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2006年5月14日 (日)

File.50 庁舎映画館

サイト立ち上げから4ヶ月目を前にした5月12日に、当サイトへのアクセス総数が10,000HITを迎えました。皆様方のご来訪、本当に感謝いたします。今回はFile.50、つまり50回目の更新です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


本日は官公庁施設を映画館に再生させる動きについてご紹介します。

日本国内の映画館数は1993年に1,734館の過去最低を記録した後、シネコンの普及によって再び増加傾向にあり、2005年末には全国2,926スクリーンまで回復しました(参照 File.11 黒船~シネコンの出航)。同時に従来館の閉館が相次ぎ弱肉強食の様相を呈してはいるものの、結果的に多くの観客には以前よりも映画館が身近になって、作品の選択肢も大幅に増えることとなりました。
一方で近年は「平成の大合併」と言われるように全国規模で市町村合併が行われ、地方自治体の数は大幅に減少しています。1995年に3,234市町村あったのが現在では1,820市町村にまで激減しています。まるで映画館とは正反対の状況ですね。

合併後の市町村庁舎は出張所や支部として活用されることが多いものの、公民館やホールなどでは休業状態の所もあるようで、地元にとっては悩みのタネになっています。
そこで考
えられたのが庁舎やホールを映画館へ再生しようという試み。計画を進めるスロータウン連盟によれば「改装後は未公開の映画、国内若手監督の作品を上映していきたい」想いは熱い。議場やホール、公民館の構造は改装すればそのまま映画館に転用できることが発案のポイントとなっています。

スロータウン連盟事務局は株式会社三井物産戦略研究所が背後にあるため、民間の知恵も投入されるはずです。期待をしたいところではありますが、自治体が映画館を運営するとなるといささか不安もよぎります。収支計画は立っているのか、いざとなったら映画以外で集客できる見込みはあるのか、そもそも集客するだけの需要はあるのか…etc。挑戦しなければ未来は開けないですが、お役所に対する国民の目が厳しい昨今です。赤字経営はさすがに避けたいところでしょう。

また、大都市以外では名画座やミニシアターの経営は難しく、ミニシアターが充実している街は東京と大阪の二大都市くらいしかないのが現状で、人口規模が少なければリスクは大きくなります。もちろん意欲的な上映を行っている劇場も全国に多数ありますが、相当の努力を続けていなければ営業は難しいのではないかと感じられます。シネコンでは「もっとミニシアター向けの作品を上映してほしい」という声が多数寄せられますが、継続営業をするだけの集客は見込めないことのほうが多いようです。

利益や収支のことばかり考えていては何もできませんし、空虚なお話になってしまいます。しかし維持運営費の捻出・負担元と責任の所在、バブル期箱物行政の二の舞にならないように運営ノウハウの蓄積は必須と思われます。改装および上映設備の初期投資も数百万円から数千万円の単位になるはずなので尻すぼみな営業にならないよう祈りつつ、今秋に開館予定の第一号館には注目したいですね。
公営映画館の例は今までも
船堀シネパルやベッセルおおちなどがあります。東京都江戸川区の船堀シネパルは江戸川区が施設を提供して東宝が運営をしています。香川県東かがわ市(旧香川県大川郡大内町)のベッセルおおちは多目的ホールや温泉宿泊施設、カラオケにゲートボール場まで備えた第三セクター施設。国内有数の音響システムを持つ多目的ホールとして知られ、意欲的に映画の上映を行っていますが残念ながら赤字運営(東かがわ市人口3万7千人)です。これらの前例は参考になるでしょう。

香川県といえば以前にも映画ロケ誘致に積極的と紹介(参照 File.38 映画ロケ積極県・香川)しましたが、ロケの他にもさぬき映画祭2006」を開催するなど映画に対してはかなり本気のようです。脚本コンペティションでは映像脚本を国内外から募集するそうで、香川をイメージできる景観や歴史、人物、食べ物などをモチーフにした県内ロケが条件になりますが、優秀作5点には賞金50万円、県内ロケは実行委が全面支援、2007年の映画祭に正式出品といった特典があります。審査員は同県出身の朝原雄三氏と本広克行氏、中島貞夫氏の三監督を含む6人。
庁舎再生で若手監督の映画を上映する試みと同時に、こういった人材発掘事業や自治体をあげての映画への入れ込みが必要なのではと感じさせるニュースです。文化を育成するのは環境を育てることから。急がず草の根レベルでの活動が大切なのかもしれません。

どう乗り切るか市町村合併―地域自治を充実させるために どう乗り切るか市町村合併―地域自治を充実させるために

著者:大森 彌,大和田 建太郎
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コメント

TBありがとうございます。
ろじゃあと申します。
映画のスクリーンで大勢で映画を観る楽しみが少しでも広まればいいと思います。
あんな気持ちのいいことを知らないままで大人になる子供、年老いてから一緒に映画を観る楽しみを色々な理由で味わうことができないお年寄り・・・そしてそれをつなぐべきミドルの方々が地域のそういった施設で時間を共有できるような環境っていいと思うんですけどねえ。

投稿: ろじゃあ | 2006年5月15日 (月) 17時26分

ろじゃあさん、ご来訪ありがとうございます。
コメントとTBをいただき重ねて感謝いたします。

映画館で不特定多数の人々と同じ時間を共有する、なかなか体験できないことだと思います。一緒に泣き、笑える映画館という環境は多くの人に楽しんでもらいたいですね。

単なる映画公開の場ではなく、プラスアルファは必須でしょうから、発展していくことで社会貢献になりそうです。

貴サイトにもコメントしようとしたのですが、E-mailがないとコメントできない(スパム防止のため、当方はアドレス非公開、メールフォームを使用しております)ようでしたので、こちらで代えさせていただきました。

ろじゃあさんのいう「闘志と知恵」、興味があります。

またのご来訪お待ちいたしております。

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月15日 (月) 21時24分

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受信: 2006年5月15日 (月) 16時24分

» 旧市町村の遺産を有効利用。 [TONYの”あなたとJAZZとカクテルと・・・”]
「平成の大合併」で不要になった旧市町村の議場を映画館として有効利用しようという動きが各地で進んでいるようだ。 都市部と地方の諸々の格差が問題となっている中、果たしてこの試みは成功するかどうか? 映画館と言えば、都市部では一つの施設の中で複数の映画を上映する機能を持つシネマコンプレックスが主流となっている。 しかし、上映する作品は殆んどが日米の新作が中心であり、しかもメジャーな映画会社の配給作品が主力。 今では過去の名作や... [続きを読む]

受信: 2006年5月15日 (月) 21時12分

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