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2006年4月11日 (火)

File.43 スクリーンブッキング

大きなスクリーンに映写される映像は、映画館で映画を観る楽しみの一つ。自宅にいながらホームシアターで映画を観る人が増えていますが、「やはり映画は映画館で!」という方も少なくありません。その理由に多いのが「大画面で楽しみたい」という声。また、大きなスクリーンとフィルム映写の味わいはホームシアターでは再現できず、映画館ならではの魅力です。
映画館で観る以上は、できる限り大きなスクリーンで鑑賞したいものです。シネコンでは複数のスクリーンがあって、客席数によってスクリーンサイズも大小さまざまに設計されています。大きなスクリーンで観るために、どのスクリーンで上映をしているかを事前に確認してから足を運ばれる熱心な方もいらっしゃいます。スクリーンサイズは映画鑑賞における重要なポイントと言って良いでしょう。

先述のようにシネコンのスクリーンサイズはまちまちなので、入場してみたら想像以上に小さいスクリーンだった…ということもあり得ます。一般的にシネコンは上映設備には力を入れているので、従来館と比較するとスクリーンサイズも大きめに設計されていることが多いものの、それでもなお大きな画面を楽しみたいというお客様が多いですね。
この点にコダワリのあるお客様はより大きなスクリーンで鑑賞するために、事前に上映スクリーンを調べてからご来場されたりします。複数のスクリーンで同じ作品を上映している場合は、大きなスクリーンでの上映回をお選びになったりするわけです。

では、作品はどのような基準でスクリーンにブッキング(割り当て)されるのでしょうか。

良心的な映画館だと、新作なのにあまり動員が見込めない作品でもなるべく大きなスクリーンを割り当てます。1週目は作品にとってはお披露目ですし、公開日を楽しみに待っていたお客様もいらっしゃいます。最初の週くらいはたとえ動員が貧弱でも大きなスクリーンで上映しようというサービスですね。
通常は当然ながら
動員数が多い作品や話題作ほど大きな劇場にブッキングされます。スクリーンサイズは客席数と連動しているので、大画面になるほどキャパシティの大きな劇場になる、つまり動員数によっておのずとスクリーンサイズ&劇場の大きさは決まるということになります。このあたりは過去記事でも少し触れました(参照 File.36 続映と打ち切り)

「動員数=上映劇場の大小」
このことを憶えておくと面白いことが分かります。映画館というのは、同じ作品のラインナップでも立地条件によって動員数が大きく異なってきます。いわゆる“客層”に影響されるわけですが、これは必然的に興行収入にも大きな影響を与えます。
具体的には住宅地や郊外にある映画館ではファミリー向け作品がヒットしやすく、逆に市街地やトレンディスポット(古臭い言い方ですが)の近辺にある映画館は単館系作品やデート向き作品が人気の傾向があります(あくまで一例)。同じ映画作品でも、映画館によっては大ヒットしたり逆に不入りだったりするということです。これは新規オープンのときはなかなか予想がつかないもので、フタを開けてみないと分からない部分が多くあります。

試しに、『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』を上映している東京都内のシネコンをいくつかピックアップして、そのスクリーンブッキングを見てみましょう。

4月8日(土)のスクリーンブッキング
<凡例>
・サイト名
 スクリーンナンバー(客席数) 総スクリーン数と同サイト内での客席数順位

・109シネマズ木場
 シアター8(322席) 全8スクリーン中で2番目

・MOVIX亀有
 シアター9(305席) 全10スクリーン中で2番目

・ワーナー・マイカル・シネマズ板橋
 10スクリーン(292席) 全スクリーン中で2番目

・ユナイテッド・シネマとしまえん
 スクリーン3(380席) 全9スクリーン中で2番目

・TOHOシネマズ南大沢
 スクリーン5(481席) 全9スクリーン中で1番目

さすがは春休み映画の定番ドラえもんです。多くの映画館が大きなスクリーンをブッキングしていますね。動員では『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』が勝っているものの、5週目で興収25億円を突破し、安定した人気を維持しています。
しかし、このドラえもんを冷遇(?)している劇場も存在します。

・TOHOシネマズ六本木ヒルズ
 スクリーン1(164席) 全9スクリーン中で5番目

・シネマメディアージュ
 シアター5(180席) 全13スクリーン中で9番目

先ほどまでの厚遇劇場よりも、明らかに小さなスクリーンで上映されていますね。客席数で比べてみればその差は歴然、同じ作品でも劇場によってスクリーンブッキングが大きく異なることが分かります。これは映画館のメイン客層によって動員数が異なるからに他なりません。双方とも映画ドラえもんの配給元東宝のグループ劇場なので、もっと大きなスクリーンを割り当ててもおかしくはないのですが、先に挙げた劇場よりも動員数が少ないためこのようになります。これらの劇場では作品のメインターゲットである低年齢層やファミリー層の来場が少ないため、この大きさのスクリーンでまかなえるという訳です。言うなればドラえもんの映画を観るために、足を運ぶお客様が少ないということでもあります。
こういった現象は全国各地で見られ、上映作品のセレクトに多少なりとも影響を与えます。シネコンでは話題作中心でラインナップを組むために、マーケティングや客層に合わせた番組編成には限界がありますが、客層・来場年齢層に特に偏りがあるような映画館では無視できない材料で、企画上映や新作セレクトの際に考慮されたりもします。

例外的に製作・配給会社と興行会社が関連する作品(東映作品ならT-JOY、松竹作品ならMOVIXなど)は大きめのスクリーンで長期上映されることが多いです。また『ロード・オブ・ザ・リング』や『スター・ウォーズ』のように根強いファンがいて、映像(特殊視覚効果)や音響にこだわった作品も同様な配慮がなされることがあります。
このようにスクリーンの割り当ては様々な要因のうえで成り立ちます。一番の決め手は動員数ですが、それとは別に程度の差はあれど
ブッキングには劇場ごとにクセや個性があって興味深いところです。

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コメント

月夜野さん お久しぶりです。

私は映画は映画館で観たい方なので、家でDVDをみることはあまりありません。
(買うことは買うんですけどね~笑)
そしてスクリーンの大きさや設備にはこだわりたい方なので、とても興味深く読ませていただきました。

スター・ウォーズを小さなスクリーンで観たら魅力は半減してしまうでしょうし。
リピーターしてしまったハリー・ポッターもIMAXだったからこそよかったのかも。
(ついに20回観ましたよ♪)
これは公開2週目にはもう六本木ヒルズで2番目のスクリーンになってしまっていて
残念でしたが、(人気があるのになぜ?)IMAXで観られたのでよかったです。

投稿: Angelita | 2006年4月13日 (木) 00時19分

Angelitaさんこんにちは。

映画は映画館で観るのがいちばん理想的かなって個人的には思います。ホームシアターも気兼ねなく観られていいですけど、映画館での鑑賞は映画の「体験」とも言えそうで捨てがたいものがあります。

ハリー・ポッター20回目!!おめでとうございます。いやはや、頭が下がるのみです。凄いですねえ20回…。もう台詞も覚えていらっしゃるのでしょうね。

スクリーンや設備のことも紹介したいとは思っていますが、なかなか筆が進みません^^;一応は映画館のことメインのサイトとして運営しているので、業務以外にも設備関連のことも書けたら良いなとは思っております。

六本木ヒルズよりもIMAXですよ、やっぱり(笑)。あのスクリーンサイズと緻密な画は変えがたい魅力です☆

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年4月13日 (木) 22時27分

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