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2006年9月17日 (日)

File.68 ロビー放送

夏休みも終わり、ようやく秋の気配を感じられるようになりました。この時期は映画館もひとまず客足が落ち着き年末興行までは閑散期となります。お客様の動員が少ない時期は繁忙期に比べご質問やご意見をじっくりと頂戴することができる貴重な期間であり、暇だからといって現場はのんびりしているわけにはいきません。繁忙期の反省や、今後の劇場運営についてじっくりと検討できる期間でもあるのです。

本日はお客様へのご案内業務の核となるロビー放送についてご紹介しようと思います。
映画館、とくにシネコンでは来場されるお客様に劇場のシステムや設備をご案内するために放送システムが設けられていて、状況に応じて様々なメッセージを放送しています。放送内容は多岐にわたり、いずれも
お客様に快適にお過ごしいただくために行われます。放送用のマイクはもぎり台と呼ばれる劇場入口に設置されていて、担当するスタッフが常駐するのが一般的です。シネコンの場合、来場者数が多いうえに複数のスクリーンを同時に運営しているシステムの関係で、お客様にその時々の状況をご案内することが大きな役割を持ちます。

いくつか代表的な放送例をピックアップしてみましょう。

「本日は○○シネマズにご来場いただきまして、まことにありがとうございます」
わざわざ当劇場を選んで足をお運びくださったお客様に対する感謝の気持ち。
「当劇場は全席指定・完全入替制となっております」
指定席制度・入替制度を実施している映画館は必ずこの文言を放送します。かつては入替制の映画館は少なかったため、改めてここでご案内をします。
「前売券・招待券などの特別鑑賞券はチケット売場で当日券とお引き換えください」
定員入替制の劇場はコンピュータで発券管理をしているので、特別鑑賞券は劇場が発行する当日券とお引き換えいただくことになります。これも大切な放送です。
「売店販売商品以外の飲食物お持込はご遠慮ください」
映画館も売店(飲食店)を営んでいます。お客様にご理解をいただくために。
「入場開始時刻は上映開始の約○分前です」
清掃終了後の入場となるので、一定のインターバルが必要です。

こうして見てみると、劇場の基本的システムに関するご案内がほとんどであることが分かります。とくにシネコンは運営会社が異なっても大体同じようなシステムで運営されているので、ほとんどのシネコンで上記のような放送が行われています。シネコンに慣れているお客様には当たり前の事柄ばかりかもしれませんが、初めてシネコンにご来場いただく方が戸惑うことのないように基本事項は頻繁に放送されます。

放送はお客様へのサービスであるので、その運用方法にも注意を払う必要があります。「お客様に快適にお過ごしいただくために」放送は用いると先述しました。使い方を誤るとかえってご迷惑になることもあり得るので見極めが難しいところではあるのですが、放送を多用するとロビーの雰囲気が騒がしくなるばかりではなく、お客様にも雑音として届く可能性があるのでスタッフは慎重に運用する必要がありますね。むやみにアナウンスを行うことは好ましくありません。

たとえばロビーが空いていてお客様もまばらな状態に何度もアナウンスを繰り返すのは明らかに過剰ですし、逆に混雑時に空席状況や混雑状況の説明がないのは不案内です。また同じアナウンスを行うのはある一定以上の時間を開けてからでないと、ロビーにいる間に何度も耳に入るため「何度同じことを言っているのだ?」と思われても仕方がありません。
このようにアナウンスを満遍なくしかも適度に行うにはある程度の慣れが必要で、またお客様に心地よく聞いていただける発声とリズムも大切です。
混雑時に落ち着いて放送を入れることは意外と難しいものですが、このときこそ放送の真価が問われるところでもあります。

放送は多くのお客様が欲する情報を、適切なタイミングで確実に伝達することが最大のポイント。そのため状況に応じて放送内容を様々に変化させて臨機応変に行える劇場が理想的です。しかし、実際のところ“過剰放送”と感じられる劇場も多いのが実情。アナウンス音量が明らかに大きすぎるようなところも散見されます。これらは劇場の方針なのだとは思いますが、映画鑑賞前後に騒々しいロビーでお過ごしいただくのは心苦しいので、落ち着いた環境づくりに配慮したアナウンスをもう少し実践してみてもいいのではないかと思うこともあります。
映画鑑賞前はなるべく落ち着いた雰囲気を、鑑賞後は作品の余韻を感じていただける場をお客様へ提供しようという映画館運営に大切な観点が抜け落ちていればこれはできないことです。

実際にアナウンスにまできめ細かく配慮をしている映画館は少数派でしょう。けれどもお客様はこういった劇場が普段「当たり前にやっていること」=「なおざりになりやすいこと」ほどしっかりとチェックされています。とくに放送は頻度、音量、内容、口調などによって特にそれを感じやすい業務です。接客態度の素晴らしい劇場は、きっと放送も気配りのあるオペレーションが行われているはずです。ロビー放送はお客様と劇場をつなぐホットラインと言える大切なものなのですね。

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