« File.76 フィリップ・ノワレ氏 逝く | トップページ | File.78 幕間インターバル »

2006年12月11日 (月)

File.77 新宿バルト9が始動

2004年1月に閉館した新宿東映会館(新宿東映、新宿東映パラス、パラス2、パラス3 東京都新宿区)跡地に建設中の新宿三丁目イーストビル建設工事が山場をむかえています。建物の老朽化と来年開通予定の地下鉄13号線を意識したこの再開発事業により、日本最大の映画街・東京新宿に初のシネコン(山手線の内側では4つ目)がオープンします。
東映にとっては代替劇場として近隣の新宿トーアを間借りする状況が続いていたこともあり、グループシネコンの東京都心進出およびフラッグシップシアターとして完成が待ち遠しい限りでしょう


現場周辺マップ

シネコンといえば郊外立地が当たり前だったのは昔話となり、東京ではTOHOシネマズ六本木ヒルズ(旧Virgin Cinemas六本木ヒルズ)を代表例に都心へのシネコン進出が加速。東京だけではなく札幌、埼玉、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡など主要大都市でも同様の傾向が見られ、熾烈な競争が始まっています(参照 File.14 映画館は都心回帰へ)。ティ・ジョイは博多駅ビルにも2011年に進出することが決定していることは以前にご紹介した通りです(参照 File.65 博多駅争奪戦)

新宿バルト9と同じ新宿三丁目地区には、新宿松竹会館跡地の松竹系シネコンが急ピッチで工事を進めており(参照 File.59 新宿松竹会館建替え続報)、渋谷区の東急文化会館跡地も東急系シネコンが待機中。新宿歌舞伎町も将来的には新宿三丁目シネコン2館に対抗したシネコンを建設する動きが見られ、今後も都心でのシネコンオープンが続くと予想されます。

今回オープンするこのシネコンは「新宿バルト9」(WALD 9 CINEMA)と名づけられ、東映と東宝が共同運営、中心となるのは東映系シネコンチェーンのティ・ジョイ(T・ジョイ)で番組編成も同社が行います。
ビルの核テナントはTOHOシネマズなんばと同じく丸井。新宿ではおなじみの企業です。百貨店の伊勢丹向かいにあるマルイシティが移転して営業を行います。


エントランスのイメージパース

ちなみにティ・ジョイはサイトごとに施設名称が異なることが多い特徴があり、通常は「ティ・ジョイ大泉」のようにティ・ジョイを冠しますが、新宿バルト9などネーミングだけではティ・ジョイと分からないサイトが複数存在しています。ティ・ジョイの経営で名称が異なるところはXYZシネマズ蘇我(千葉市中央区)、梅田ブルク7(大阪市北区)、鹿児島ミッテ10(鹿児島市)などがあり、バルトの名称は広島バルト11(広島県安芸郡府中町)に続いて2つめです。バルト(WALD)とはドイツ語で森林を表します。今年公開された東映映画の『バルトの楽園』のバルトはBART、あごひげの意味。映画を観れば“なるほど!”ですよ。

建設年度の古い映画館、しかも大劇場が多い新宿に最新のシネコンが出来るということで、以前から映画館ファンの間では何かと噂になっていたこの新宿バルト9。オープン日も2007年2月9日に決定し、現在は内装工事の真っ最中でその内容が気になりますね。

コンセプトは「エンターテインメント・コンプレックス」

ファミリー層向けの内装仕様が多い従来のシネコンの常識を覆し、ロビーはオペラハウスをイメージした高級感あるデザインを採用。イベントの行えるステージや豪華なラウンジを完備するなどの新基軸を導入しています。今までにもワールドカップ中継を上映するなど様々なイベントを行ってきたティ・ジョイだけに、ここでも映画とイベントをコラボレーションした運営が予想されずいぶんと賑やかな印象の映画館になりそうです。
劇場設備にはティ・ジョイが積極導入しているデジタル上映設備・
DLP映写機を全9スクリーンに導入します。DLPなどのデジタル映写機はシネコンでは通常1サイトあたり1~2スクリーン程度の導入なのでこの設置台数は断トツで国内トップです。

先般オープンのユナイテッド・シネマ豊洲とTOHOシネマズなんばも新機軸を打ち出した都市型シネコンで話題となりましたが、新宿バルト9も同様に注目を集めそうですね(参照 File.61 東西最新シネコン)
オープンまであと約2ヶ月。アルバイトスタッフの募集もすでに開始され、いよいよ本格始動です。映画館の仕事に興味がある方は問い合わせてみるのも良いと思いますよ。一般的に新規オープン採用はセクション決定に本人の希望が尊重されやすいことが多いです。

折りしも12月9日には新宿文化シネマがリニューアルして新宿ガーデンシネマとシネマート新宿がオープンし、新宿の映画館勢力図も大きく変わろうとしています。5月に閉館した新宿松竹会館は解体が完了して、今後は建設工事が始まります。新宿プラザ劇場の改修工事も今週で完了しリニューアルオープン。胎動する映画街・新宿から今後も目が離せません。

