File.51 新宿松竹会館メモリアル 1
2006年5月14日。
この日、またひとつ大劇場の灯火が静かに消えた。
その名は新宿松竹会館
新宿松竹会館・新宿ピカデリーは1958年にオープン。47年間にわたって新宿に君臨し、今では数少ない収容人員千人クラスの大劇場でした。東京における同クラスの大劇場の閉館は、1997年日比谷スカラ座(1,197席)、1999年東銀座・松竹セントラル(1,156席)、2003年渋谷パンテオン(1,250席)に続くものとなります。
東京に残る巨艦は日本劇場、新宿プラザ劇場、新宿ミラノ座の3館を残すのみ。このうちのプラザとミラノ座も老朽化が進んでいるため、建て替えられる日もそう遠くはないでしょう。
また同日に、同じく松竹系の上野セントラルも営業に終止符を打ちました。
以前に新宿松竹会館の建て替え記事を掲載した際は多くのご反響をいただき、改めてこの劇場が多くの人に愛されていたことを実感することができました。その存在を少しでも形に残しておければと思い、本日から数回にわたって「新宿松竹会館メモリアル」と題して、写真でその姿を振り返ってまいります。
第一回目の本記事では、新宿松竹会館南側の表情を見ていきます。
~新宿松竹会館南面~
新宿松竹会館周辺マップ
新宿駅から徒歩約5分、靖国通りに面した好立地です。周辺は伊勢丹村となっていて、お向かいは紀伊國屋書店と家電量販店さくらやホビー館。伊勢丹や三越、紀伊國屋書店に近いためか、近接する歌舞伎町界隈の映画館よりも女性客が目立つ劇場でした。
新宿松竹会館 DATA
東京都新宿区新宿3-15-15
1958年10月開館
敷地面積1611.13㎡
杮落とし『この天の虹』木下恵介監督作品
総劇場数4、総座席数1,479席
新宿ピカデリー1(820席)
スクリーンサイズ:ビスタ 7.1m×12.6m・シネスコ 7.1m×15.35m
音響:SRD
最終上映作品:『小さき勇者たち~GAMERA~』
新宿ピカデリー2(417席)
スクリーンサイズ:ビスタ 4.92m×8.9m・シネスコ 4.06m×9.63m
音響:SRD
最終上映作品:『ナルニア国物語 第一章 ライオンと魔女(字幕版)』
新宿ピカデリー3(198席)
スクリーンサイズ:ビスタ 2.84m×4.99m・シネスコ 2.6m×5.81m
音響:SR
最終上映作品:『デュエリスト』
新宿ピカデリー4(44席)
スクリーンサイズ:ビスタ 1.1m×1.8m・シネスコ 1.1m×2.4m
音響:DS(DOLBY STEREO TYPE-A)
最終上映作品:『子ぎつねヘレン』

南東側から見た新宿松竹会館
新宿駅前から新宿三丁目、二丁目界隈を結ぶストリート。休日ともなると大勢の買い物客や車でごったがえす賑やかな街並みに佇む古豪ピカデリー。左手は伊勢丹パーキングビル、右手は伊勢丹会館。こちらも再開発が計画中。

ピカデリー名物の手描き看板!
ピカデリー1・2・3裏手口に掲示されている上映作品看板群は、手描きで味があります。サイズは小さいものの、映画看板らしい横長のレイアウトが素敵です。間近で見られることから定期的に看板鑑賞をされている方もいらっしゃいました。

もっと近くから見てみましょう
近くで見ると、描き手の個性が垣間見られて興味深いものがあります。こういった手描きの看板を掲げる映画館は少なくなってしまいました。ポスター貼りや拡大コピー看板は合理化の流れとはいえちょっぴり寂しさを感じます。小さくてもここの看板には暖かみがありましたね。

青空をバックに
靖国通りを表通りと考えると狭隘な裏通りにも関わらず、大きな看板を掲げていました。この看板は電飾も照明もないシンプルなものです。青空がとてもすがすがしい一日でした。
閉館のお知らせ・・・
手描き看板スペースの1つを陣取っていた閉館のお知らせ。この日は街行く人も足を止め、この看板の前で閉館を惜しむ姿が見られました。突然のことに驚きを隠せない様子の方もいて、人それぞれに思い出のつまった施設であったことを感じさせました。

