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2007年4月 8日 (日)

File.86 権限委譲

これまで映画館のお仕事について何度か記事を掲載してきました。映画館の仕事内容(現場)について詳しくお知りになりたい方も多いようなので、今回も仕事に関連した内容をご紹介したいと思います。

映画館の業務は営利活動でありサービス業です。よくマスコミや映像制作業と混同されるのですが、映画館はお客様から金銭をいただいて映画と鑑賞環境を提供する商いであって、業種で分けるならサービス業の性格が最も強い仕事だと思います。
そのため華やかなマスコミのイメージを抱いて入社すると、イメージとのギャップに驚かれる方もいるようですね。もちろん、映画館での業務が映像関連企業との人脈作りに役立つこともありますし、舞台挨拶やイベントが多い映画館(大都市圏に集中してしまいますが)だと意外なつながりができることもあります。

映画館で正社員として働く方法は、多くの企業と同じように新卒採用や中途採用を通過するほか、アルバイトから契約社員を経て正社員を目指す道もあります。これら社員登用については日を改めて詳述したいと思います。

このように映画館では正社員、契約社員、アルバイトの主に3種の雇用形態によって成り立っていて、前者ほど全従業員数に占める人員割合は少なくなり、営業を前線で支えているのは多勢のアルバイトということになります。映画館に訪れたお客様と接する劇場係員のほとんどがアルバイトといっても過言ではありません。

普段は現場にいない正社員や契約社員は主にオフィスで事務・雑務を行っています。繁忙期で現場が大混乱に陥りそうなときはオフィスに最低限の人員を残してアルバイトの補助に向かうこともしばしばです。社員はオフィスでデスクに向かって仕事をしていれば良いわけではないのですね。
このことはアルバイトがいちばんよく見ているので、混雑時にも手助けを渋っているような社員はアルバイトスタッフ間ではすこぶる評判が悪くなるようです(笑)。

サービス業の映画館、しかも繁忙期ともなると増えてくるのがお客様からの意見・要望、指摘です。これをクレームと言うといわゆる「ゴネる」イメージを思い浮かべてしまうことがあるのでお客様からのご意見として取り扱うのが良いでしょう。
ご意見は運営における大切な経営資源のひとつなので軽視することはできません。
自分たちの劇場に足を運んでくださったお客様がわざわざご意見を出すまでに至った経緯と原因を受け止め、開発的に対処していく必要があります。ご意見の100%を運営にフィードバックすることはできませんが、分析をして劇場の問題点を洗い出していくのは大切な作業となります。

前述したように現場のスタッフのほとんどがアルバイトということは、電話を除けばお客様から直接ご意見を頂くのもアルバイトに他なりません。ご意見の内容は実に様々で「場内が寒い(暑い)」といった空調管理の不備、「映像がぶれていた、音がおかしい」など映写不備についてのご意見が特に多いようですね。

このようにご意見をいただいたときに現場のスタッフがお客様への対応を判断するのか、オフィスの社員に委ねるのかは大きなポイントとなり、基本としてはご意見を頂戴したときは契約社員以上の人間が対応することになります。ある程度の地位・役職の者が対応することはお客様に対しての礼儀であり、どのような業種でもこれは当てはまります。

劇場や会社によって様々ですが、ご意見に対してアルバイトにある程度までの対応判断を任せているところもあります。これはよりスピーディーに対応するとともに他セクションへの負担を緩和するためのシステムなのです。ご意見対応のために逐一社員が向かうということはお客様にそれだけ待ち時間を強いることになり好ましくありません。

ご意見⇒アルバイトが対応⇒社員に報告⇒社員が現場へ⇒社員が再びご意見を伺う⇒対応をとる

社員対応だとこれだけの手順が必要になりますね。ふたつめの「アルバイトが対応」の時点で権限を委譲しておけばお客様の待ち時間や労力を緩和させることができます。ここで判断がつかないような事案があった場合は社員に報告すればいいのです。

管理人もいくつかの映画館でお客様からご意見を受けているスタッフの姿を見たことがありますが、(管理人が思うに)現場が判断できそうなご意見に対しても社員を呼び寄せることでお客様の怒りを増大させてしまっている事例を何度も見たことがあります。とくにお怒りのご意見のときはお待たせすることと、同じことを繰り返し言わされる(または相手が言う)ことは逆効果で、さらにお客様の不満を大きくしてしまいます。また社員が接客中や電話応対で手を離せない状態だと延々とお待たせることに…。
現場判断できそうな事案の場合には社員を呼ばずにアルバイトリーダー等がその場で判断し、接客することで収束することがほとんどです。この場合は確実に判断応対ができる事案に限られ、内容については社員に報告することが必須となります。

またご意見を頂戴したアルバイトと駆けつけた社員が対応することでスタッフ2名が拘束されることになるので繁忙期には労働力の大きな痛手となって他のセクションへの負担が増してしまい、引いては来場者全体への待ち時間増大につながります。
アルバイトで対応できる範囲をあらかじめ決めておくことで、お客様にとっても会社にとっても有意義になるのです。お客様の立場に立つが原則ということです。もちろんアルバイトでは判断のつかない例も数多くあるので、そのような場合は積極的に上司の判断を仰ぐことが大切です。

このようなスムーズな接客を実現するためには社員とアルバイトが信頼しあってなければいけません。つまりは職場の信頼関係と和がなければ行えないことなのです。社員がアルバイトを信頼していなければ権限委譲はできませんし、アルバイトが社員と好意的な関係でなければ報告するのをためらうこともあるかもしれません。常日頃から職場を和やかに保つ努力も社員にとっては大切な仕事の一つと言えますね。
ご意見対応には各方面各業種に様々なノウハウがあると言います。映画館以外の職業の対応例を参考にすることで、お客様に還元できることが増えるように思います。

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コメント

 電話をした時、言葉遣いで社員かバイトかわかることがあります。チケットカウンターでも、お客さんが多いときは、社員が応対するときもありますね。

 ただ、映画館だけの問題じゃないんですが、今の企業って、あまりにもバイトや契約社員に依存し過ぎている傾向があり、それが好ましくないのではないかと気になっています...

投稿: むぎわら帽子のジミー | 2007年4月 9日 (月) 21時27分

むぎわら帽子のジミーさん、こんにちは。

映画館でもシネコンになるとスタッフは大所帯になります。大きなところでは100人はゆうに越すスタッフが在籍していることもあります。
他の企業も同じですが人件費がやはり大きいのですね…。映写の仕事だと給料と実務がつりあわないとの声も耳にします。

問題なのはアルバイトに依存することよりも、正社員がいない(!)映画館です。信じられないようなことですが1500~2000人収容規模のシネコンでも平日は社員1~2人の出勤っていう劇場があったりするんです。何かあったときは大変でしょうね…。
もちろん祝祭日などは出勤者数も増えるのですけど、人手不足は深刻だとは思います。

投稿: 管理人:月夜野 | 2007年4月10日 (火) 07時06分

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