☆新宿バルト9概要

計画名称:新宿三丁目東地区第一種市街地再開発事業
建築名称:新宿三丁目イーストビル
建築面積:1,805平方メートル
延床面積:26,450平方メートル
階数:地上14F・地下3F(地域変電所) 最高高さ80.7メートル
工事完了予定日:2007年1月31日

劇場名称:新宿バルト9
所在地:東京都新宿区新宿3-1-26 新宿三丁目イーストビル9~14F
経営:新宿バルト共同事業体(運営・番組編成、株式会社 ティ・ジョイ)
施設規模:5,500平方メートル(1,663坪)

9F
 #1 70席
 #2 138席
 #3 149席
11F
 #4 81席
 #5 228席
 #6 409席
13F
 #7 81席
 #8 253席
 #9 433席
全9スクリーン 1,842席(普通席1,825席、車いす席17席)
全スクリーンDLP対応

フロアごとの劇場キャパシティに共通点があって分かりやすいですね。1、4、7番が小規模館で2、5、8が中規模館、6と9がメインスクリーンになっています。最大館が433席なので新松竹会館の1番635席と比べると大人しい印象を受けますが400人クラスが2箱あることでカバーしているようです。映像や音響品質などは完成してみないと分からないので、今からとても楽しみです。

関連記事 File.80 新宿バルト9続報

|

« File.76 フィリップ・ノワレ氏 逝く | トップページ | File.78 幕間インターバル »

映画・テレビ」カテゴリの記事

映画上映設備」カテゴリの記事

映画業界のお話」カテゴリの記事

映画関連ニュース」カテゴリの記事

映画館のお仕事」カテゴリの記事

映画館のお話」カテゴリの記事

コメント

月夜野さん こんにちは。
都心に、それも新宿などというメジャーな土地に新しいシネコンが出来るとは。
楽しみですね。
最新の設備の整った、しかも個性のある箱が増えることは映画ファンにとっては何よりです。選択の余地ができますものね。
単管が減っていくのは寂しい気がしますが、これも時代の流れでしょうか。

投稿: Angelita | 2006年12月17日 (日) 16時18分

Angelitaさんこんにちは。

シネコンの都心進出が本格的になってきました。札幌、川崎、福岡などは以前からその傾向がありましたが最近は東京と大阪の二大都市も同様ですね。

最新のシネコンが至近距離で2館できることで近隣の映画館に対するインパクトは大きいと思います。新宿地区のみならず池袋や六本木、渋谷などにも影響は波及すると思われます。

一方で古くからのロードショー館の再編も進むことが予想されます。ドン!と構えた劇場が多い土地なので時代の流れではありますが大きな変革期がきたように感じます。

投稿: 管理人:月夜野 | 2006年12月19日 (火) 02時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/30969/4487901

この記事へのトラックバック一覧です: File.77 新宿バルト9が始動:

» 【新宿ホテル】シーンにあわせて素敵なホテルを選択 [新宿ホテル]
たくさんある新宿のホテルの中から予算やシーンによってホテルを紹介します。 [続きを読む]

受信: 2006年12月11日 (月) 03時42分

» 12/8(金) 明日オープンする映画館 [「高橋祐太・脚本家ページ(仮)」のつぶや記]
こちらのニュースで、 来年2月にオープンするシネコンのことが書いてありますね。 旧新宿東映の跡地にできる「新宿バルト9」 東宝と東映の共同で、 新宿文化シネマ系列もこちらに移動させるのでしょうか。 フリーパスは使えそうもないですね……。  * * * その新宿文化シネマの4スクリーンが、 明日9日より、新しい映画館としてオープンします。 まずは角川ヘラルド系の新宿ガーデンシネマ。 300席と5... [続きを読む]

受信: 2006年12月12日 (火) 05時28分

» 2007.2.9 新宿バルト9オープン [production note of < kaname's favourite things!! >]
−新宿区新宿・東京都− [続きを読む]

受信: 2007年1月 3日 (水) 22時00分

» アンフェアthe movie ネタバレなし編 とバルト9(カルトQではない) [できるだけごまかさないで考えてみる]
 いや〜、いろいろあって、更新が遅れた。この映画は色々な意味で40点(/100点)! ワンシーンより。今一番風が吹いている女優であろうと思うが、この映画ではやや空振りか。  最近はドラマの最終回が多くて、ドラマ系のネタの方にドライブがかかっているが、この流れに乗じてようやく映画レビューができる(ブログにも勢いが必要だ)。ここで映画レビューをやるのは実に1年ぶり以上か。篠原涼子つながりで、つい「ア... [続きを読む]

受信: 2007年3月20日 (火) 23時50分

« File.76 フィリップ・ノワレ氏 逝く | トップページ | File.78 幕間インターバル »