新宿ピカデリー4
知る人ぞ知る悪名高き新宿ピカデリー4。入口に立つ巨大なピンが目印です。表からはうかがい知ることのできない驚きが観客を待っている、伝説的最低映画館(笑)。
松竹プレイガイドも閉店
新宿松竹会館に同居する松竹プレイガイドはいつでも黒山のひとだかり。ここは映画専門前売チケット販売店として知られています。新宿ピカデリーの上映作品チケットも販売しており、場外販売を行うこんな映画館は珍しくなりました。もちろんピカデリーにはチケット売場が常設されていますがそちらは正規料金なので、ピカデリー通はここでチケットを購入してから入場口を目指します。左手はピカデリー4の入口。
充実のラインナップ
丁寧に掲示されたラインナップ表。作品名、劇場名、上映時間が一目で分かります。『ぴあ』などを買わなくてもここに来れば上映スケジュールが分かるほど、非常にユーザーフレンドリーな経営をしていたことを嬉しく思います。映画サービスデーの毎月1日はお休みです(笑)。松竹系以外の作品も取り扱っているので、ここでチケットを購入して近隣の劇場に足を運ぶ人も珍しくありません。
松竹プレイガイドの店内風景
狭い店内には各種ポスターやスケジュール表が貼られ、いかにもチケット屋さんの趣があります。 私はここに来るときはなぜかワクワクしたものです。店内の雑多な様子がそうさせたのでしょうか。ピカデリー1の上映作品がアクション物だったりすると、店内にまで映画の音響が響き渡る、臨場感溢れるお店でした。
新宿松竹会館の南面
飾りっ気のないシンプルな表情で、昔ながらの大劇場の外観をよく残しています。堂々とした壁面は完成当時は威容を誇っていたのでしょう。観察していると、建物外の上部通路を係員の方が行き来している姿を見かけることができます。

