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2007年4月12日 (木)

File.87 IMAXメモリアル 1

2007年3月31日、日本から二つのアイマックスシアターが姿を消しました。メルシャン品川IMAXシアターメルシャン軽井沢IMAXシアターです。

IMAXと言ってもあまり知られていないかもしれませんね。IMAXとは通常の映画フィルム(35mm、4パーフォレーション)の約10倍ものサイズ(70mm、15パーフォレーション)のフィルムを用いた撮影・上映システムのことで技術開発元はカナダのIMAX社。

撮影用フィルムは記録面積大きいほど情報量が増します。つまり8mmより16mm、16mmよりも35mmが高画質ということで、IMAXはその比類なき記録面積により35mmフィルム上映に比べても圧倒的な解像度と立体感を持つ映写が可能となっています。
スクリーンサイズも高さ15m×横20mを越えるものが使用され文字通りIMAX(Image Maximum)と呼ぶに相応しい贅沢な映像システムとなっています。

日本においては1970年の日本万国博覧会(大阪万博)で初披露されて以来、日本各地にIMAX技術を用いた上映館が建設されました。しかし2001年に日本を代表するIMAXシアターだった東京IMAXシアター(東京都新宿区)が閉館、その後も富士通ドームシアター(千葉市美浜区)や穂高IMAXシアター(旧長野県穂高町、現安曇野市)などが相次いで閉館しました。
映写機材の特殊性から封切映画の上映が極端に少ないことと宣伝不足による知名度の低さもあって残念ながら
大型映像上映館は日本では今もなお馴染みが薄いのが現状です。科学館や生涯施設を除いた常設IMAXシアターは、大阪市港区のサントリーミュージアム天保山IMAXシアターを残すのみとなりました。

IMAXについての技術的背景への言及はまたの機会にして、今回は先日閉館したメルシャン品川IMAXシアターを偲びたいと思います。品川の閉館により首都東京から完全にIMAXの灯が消えたことになり残念な限りです。

IMAXシアターメモリアル Vol.1
~メルシャン品川IMAXシアター 1~


メルシャン品川IMAXシアター周辺マップ
品川プリンスホテルのほぼ中央部に位置し、品川駅前の立地で交通至便。IMAXシアターに隣接して全10スクリーンの品川プリンスシネマ(35mm上映館)が営業しています。
なお、品川プリンスホテルは立地こそ品川駅前ですが所在地は港区高輪です。地図を見れば分かりますが品川駅自体が港区にあるんですね。京浜急行の北品川駅は品川駅より南側にありながら「北品川」でこちらは品川区です。鉄道マニアには有名ですが知らないと何ともややこしい!?

Google Earthで見たらこんな感じ
中央の円形低層建築の6~7階にIMAXシアターがあります。それにしても品川プリンスホテルは規模が大きいですね。画像周辺がぼけて見えるのはGoogle Earthの無料提供版だからです。ご容赦ください。
(経緯度:35°37'40.59 139°44'10.88)


メルシャン品川IMAXシアター DATA
所在地:東京都港区高輪4-10-30
開館日:2002年4月24日
総座席数:271席
スクリーンサイズ:16m×22m
最終上映作品:『ブルーオアシス2・DEEP SEA』、『T-REX ショートバージョン』



品川駅前から見た品川プリンスホテル
近年の再開発によってプリンスホテルは一挙に高層化されました。中央のひときわ大きい建物がメインタワー(39階建て143m)、右奥がアネックスタワー(32階建て108m)。京浜急行品川駅舎の右横に写っているのがイーストタワーで旧本館にあたり、元は修学旅行生用に建設されました。品プリといえばこの建物を思い浮かべる人も多いでしょう。客室総数3,680を数えるこの巨大ホテルの中央部にIMAXシアターがあります。




メルシャン品川IMAXシアター外観
Google Earthの画像と比較してみると位置関係が分かりやすいと思います。正面のガラス張りの建物にはIMAXシアターの他にスーベニールショップやフードコートが入居しています。奥手の高層建築がメインタワー、画像には写っていませんが左手にイーストタワーがあります。



目立たないけれどIMAXのロゴが
よく見ると上層部にネオン看板が掲げられています。周りに派手めな色彩が多いので目立っていないですね。実にIMAXらしいというか…。



メインタワーとのツーショット
あいにくの曇空のうえの夕方だったので空は美しくありませんが、この2つの建築の対比はなかなか素敵です。



大きなIMAXの広告
品川プリンスシネマの脇にあるIMAXシアターへの通路には、こんな広告が掲げられていました。これはIMAXに興味がない人には訴求力のない広告かもしれません。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの初期のTVCFもそうでしたが欧米のビジュアルイメージをそのまま日本で使っても違和感が先行してあまり宣伝効果がないように思います。
2D(平面映像)、3D(立体映像)問わずIMAXは高度で素晴らしい映像技術なのでそれをもっと押し出してほしかったと今になって思います。IMAXで見る『マトリックス』(キアヌ・リーブス主演のあのマトリックスです)とかは本当に凄かったですから…。もうすぐ『スパイダーマン3』のIMAX版も世界公開される矢先の閉館で残念です。広告の色褪せ具合が寂しさを醸しだしているようです。



