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2006年11月 4日 (土)

File.72 セクション配置

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さて、よくお問い合わせいただく内容のひとつが「映画館の仕事はどういうことをするのですか」
映画館の仕事と一口に行っても、全体像はなかなかつかみづらいものがあると思うので、ご質問が多いのも当然です。今回は映画館の仕事全般についてご紹介いたします。

映画館の仕事は大規模タイプのシネマコンプレックスか、小規模タイプの独立館かで多少異なりますが、大筋においては同じです。ここでご紹介するのはシネコンでの例となりますが、ミニシアターや単館においてもほぼ同様と考えていただいて差し支えありません。

シネコンでは業務における部署のことをセクションと呼ぶことが一般的です。このセクションがそれぞれ有機的に連動してシネコン運営が成り立っているので、どこかひとつが機能しなくなるとそれは劇場全体の運営に影響を及ぼします。よって、セクションごとの連携がスムーズに取れることが大切となるのです。

以下、主だったセクションをご紹介しましょう。

フロア(Floor)
映画館セクションで最大の大世帯を持っているのがこのフロア。フロアとはいわゆるホール係を指す仕事で業務内容は多岐に渡ります。お客様のご案内をはじめとして入口でのチケットもぎり(チェック)、劇場/ロビー/トイレの清掃やダストボックスの整理、混雑時の誘導、案内アナウンス…ざっと挙げてみても業務内容は様々です。

映画館ロビーにいるスタッフのほとんどがこのフロアセクション所属で、お客様と接する機会が最も多い最前線の仕事を受け持ちます。よってお客様からの声を直接聞くことも多いので、映画館の現状を肌で感じやすいことが特徴です。そして混雑時は押し寄せるお客様の対応で精一杯になったりしますね。週末になるとポスターの貼り替えを行うのもフロアの仕事です。
フロアは映画館の何でも屋、フロアの動向が運営の流れを占うといっても過言ではない、中心的な役割を担います。

ボックスオフィス(BoxOffice)
通称・ボックス、いわゆるチケット売場のことで映画館によってはテケツとも言います。入場チケットを販売するのが主な業務で混雑時は人が殺到する反面、閑散期はのんびりとした空気が漂うなど状況ギャップが激しいのが特徴です。

ボックスはお客様が場内で最初にやってくる場所なので映画館の顔とも言える存在、アルバイトでもボックス志望の方が意外に多いようです。また映画館のなかでは多額な金銭授受がある関係で、違算を発生させてしまうと大きな打撃を運営に与えてしまう責任があります。

各種ある前売券の券種や料金区分などを把握する必要があるほか、レイティング(映倫による視聴年齢制限)や青少年育成条例(参照 File.35 良い子はお家へ)のご案内もボックスの仕事です。座席指定制の映画館だとお客様のご希望に応じて空席をご案内することも大切ですね。

コンセッション(Consession)
日常生活ではあまり聞きなれない言葉ですがコンセッションとは売店、それも主に飲食売店を指す用語で通称はコンセ。もともとは譲歩を意味する英語ですが、シネコンでは場内売場や場内使用権、引いては売店という意味合いで使われています。

おなじみのポップコーンやホットドッグ、ドリンクにアイスクリームなど映画のおいしいお供を迅速に提供するお仕事です。コンセの成績いかんで劇場全体の営業成績にも影響してくる屋台骨的な役割を持っています(参照 File.4 飲食業で成り立つ映画館)。また意外に思われるかもしれませんが映画館の第一印象に占める役割が大きいのも実はこのコンセです。フロアと並んでスタッフ数が多く、賑やかな人が多いようです。

ストア(Store)
飲食物を扱うコンセと違ってこちらは映画関連グッズを販売する売店です。ポスターやパンフレットといった関連グッズの他に前売券、ギフト券(招待券)なども販売しています。映画館によっては会員カードの入会受付を行っているところもありますね。

他のセクションほど大混雑することはあまりありませんが、限定販売品や個数制限品などが入荷されたときは状況が一変します。商品の陳列・見せ方やセールストークなどある程度センスが求められる一面も。お客様によっては映画談義に花が咲くことも少なくありません。小さな映画グッズショップとも言えるセクションです。

インフォメーション(Information)
文字通り劇場のご案内係で通称・インフォ、インフォメ。ご案内は本来フロアの担当領域にあたりますが、劇場によってはひとつの独立セクションとしてインフォメーションを整備しているところがあります。お客様のご案内を一ヶ所にまとめることでより詳細かつ迅速に対応することができるわけですね。特に落し物のお問い合わせを一元化できるのが利点です。他にも駐車券の割引サービス処理などを行っていたりします。

インフォメーションはまだ広く浸透していませんが、今後はユーザー本位の劇場運営においてシネコンで増加することが予想されます。ワーナー・マイカル・シネマズの「サポートステーション」などが有名です。

プロジェクション(Projection)
当サイトとして推しておきたい(笑)のがこのプロジェクションです。通称・映写。読んで字のごとく映画を上映するのが基本業務で映画館のまさに心臓部と言えるセクションとなります。よってプロジェクションがひとたびトラブルを起こすと映画館全体が緊急事態に発展するほどの責任を有しています。

映画を上映するにあたっての上映設備知識・技術の他、丁寧な仕事が要求されます。お客様には直接見えないセクションなので謎に包まれている点が多いのも特徴ですが、仕事自体は地味なものです。この地味さを愉しめる人であればオイシイ仕事かもしれませんね。

オフィス(Office)
支配人やマネージャーが常駐する事務所のことです。ここで電話対応や映画館の運営に関わる事務業務を行います。映写が現場の心臓部であればここは劇場運営の心臓部です。業務内容は多岐に渡り、運営に関わる事務やPOP(広告宣材)の作成、関連企業との交渉や折衝、売上げの集計・報告、商品在庫管理と発注、劇場人事や企画立案などなど。

混雑時は支配人を筆頭に事務所が司令塔となってセクション全体の配置や動きを把握、指示を出します。ただし、基本的には現場が各自判断で動くことが求められるのでよほどのことがない限り事務所からは指示を出しません。なかには口うるさく指示を出している劇場もあるようですが…。

事務所は裏方に徹し、現場のスタッフを効率よくサポートすること、働きやすい職場を作っていくことが大切。混雑時の対応は現場スタッフがいちばんのベテランなので、むやみに指示をする必要はないわけです。逆に口うるさい指示はスムーズな業務の妨げになることも…。このあたりの判断をするにはオフィスのスタッフが現場での経験をしっかり積んでおくことが前提ですね。

以上、全7セクションをざっと紹介いたしましたが、何となく映画館の仕事内容が伝わったでしょうか? セクションの呼び名、仕事内容は劇場ごとに異なりますし、運用も様々なので参考までにお読みいただければ幸いです。

こうして見ると、映画館にも様々な仕事があることが分かります。そしてセクションごとにスタッフのカラー(個性)が違っていたりすることがあっておもしろいのです。たとえばフロアと映写とでは同じ劇場スタッフとは思えないほど個性が違っていたりするのです…。性格や個性によって仕事にも適性があるように感じられます。

次回は各セクションについて補足紹介をしていきます。

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