ピカデリー前にて
南壁から視線を落とすと、自動販売機が並んでいます。ここで雑談や待ち合わせをする人たちの姿も見られなくなります。派手な色合いの販売機や看板に混じって、地味な映画キャメラの図柄がなんとも言えません。
「新宿松竹会館メモリアル 2」に続きます。
参照 File.37 新宿松竹会館が建替え
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コメント
トラックバックありがとうございます。
新宿の松竹セントラルだけでなく、他に上野松竹セントラルのラストショーの写真(だけではありませんが)の記事もトラックバックさせていただきました。
投稿: prisoner | 2006年5月17日 (水) 17時45分
はじめまして。
トラックバックありがとうございます。(お礼はこの欄でいいんでしょうか?)
niftyもトラックバック出来ると、初めて知りました。(汗)
新宿ピカデリー4の説明で「表からはうかがい知ることのできない驚きが観客を待っている」という文章には笑わせていただきました。(笑)
投稿: すぷーきー | 2006年5月17日 (水) 22時16分
TB&コメントありがとうございます。 こちらのブログも拝見しましたが、いやー、面白いです! 小生はもうウン十年も年間160本程度の映画を観続けていますが、興行サイドの内部の方のこういう文章は、とても興味深いです。 また寄らせていただきます。
投稿: 大江戸時夫 | 2006年5月17日 (水) 23時15分
TBありがとうございました。
新宿ピカデリー閉館は、本当に残念です。そして、松竹プレイガイドも閉店になってしまったんですね!!!本当に残念・・・。
投稿: mayumi | 2006年5月18日 (木) 01時01分
多くのコメントおよびTBをいただきありがとうございます。
prisonerさん、ご来訪ありがとうございます。
上野セントラルは新宿ピカデリーよりもさらに上を行く風情がありましたね。まさに昭和の映画館でした。良くも悪くも上野の風景として記憶に残されていくことでしょう。
跡地はどうなるのでしょうか…?
すぷーきーさん、ご来訪ありがとうございます。
『デュエリスト』をご覧になったのですね。たしか最終日頃はピカ3での上映でした。
ピカ4は…凄い映画館でしたね。映画館のことを「小屋」ともいいますが、実にこの言葉がマッチする所でしたね。ピカ4も今回の記事で紹介予定です。
大江戸時夫さん、ご来訪ありがとうございます。
年間160本のご鑑賞とは(>_<)凄いですね。大江戸時夫さんのような熱心な映画ファンの方々が映画館を支えているんだと思います。
当サイトの内容にも関心を持っていただき嬉しいです。いつでもコメントやTBお待ちしております。
「客家」というお店はやっぱり客家の方が経営されているのでしょうか?
mayumiさん、ご来訪ありがとうございます。
mayumiさんのように、閉館を惜しんでくれるお客様がいらっしゃったことは、新宿ピカデリーにとっても幸せだったと思いますよ。最終日はイベントもなく寂しい限りでしたけど、お別れに来たお客様の姿は感慨深いものがありました。
ピカデリー閉館と共に松竹プレイガイドの閉店も実に残念です。映画前売チケットのワンダーランドだっただけに(笑)。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月19日 (金) 00時02分
突然のコメント、誠に恐れ入ります。
『ガメラ医師のBlog』のガメラ医師と申します。この度、新宿ピカデリー閉館関連のエントリーにてこちらの記事を一部ご紹介し、TB致しましたので、遅ればせながらご挨拶に参りました。詳細かつ情感あふれる写真とコメントを堪能させて頂きました。有り難うございます。
ガメラ関連情報のBlogですので畑違いではありますが、お暇がありましたら、拙Blogもどうかご笑覧下さい。
長文ご無礼致しました。それでは失礼します。
投稿: ガメラ医師 | 2006年5月19日 (金) 17時51分
ガメラ医師さん、ご来訪ありがとうございます。
またTBおよびコメントもいただき、重ねて感謝いたします。
拙文ではありますが、お楽しみいただけたようで幸いです。当サイトとしてできることは、新宿松竹会館の記録を残すことぐらいなので多くの方に見ていただけたらと思います。
ガメラ医師さんのブログにも遊びに行きますね!
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月21日 (日) 06時27分
はじめまして。
返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
TBありがとうございます。
当該ページ以外まだ読んでいないのですが、
「映画業界の方」なんですか?
すごくきれいなブログですね。
自分のは何の変哲も無いもので、リニューアルする気持ちはあるのですが、シンプルなのも気に入ってたりするし(苦笑)。
また寄らせて頂きます。
投稿: 年間?本 | 2006年5月23日 (火) 22時07分
年間?本さん、ご来訪ありがとうございます。
大劇場で映画鑑賞されることがお好きとのこと、大劇場ファンにとっては今回の閉館は悲しいものとなってしまいました。
現在は800余席の新宿ピカデリーもかつては1,000席を越す大劇場でした。内装は素っ気無いものの高い天井や大きなスクリーンは贅沢でしたね。
えーっと、当方は別に「映画業界の方」というわけでもありません(^_^;)
映画評サイトは無数にあるのに、映画館のことを専門に記したサイトがあまり存在しないので細々と運営しておりますm(__)m業界人というよりはただの映画館好きと思っていただけたら幸いです。
シンプルなブログ、良いと思いますよ。きれいといって頂けて光栄です。リニューアルもしたいのですが、面倒なのでオープン以来このピンク(笑)のデザインです。
またのお越しを心よりお待ち申し上げております。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年5月24日 (水) 06時23分
今ごろすみません(汗)TBありがとうございます。全然気づかなかった…
なんか場違いな話題だったのに(笑)
新宿で遊ぶ事が多いので、あの映画館にもよく行ってました。歌舞伎町はなんとなく行きづらいので。東映が無くなったときもショックでしたが、こちらもたまたま通りかかったときだったのでまるでうっかり石に躓いてしまったかの様な衝撃でした。また映画館として生まれ変わる様なのでちょっとだけ安心しましたけども。
投稿: ちぇりー | 2006年7月22日 (土) 14時03分
ちぇりーさん、ご来訪ありがとうございます。
東映は建物も仕上げ工事に近くなり、付近では最大のビルが建ち上がっていますね。松竹会館はこれよりは控えめなものの、現状よりはだいぶ大きなビルになる予定です。
新しく生まれ変わった後は、さらなる映画館として愛されていくことを願いたいです。
またいつでもご来訪ください。お待ちしております。
投稿: 管理人:月夜野 | 2006年7月24日 (月) 07時04分