メインロビーの様子
ホテルの一角だけあって、非常に清潔感のあるロビーになっています。床もピカピカですね。左手にショップとチケットボックス、中央がスポンサーであるメルシャンのディスプレイ、右手が劇場入口です。
閉館が決定した後も動員数は芳しくなかったようで、入替時間には10名ほどのお客様が場内から退出してきました。



Simax7
チケットボックス全景
オープンカウンターのシンプルなチケット売場です。白色基調でまとめられていて、さりげなくポスターを飾るなどセンスの良さを感じます。奥に神札が置かれているのが印象的。



Simax8
上映作品の案内板
メルシャン品川IMAXシアターの最後を飾った『DEEP SEA』と『T-REX』のポスターがロビーに掲げられています。両作品とも3D映画で特殊偏光眼鏡を使用して立体映像を実現しています。ユニバーサル・スタジオの「ターミネーター2:3-D」と似ていますが、IMAX映写による巨大スクリーンの迫力にはさすがと感じさせられます。
とくに『DEEP SEA』は海中生物たちを丹念に追った良質のドキュメンタリーで、IMAXの途方もない情報量とスクリーンサイズのおかげでさながらスキューバダイビングをしているかのような臨場感が味わえます。
右のポスターはIMAXのキャッチコピー
「think big.」を謳っています。



Simax9
気品ある劇場エントランス
ゲートをくぐるともぎり台、その奥はガラス張りの明るいフロアとコンセッションが用意されています。映画館というよりも、さながらエアポートラウンジのような高級感があります。IMAXシアターだと気づかずに、品川プリンスシネマと間違ってこちらに来てしまうお客様も多いみたいですね。こんな気品ある贅沢な映画館はなかなかありません。



Simax10
燦然と輝くIMAXロゴ
エントランス上部に輝くIMAXのロゴマーク。サイバーな青色とメタリックな質感がIMAXにとてもマッチしていますね。メルシャンがスポンサーなので脇にはしっかりとメルシャンロゴも設置されています。
IMAXのレタリングはシャープさが際立っていて、個人的にはTHXと同じく見るとわくわくするロゴです(笑)。

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コメント

さみしいです。
押井守の「イノセンス」を見た時は、客席の傾斜の助けもあって、初めて主人公の目線を体感出来ました。
それまでに劇場で四度見た作品でしたが、imaxでの鑑賞はまったく新鮮な映画体験でした。
テレビが大型化しハイビジョン視聴が可能になりディスクがブルーレイになろうと、あれ以上の経験はできない予感に、あらためてさみしさを感じます。

投稿: inuneko | 2007年4月12日 (木) 13時51分

IMAXがなくなって本当に残念。
私がここで観たのはハリーポッター炎のゴブレットとVフォー・ヴェンデッタだけですが、ハリポタの冒頭のワーナーブロスのロゴを見ただけで度肝を抜かれましたっけ。
以来すっかりあの大きなスクリーンの虜になり、ハリーだけで10回以上も観にいきました。そのうち一回はたった一人での鑑賞という貴重な体験をしました。あの大きな画面を独り占めしたのは忘れられない思い出です。
今年の夏は不死鳥の騎士団をここで観るのが楽しみだったのに本当に残念。
写真よく撮れていますね。よい記念になります。

投稿: Angelita | 2007年4月12日 (木) 22時36分

inunekoさん、ご来訪ありがとうございます。
『イノセンス』をご覧になったのですね。アニメでは『ファンタジア2000』を東京IMAXシアターで見ましたがこちらも新鮮な映画体験でした。
単に画面が大きなだけでなく70mmフィルムの膨大な情報量があってこその映像です。巷では2K DLPや4K Pure Cinemaなどが注目されていますがIMAXの足元にも及ばないのが現状です。そのぶん費用もかかるシステムなのですが…。

Angelitaさん、こんにちは。
IMAX DMRを貸切!それは凄いですね。というか何たる贅沢でしょう。
IMAX DMRであればUC豊洲#10と画面サイズはほぼ同じです。しかし35mmからリマスタリングした70mmの描写力には感服させられますね。デジタル映写も性能向上が著しいですが、IMAXのあれがフィルムの底力です。
IMAXのVって見てみたかったですね…。ラストの爆破シーンの音響とかも凄そうです。

投稿: 管理人:月夜野 | 2007年4月13日 (金) 00時15分

すごいでかい画角の映画館ができたんだ。行きたい!!
と、思ったら閉館ですか(T-T)
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 のチケットが手に入ったので、せっかくだからここで見ようと思ったのに残念です。

投稿: かえる | 2007年4月18日 (水) 00時15分

かえるさんこんにちは。

ここはIMAXシアター(通常の映画フィルムとはサイズが違う)なので『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の上映はあり得ませんよー。
とはいえ閉館は残念です。実は正確には閉館ではないのですが、これについては本記事にて追記します。

投稿: 管理人:月夜野 | 2007年4月18日 (水) 02時07分

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