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2008年2月10日 (日)

File.104 元気コンセ

映画のお供といえばポップコーン。映画館でフード&ドリンクを買うのを楽しみにされている方も大勢いらっしゃることでしょう。今回はコンセッション(飲食物売店)の意外な役割についてご紹介しようと思います。あわせてこれまでのコンセッション関係の記事もご覧いただければ幸いです。

コンセッション関連の過去記事
File.4 飲食業で成り立つ映画館
File.12 シネコン~その革新性
File.19 ポップコーン百花繚乱
File.32 すくい技
File.72 セクション配置
File.73 セクション選び

映画館におけるコンセッション(英Concession:譲歩の意味)とは飲食物を主に販売する施設のことを指す言葉です。元々は業界用語でしたが今はシネコン等においては一般的な用語として定着しつつあり、館内放送や場内コマーシャルフィルムなどでも耳にするようになりました。映画館以外の業種ではあまり使われてはいないようです。

コンセッションは映画館のロビーのなかで最大の占有面積を要する施設なので、劇場設計の際は配置場所に配慮がなされます。チケット売場や劇場入口等他の施設とのバランスが取れたレイアウトをしないと導線が乱れて居心地の良くない劇場になってしまうからです。

また施設の性格上、横長の間口が必要でカウンターの裏にバックヤードを設けるため、見た目以上にスペースを割く施設でもあります。コンセッションの背後が劇場になっているなど充分なバックヤードスペースが取れないサイトは別の場所に倉庫や冷蔵庫を設置します。
スペースの節約のためにチケット売場とコンセッションを一体化して設置する手法もあり、この場合は従業員出入口とカウンターを統合し、見た目もすっきりとさせることが可能なうえ、お客様の集中箇所を固定できるのでロビーの混雑整理も行いやすくなります。


限られたロビー空間の中央部に位置するコンセッション

さて、コンセッションは飲食物を販売することが役割であることは言うまでもありませんが、その他にも意外な役目を担っています。映画館と言うのは内装や設計コンセプトにもよりますがロビーは大方において薄暗く落ち着いた雰囲気を作り出しているところが多く、劇場スタッフもことさら大きな声で誘導したり賑やかな演出を施すことも通常はありません。このため人出の少ない時間帯にはロビーが閑散として寂しい状況になることもしばしば。薄暗いデザインが多いシネコンではなおさらです。

こんなときはコンセッションスタッフの出番。「出来立てのポップコーン、ホットドッグはいかがでしょうか」とロビーのお客様にお声をかけるだけでロビーは活気付いてきます。ウソのような本当のお話しです。チケット売場スタッフやフロアスタッフはこのようなセールストークをロビーで発する機会はあまりないのでコンセッションが重要な役割を担っています。フロアスタッフは相乗効果を出すために館内放送でコンセッションのメニューを案内するとなお効果的で、ポップコーンの出来上がったタイミングで案内すると香りに吸い寄せられてお客様がやってきます。

このようにコンセッションはロビーの活気や賑わい創出のカナメになるセクションで、映画館全体の雰囲気を決定することもある重要な役割を持っています。コンセッションスタッフが元気で活発なメンバーの映画館は劇場全体の雰囲気も明るいムードが漂っていることが多く、裏を返せばコンセッションが陰気なサイトは施設全体が沈滞ムードになりかねない危険をはらんでいるのです。

暗い雰囲気のロビーでもコンセッションが活発に活動していれば、その効果は全体に波及してひとつのうねりとなり劇場全体に元気を与えていきます。商品を売るだけに終始するようなコンセッションは、この機能を活用できておらずもったいないですね。コンセッション周りの照明や色使いを明るくするなども隠れた工夫のひとつ。このような演出で劇場の活気作りにコンセッションは貢献しています。


カラフルな色使いを多用して、明るく活気ある雰囲気を構成

他にもコンセッションではカウンターを離れての営業も行うことがあります。大入りのスクリーンでアイスクリームやお菓子などを野球場で見られるような売り子スタイルで劇場内販売をするのです。こういった昔ながらの販売スタイルは現代では新鮮に映ることもあって若年層を中心に人気があります。
スタッフは薄暗く段差の急な劇場内でやりとりをする苦労もありますが、販売数が多いと充実感もひとしお。また普段はカウンターから出ることのないセクションなので劇場内で販売することによりお客様の反応を見ることができたり、客席を渡り歩くことで「映画館で働いている」ことを実感するなど発見も多くあるものです。

単発的な試みとしては映画作品と連動したコンボセット販売、食材納入企業の商品PRイベント、期間限定メニュー売り出しなどで賑やかさを作ることも効果的ですね。コンセッションは単なる売店にとどまらない自由度の高いイベントスペースと言っても過言ではなく、活用次第でいくらでも映画館の雰囲気を盛り上げていくことができます。
スタッフ手作りのPOPで新商品の紹介をすると親しみもわきますし、ポップコーンマシーンの使い手は小さなお子さんの人気者です。コンセッションカウンターをイベントステージとして見立てれば多くの可能性が見えてきますね。
活用の仕方ひとつで映画館全体のエネルギー感を左右する重要なセクションがコンセッションなのです。

あなたの行く映画館はいかがですか?「あそこの映画館は活気があってワクワクする」。「こっちの映画館はちょっと雰囲気が暗いなあ」。そう感じたらコンセッションに目を向けてみてください。劇場の活気とコンセッション、何かしらの因果関係がきっとあることでしょう。

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