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2006年5月10日 (水)

File.49 ステータスパネル

これまで何度かシネコンに関するお話をご紹介してまいりました。1993年にWMC海老名が最初にオープンして以来、全国に多数のシネコンが建設されて国内のスクリーン数は着実に回復傾向にあることはお話してきた通りです参照 File.11 黒船~シネコンの出航他)。今回はシネコンならではの映写関連機器のお話です。
シネコンの特徴
参照 File.12 シネコン~その革新性として挙げられるものに、集約化された映写室構造があります。国内のシネコンは1サイトにつき6~18のスクリーン(劇場)が備えられていて、上映スケジュールを工夫することで数多くの作品をお客様に提供しています。

つまりスクリーン数10のシネコンには10の劇場があって時間差で様々な映画を上映しているわけで、それを多くのシネコンでは1つに集約した映写室で管理しています。映写機はシネコンで主流のノンリワインド式半自動映写機は10台、二台式全自動映写機だと倍の20台が必要となります。集約された映写室内に設置された映写機が動作している様子は壮観で、初めて見る方は興味深そうに見学されます。映写室は普段は公開されていない場所なので、関心のある方も意外に多いようですね。

スクリーン数が増えるほど映写機の管理が大変になることはご想像がつきますでしょうか。映写室は常時1~5名程度の少人数で運営しているため、ひとつの映写機に付きっきりになることはできません。上映スケジュールの組み方によっては複数のスクリーンで同時間帯に上映終了&上映開始となることもあって、このような時は次回上映の準備と上映開始を平行作業することになります。
“穴倉のようだ”と揶揄もされる映写室。全体を見通しやすくするためにお客様ロビー・通路の上階に直線形状で構築されていることが多いのですが、劇場配置によっては不規則な形状になることもあり、薄暗い映写室内で映写機の動作状況を目視で一度に把握することは困難です。そのため、スクリーン数の多いシネコンでは「ステータスパネル」と呼ばれる簡易モニターで映写機の動作状況が確認できるようになっています。
ステータスパネルは映写室とオフィス(マネージャールーム)の基本2ヶ所に設置されます。映画館によっては劇場入口やチケットもぎり台のそばに設置されていることもあるので見覚えのある方もいらっしゃるかもしれませんね。

さっそく、ステータスパネルとはどんなものか見てみましょう。

ステータスパネルは3色のLEDを組み合わせることで映写機の状況を表現します。いわば道路信号機とまったく同じようなもので、信号灯を点灯させたり点滅させることで映写機のステータスを簡易的に表示する機器です。


Cinema Status Panel

さて、何やらカラフルなランプが並んでいますね。緑色、橙色、赤色のランプをを組み合わせて映写機のステータスを表現しています。1から10までの数字はスクリーンナンバーを表し、スクリーンナンバーと設置されている映写機のナンバーが対応しています。つまり1番スクリーンの映写機は1のランプで表示されるわけです。
それでは順に映写機の状態を見ていきましょう。画像の表示状況は以下のような意味になります。

1番スクリーン:緑色消灯 橙色消灯 赤色消灯
                     映写機電源OFF状態、完全停止
2番スクリーン:
緑色消 橙色点灯 赤色点灯
         
映写機電源ON、プリント未セット
3番スクリーン:緑色消灯 橙色点灯 赤色消灯
          映写機電源ON、プリントセット済、上映可能状態
4番スクリーン:
緑色消灯  赤色点灯
                     
映写機電源ON、上映タイマーON、プリント未セット
5番スクリーン:
緑色消灯 滅 赤色消灯
                     
映写機電源ON、上映タイマーON、プリントセット済、上映可能状態
6番スクリーン:
滅 滅 赤色消灯
                     スライド上映中
7番スクリーン:
滅 橙色消灯 赤色消灯
                     予告上映中(劇場内照明点灯中)
8番スクリーン:
緑色点灯 橙色消灯 赤色消灯
          映画本編上映中
9番スクリーン:
緑色点灯 滅 赤色消灯
                     映画本編終了間際(劇場内照明点灯中)
10番スクリーン:緑色随時 橙色随時 

                       プリント走行経路異常、映写機ランプ異常

基本的には映写機が動作中には緑色が点灯、停止している時は橙色が点灯しています。橙色の点滅は映写機動作中(上映中)にも関わらず、場内照明が点灯していることを意味しています。劇場によってはエンドクレジットで場内照明を点灯する所があり、上映終了が近いことを示すサインとして活用されています。赤色の点灯は上映準備が完了していないことを、赤色の点滅は何らかの異常を示す警告でアラーム音を発します。このとき映画館は非常事態に突入です。
表示パターンが多くあって最初は混乱しますが、映写スタッフはこれらの表示を理解できるように憶えておく必要があるのは言うまでもありません。

シネコンでは映写機を効率よく管理できるようにこのようなシステムをふんだんに採用し、少人数でも運営が行えるように配慮されています。映写機が少数ならステータスパネルは必要ありませんが、スクリーン数の多い大型シネコンでは必要性が俄然高まります。映写室内にステータスパネルを複数設置すると、映写室の広い範囲で映写機ステータスを把握することができて大変便利です。
ロビーや通路(左の画像はコンセッションに設置されている例)にステータスパネルが設置されている劇場を見つけたら、試しにタイムスケジュールと照らし合わせてみると表示の意味がよく分かると思いますよ。これが分かれば立派な映画館通と言えるかも!?シネコン社員でも表示内容を把握していない人はおりますので…。

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コメント

月夜野さん こんばんは。
ステータス・パネル・・・興味津々です。
映写室のこととなると「ニューシネマパラダイス」なんかを思い出しますが、シネコンのような大型の施設ならではの機器なのですね。
私たちが映画を楽しんでいる裏で活躍されているスタッフの方たちのお仕事の一端が垣間見られて興味深かったです。
業界の方ならではのお話、毎回楽しみにしています!

投稿: Angelita | 2006年5月14日 (日) 23時03分

Angelitaさんこんにちは。

『ニュー・シネマ・パラダイス』の映写室はいかにも昔の映写室でノスタルジックですよね。最近の映画館は映写室もしっかりとした設備と造りになっていて、快適そのものです。暗い以外は(笑)。

ステータスパネルは昔のSF映画に出てくる宇宙船の操作パネルみたいなデザインですけど、LEDを10種類の組み合わせで見せる単純な機器です。初めて見ると「あれ何??」と思います。点滅してたり消えてたり…。

たぶんステータスパネルのことに触れているサイトは世界広しといえども拙サイトぐらいじゃないでしょうか…(・.・;)

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月15日 (月) 01時04分

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