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2006年12月27日 (水)

File.78 幕間インターバル

近年は定員入替制を導入してチケットに上映回の指定を行う映画館が増えて、以前のように好きな時間に入場できる映画館が減少してきています。チケットを購入後に入場しようと劇場入口に出向くと「まだ開場前なので…」とロビーで待たされた経験がある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今日は映画館の開場時間と、上映の合間の時間についてお話したいと思います。

映画館の上映パターンはあらかじめ設定された上映時間表に基づいて動いています。ホームページを持つ映画館だとサイト上で上映時間を案内していますし、新聞広告や情報誌などでも知ることができます。映画を観に行く際はこの上映時間表を参考に劇場へ出かけるわけですが、定員入替制の映画館へ上映時間よりも早くに出向いてしまうと開場時間まで待つことになってしまいます。

では開場時間とは何なのでしょうか。
以下は参考例の上映時刻です。

『硫黄島からの手紙』
初回:9:30~12:00
二回目12:20~14:50
三回目:15:10~17:40
四回目:18:00~20:30
最終回:20:50~23:20


上映時間表に記される時間は
上映開始時刻であり開場時間とは異なります。この時間表を見ると二回目は12:20から上映がスタートすることは分かりますが、開場時間を知ることができません。
開場時間の設定は劇場の運営方針や混雑状況によって様々ですが、
上映開始時刻の10分から15分前が一般的になっています。上記の12:20上映開始を例にすれば12:10から12:05くらいが大体の開場時間と予測できます。

初回の上映終了時刻は12:00なので二回目の上映まで20分間の間隔があることが分かります。この時間帯を幕間とかインターバルと言い、映画館では開場準備作業を行っています。作業が終わって準備が完了したときが開場時間となり、記事冒頭に挙げた例ではこの開場準備中か、前回の上映中に入場しようとしたためにお断りをされてしまったというわけです。

幕間では何が行われているのでしょうか。続いて開場準備作業を簡単にご説明しましょう。

☆場内清掃
次回のお客様をお迎えするためになくてはならない作業です。大入りのときは清掃時間も長くなるため違うセクションから応援を呼んで人海戦術で対応します。清掃しながら落し物がないかもしっかりと確認します。
おもしろいことに入場者数とは関係なく
作品によって場内の散らかり具合に差があり、作品ごとの客層によって変わります。これが不思議なほどに差があるんですね。入場者数が少ないのに派手に場内が散らかっている作品がある一方で、大入りでも清掃不要なほどきれいな場内の作品があり…。初日から上映最終日までこの傾向は一貫して続くことが多いです。
清掃は幕間の限られた時間で行うので念入りにはできません。また入替制ではない劇場では清掃を行わないところもあります。次回の利用者に気持ちよくご利用いただくために、ごみはごみ箱に捨てるよう心がけたいものです。

☆売店の商品補充とチケット売場・ロビーの列整理
開場後は売店が非常に混雑するのでそれを見越して商品を補充しておく必要があります。ポップコーンは比較的短時間にまとまった分量が作れて保存もできますがホットドッグ、ピザ、ポテトなどは調理時間がかかるうえ保存できる時間も限られるので販売数量を予測して準備をしなければなりません。
チケット売場ではスムーズに利用いただくため列を整理してご案内します。パテーションと呼ばれるポールを使って列を形作ります。混雑状況や売場のスタッフ数に応じて列の形状を変えたり、最後列にスタッフを配置してご案内するなど臨機応変に対応します。同時にロビー内でお待ちいただいているお客様が混乱しないように開場予定時間をお知らせすることも大切ですね。

☆上映準備
映写室では次回上映作品の準備を行われます。前の回に続いて同じ作品の上映ならプリントを巻き返してスタート位置まで戻します。巻き返し不要のノンリワインド映写機だとプリントを映写機に再セットします(プリントが映写機から外れて巻き取り台に巻き取られているため)。
同じスクリーンでも前の回と次の回とでは上映作品が異なることもあるので、この場合はプリントを交換して映写機に再セットします。音響フォーマットやスクリーンの縦横比などが変わるときは映写機の設定を変更し、場内BGMも作品に応じて変えるなどします。

これらの作業が完了してお客様をお迎えする準備が整ったらようやく開場です。限られた時間での入念な清掃や準備は難しいため、映画館によっては幕間インターバルを多めに設定して余裕を持って開場準備を行っているところもあります。
意外なようですが幕間インターバル時間の設定は劇場にとって重要なポイントで、時間の取りかたひとつで混雑を緩和させたり、上映回数を増減させたりと様々な影響力があります。いわば
一日の劇場運営の基本軸を形成する大切な時間なのです。

開場準備に割ける時間もこの幕間インターバルが握っています。スタッフにとってはインターバルが長くあればより念入りに場内清掃ができ、映写準備も落ち着いて作業を行うことができるなど精神的な余裕が生まれます。タイトな時間設定では混雑時は作業が大雑把になりやすく、ミスが発生する可能性も高まるのであまり好ましくありません。
上映時間スケジュールの組み方は劇場によって様々な個性があります。普通は上映開始と終了時刻くらいしか気にしないものですが、たまには幕間の取り方を意識して観察すれば面白い発見があるかもしれませんよ。

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コメント

あけましておめでとうございます!
新年よりたくさんのコメントを頂き、
ありがとうございました。

新年早々、驚き&嬉しい気持ちになりました。

ドルビーのこと、ご説明ありがとうございました。
父が教えてくれたこの言葉が、このような形で役に立つとは(笑)。

少しずつですが、音とか映像とか、
勉強していきたいと思います。

こちらこそ、本年も宜しくお願いいたします!

投稿: dora-sw | 2007年1月 6日 (土) 00時04分

dora-swさん、あけましておめでとうございます。

音と映像のシステム、設備などを知ると映画や映画館の新たな一面が見えてきます。ドルビーなどはSWファンとして知っておいて損はないと思いますよ!

こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。

投稿: 管理人:月夜野 | 2007年1月 7日 (日) 09時53分

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