年間に1回の現状では相当高いハードルとなります。そのためミリオンシアターは動員成績の優れた映画館として配給会社からも注目されます。
2002年度におけるミリオンシアターは全国に15ヶ所。列記してみましょう。

・パラマウント・ユニバーサル・シネマ11(現ユナイテッド・シネマ札幌)
 北海道札幌市

・MOVIX伊勢崎
 群馬県伊勢崎市

・ワーナー・マイカル・シネマズ大宮
 埼玉県さいたま市

・ワーナー・マイカル・シネマズ板橋
 東京都板橋区

・シネマメディアージュ
 東京都港区

・ヴァージン・シネマズ市川コルトンプラザ(現TOHOシネマズ市川コルトンプラザ)
 千葉県市川市

・AMCイクスピアリ16(現シネマイクスピアリ)
 千葉県浦安市

・ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらい
 神奈川県横浜市

・ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘
 神奈川県川崎市

・ヴァージン・シネマズ浜松(現TOHOシネマズ浜松)
 静岡県浜松市

・MOVIX三好
 愛知県西加茂郡三好町

・梅田ブルク7
 大阪府大阪市

・ワーナー・マイカル・シネマズ茨木
 大阪府茨木市

・MOVIX倉敷
 岡山県倉敷市

・AMCキャナルシティ13(現ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13)
 福岡県福岡市

大都市圏にミリオンシアターが集中していることがよく分かります。一方で、伊勢崎や三好といった比較的人口の少ない地域にも分布しており、商圏人口だけでは実態が予測できない一例です。伊勢崎、大宮、倉敷などは周辺に強力なライバル館が少なかったことが要因のひとつともいえそうですね。現在では上記の劇場でも近辺にライバル館が出店したところも多くて、激しい集客争いが繰り広げられています。
興行会社別に見るとWMCが全体の三分の一を占める成績を残していますね。この年に日本最初のシネコンであるWMC海老名が1993年の
オープン以来の延べ観客動員数1億人を記録しました。ミリオンシアターが全国15ヶ所という統計を考えると、1つの劇場が9年間で1億人動員というのは驚異的成績といえるかもしれません。
最新データだと、2005年MOVIXの年間動員が全15劇場で1,080万人。平均すると1劇場で約72万人の動員となり業績の好調ぶりを感じさせます

少し性格の異なるデータだと大阪市の北野劇場(現ナビオTOHOプレックス1)は『タイタニック』(1997)の単独興行で単館としては世界記録の興行成績10億円、総入場者数56万人を達成しています。タイタニックつながりでは、ロシアのエカテリンブルグにある映画館「サリュート」が『タイタニック』の上映を8年間続けてロングラン世界記録を達成。『タイタニック』は様々な面で世界一を賑わした映画だと感じさせられます。

劇場の年間動員数はあまり公表されないものなので注目されませんが、映画館の集客力を客観的に判断できる重要なデータとなります。シネコン隆盛といえども動員が伸び悩んでいる劇場は多数あり、シネコン同士の競争激化で集客独占状態のサイトも少なくなりました。競合することで相乗効果を生むのか、パイの奪い合いになるのか。映画館の生き残りバトルは今後も熾烈になっていきそうです。


話題の映画は、お近くのワーナー・マイカル!

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