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2006年7月10日 (月)

File.62 梅雨対策in映画館

梅雨まっさかりのこの季節、全国的にジトジト、ムシムシとしたお天気が続いています。あまりの蒸し暑さに気が滅入っている方も少ないかもしれませんね。その一方で映画業界は夏休み映画の公開を控えて、その準備や宣伝の最終追い込み作業に余念が無い時期でもあります。夏休みの興行成績は年度成績においても重要な位置を占めており、大手配給会社など関連各企業は大忙しです。

さて、梅雨時期ともなると映画館ではいろいろと留意するべきことが増えてきます。雨の日はお客様の来場が減少する傾向があるので集客のために手を打つことはもちろん、この時期ならではの業務もいくつかあります。

具体例を挙げてみましょう。

梅雨で最も留意するのは売店で、販売食品の衛生管理をいつも以上に徹底する必要があります。基本的に傷みやすい食材を使った商品は映画館ではあまり販売されていないものの、やはり衛生管理は基本中の基本でこれを怠るわけにはいきません。とくにスタッフの手洗い、食材の温度管理といった基本を徹底することが大切です。たかが売店といえども飲食店です。お客様に安心してご利用いただくためには、レストランなどと同じように適正な品質管理を行う必要があるわけです。

また映画館の各所に設置しているダストボックスは梅雨時期になると悪臭を発しやすくなるので、マメな手入れを行います。とくにギャベージ(生ごみ)が入ったダストボックスは手入れをしないと虫やネズミ発生の温床ともなりかねないので、念入りに清掃を行います。映画館の規模によっては多数のダストボックスを設置しているので、手入れは大仕事になりますね。

ロビーでは傘入れ用のビニール袋用意します。この袋は通常の商業施設では床に垂れたしずくによるスリップ防止のために用意されていることが多いので、床がカーペット敷きの映画館だと不要…!? 
いえ、必要です。
ほとんどの映画館には傘立ては用意されていないので、上映中は足元や隣の空いている座席などどこかに傘を置く必要があります。このとき濡れている傘を放置するのは気持ち良くありませんよね。上映時間までロビーで待っている間もしずくの落ちる傘を持っているのは周りのお客様へのご迷惑になりかねないので、傘入れ袋の用意は大切なサービスのひとつです。

劇場内に目を移せば、室温管理が最重要課題ですね。劇場は広い容積を持つ空間であると同時に、部屋の縦横比も様々です。また、スロープ形式やスタジアム形式(参照 File.31 スロープからスタジアムへ)の劇場だと最前列と最後列の客席では高低差が大きくなります。
このことは劇場内の温度管理がとても難しいことを意味していて、広い劇場内の全ての客席を均一に温度管理することは現実的に不可能です。入場者数によっても場内の温湿度は簡単に変化するうえ、座席位置によっても差異が出てくるため快適な環境はなかなか作り出すことができません。そのため映画館によってはブランケットを用意するなどして少しでも快適にお過ごしいただけるように配慮をしています。温度管理に関しては空調機械に任せずに、スタッフが頻繁に劇場内に入って温湿度をチェックすることがいちばんの対策です。

室温管理は映写室でもキーポイントとなります。映画上映用の35mmフィルム映写機にはスクリーンに映像を投影するためのランプが装備されています。キセノン(クセノン)ランプ、ハロゲンランプ、アークライトなど各種あるのですが、いずれも点灯中は高温となるため常時冷却する必要があります。トイレの60w程度の電球でも点灯していると触れなくなるほど熱くなるように、大光量を要する映写ランプは大きな熱量を持つのです。
ランプの冷却のため
映写機には空冷ファンなどが装備されていて、室内の空気をランプハウスに送り込んで冷却を行う仕組みになっています。このとき室温が高いと十分な冷却効果を得ることができないので、映写室内は一年中涼しく一定に保つのが最良なのです。設定温度は劇場によって様々ですが、摂氏23度前後が機器にもスタッフにも優しいと思われます。逆に冬だとスタッフには少々寒く感じられることもあるかもしれませんが…。

摂氏23度は映写機の動作保全以外に、上映プリントに対しても適した温度。精密機器や上映プリントを扱う映写室内では高温多湿は厳禁、低温少湿もよくなく、さじ加減が重要なポイントなのですが人間が快適に感じられるくらいの温湿度が映写室内では適していますね。
映写室は映画館の心臓部であり、温湿度管理が不十分だと業務に支障を生じる恐れさえあります。梅雨時期の高温高湿環境は映写ランプがオーバーヒートしたり、湿気でフィルム同士が密着するなど重大な事態を招く原因ともなりかねないので、23度前後の室温管理は大切な業務になります。

ジメジメとした過ごしにくい日々が続くなか、映画館ではこのように様々な対処を行いながらお客様をお迎えしております。これから話題の大作も続々と封切られます。雨が降っていると外出が面倒になりがちですが、雨の日だからこそ快適な映画館でごゆっくりと映画鑑賞はいかがでしょうか?

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンTM

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コメント

雨に日にはスタッフの方にはいろいろご苦労があるのですね。
ひざ掛けは最近貸してくれる映画館が増えました。
映画鑑賞中は映画に集中したいので、私はとりあえずブランケットを借りておきます。
途中で寒いと感じるかもしれないですもんね。(笑)

投稿: Angelita | 2006年7月15日 (土) 01時35分

Angelitaさんこんにちは。

雨の日ならではの配慮も大切ですね。鬱陶しい梅雨時期でも気持ちよくご鑑賞いただくために努力が必要なのです。

空調管理はデリケートですし個人差もあるのでブランケットは理に適ったサービスだといえます。幸いにも寒くて震えるような上映はいまだ経験がなく、私は使ったことがありません。

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年7月16日 (日) 02時07分

ブランケット…。そんなサービスあるの知りませんでした!

投稿: 足柄 | 2006年7月26日 (水) 16時15分

足柄さんこんにちは。
映画館によりますけど、ブランケットの貸し出しサービスが実施されています。寒く感じたときのために利用するのも悪くないですよ。
お近くの映画館でも実施されているかもしれませんので、ぜひチェックを!

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年7月27日 (木) 04時44分

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