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2008年2月24日 (日)

File.105 WMC東岸和田メモリアル 1

日本で最初のシネマコンプレックスとして知られるワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田(大阪府岸和田市 以下WMC東岸和田)が2008年2月3日(日)をもって閉館しました。日本の映画興行界に外資系シネコンという新風を吹き込んだWMC東岸和田のオープンは今から15年前の1993年4月29日。その直前の24日にはWMC海老名もオープンして両館がシネコンの先駆けとして認知されています。

WMCの閉館は今回が初めてではありません。以前にWMC鈴鹿、WMC福岡東、WMC石巻の3サイトが閉館されています(参照 File.79 WMC石巻閉館)。しかしいずれも閉館にあわせて代替サイトをオープンさせていることに対して、WMC東岸和田はシネコン史上初の代替サイトがない純粋な閉館となります。最寄のWMCは約13km南方のWMCりんくう泉南(大阪府泉南市)です。

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シネコンの先駆けというだけあってオープン当時は周囲に同様の映画館はなく、近隣の映画ファンは大阪ミナミの映画館で鑑賞するのが主流だったようです。現在は珍しくなくなったシネコンの形態も当時は物珍しさもあり休日ともなると近隣道路は「ワーナー渋滞」とも呼ばれるほどの集客を見せ大盛況だったそうです。
映画館は繁華街に立地するのが常識だった当時に都心部から離れた郊外に立地して、アクセス手段は鉄道と自動車のどちらでも利用可能という利便性の高さは映画ファンの心をつかみ、映画興行の新しいモデルケースとしてWMC東岸和田の名は知れ渡ったのです。

拙サイト管理人も過去記事で触れている通り、過去に何度かWMC東岸和田を利用したことがあります。その頃は今と違ってシネコンやデジタル音響システムは珍しかった時代で、行く度に充実した設備の素晴らしさに感服したものです。いまこうして映画と映画館のサイトを運営しているのは、WMC東岸和田での鑑賞体験がきっかけだったと言っても過言ではありません。

初めて行ったときのことはまるで昨日のことのように思い出します。

2階建て構造で広々としたロビーでは多数のモニターに予告編が映し出され、メニューが豊富に揃ったコンセッションでナチョスとドリンクを買い、広々とした通路を通って劇場内に入ればスタジアム形式で観やすい画面。適度な固さでゆったりとしたフィゲラス製のシート。最新設備を誇示するかのようなDOLBYサウンドトレーラーの上映。歯切れ良く軽やかに鳴らすJBLのアメリカンサウンド。海老名と東岸和田にしかなかった貴重なTHX CINEMA。このどれもが異次元の映画館体験だったのです。シネコンの最低基準を作り上げた映画館と言えるでしょう。

閉館すると聞き8年ぶりにWMC東岸和田を訪ねました。様々な記憶が思い起こされ、自身にとってこの映画館が特別な存在であったことを再確認することとなりました。



WMC東岸和田メモリアル Vol.1




WMC東岸和田周辺の衛星画像

東岸和田SATYのテナントでありながら独立建築となっている珍しい形態のシネコンです。SATY棟とはデッキで繋がれて自由に移動することができます。L字型の建築の屈折部分が最大劇場の#5 THX(476席)です。
自動車でアクセスする際は画像左上に見える国道26号線から細い路地を通るので、混雑時は渋滞するのも納得です。JR阪和線東岸和田駅からは至近ですが、往来の多い踏切を渡るなど徒歩5分以上かかります。



周辺の映画館勢力図

長らく大阪府南部の盟主シネコンとして君臨していたWMC東岸和田に対し、最初に出現したライバルは1999年に同じ岸和田市内に開業したユナイテッド・シネマ岸和田。メインスクリーンはTHX認定を取得し総座席数2,545席を誇る国内最大級のスケールは今なお存在感を放っています。
その後も豊かな地域商圏人口に目をつけて複数のシネコンが進出して、シネコンの激戦地となりました。WMC東岸和田の閉館後は、WMCりんくう泉南が役目を引き継ぐことになります。以前は和泉府中(和泉市)などにも映画館があったように思いますが現在は閉館してしまった様子です。このような状況の中で堺東映シネマの踏ん張りには目を見張ります。

閉館理由は施設の老朽化ということですが、熾烈な競争の結果も一因と思われます。また大阪市内でも梅田の梅田ブルク7を先頭にして、南街会館がTOHOシネマズなんばへ建て替えられ、南海難波駅に隣接してなんばパークスシネマが開業。大阪駅にも巨大シネコンが待機中で世代交代が着実に進んでいます。



ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田 DATA
所在地:大阪府岸和田市土生町2-32-7
開館日:1993年4月29日
総劇場数:8
総座席数:1,971席
スクリーン1:248席、SRD-EX、dts
スクリーン2:248席、SRD、dts
スクリーン3:212席、SRD、dts
スクリーン4:212席、SRD、dts
スクリーン5:476席、SRD-EX、dts、SDDS、THX
スクリーン6:192席、SRD、dts
スクリーン7:191席、SRD、dts
スクリーン8:192席、SRD、dts

半数のスクリーンが中規模の定員数を有しています。独立建築で占有面積を広く取れたからでしょうか? 300人クラスの箱がないので、大ヒット作の複数ブッキングはスクリーン1と2の奪い合いになりますね。観客にとっても箱の大きさにばらつきが少ないので、メインスクリーン以外は規模の違いによる不公平感が少ないように思えます。
スペック上では全館dts対応館になっていますが、移動式のdts-6Dデコーダーで対応していたのではないかと推測します。余談ですが近年のシネコンでは全館dts対応となっていても1~3台程度の移動式デコーダーを使いまわして運用しています。dts対応作品が少ないので全館に設置せずとも間に合います。



東岸和田駅ホームに停車中の関空紀州路快速

天王寺駅から30分、関西国際空港(関西空港駅)から16分、大阪駅からも42分。いずれも乗り換え不要と、鉄道アクセスは非常に便利な東岸和田。特急を除く全旅客列車が停車します。岸和田市の中心市街は南海本線岸和田駅周辺になり、JR東岸和田駅周辺は住宅街になっています。岸和田市は岸和田城やだんじり祭、たまねぎの名産地として知られていますね。著名人も多く輩出していて清原和博選手やファッションデザイナーのコシノ氏、作曲家の大野愛果氏らがよく知られています。

画像の車両は関空紀州路快速223系。首都圏では特急相当になるであろう豪華な車両が贅沢にも快速列車で運用されています。同系列車両はJR西日本アーバンネットワークの中核である新快速にも使用されていて、関西の鉄道は車両設備もダイヤ編成も非常に快適で感心させられます。東京に住んでいるとこの斬新な車両が14年も前から使用されていることに驚かされますね。さすがは私鉄王国と言われるだけはあります。関空紀州路快速は2区間先の日根野駅で車両分割され、関西空港行きと和歌山行きになります。かつては東岸和田を通過する関空特快ウイングという種別がありましたが現在は廃止されたようです。



東岸和田駅前から東岸和田SATYをのぞむ

駅前からはSATYが見えるので迷うことはありません。ただしWMC東岸和田はSATYの施設群のなかで駅から最も遠いところにあるので、時間に余裕を持って訪れたほうが良いですね。
駅員さんが自動改札機脇の窓口で利用客ひとりづつに挨拶をされていて、気持ちよく駅を利用することができました。人の温もりを感じられるさりげないサービスが光ります。



看板はあるけどまだたどり着けない!

東岸和田SATYの敷地内に入りましたがまだ映画館は見えません。このままさらに進んでいきます。



WMC東岸和田全景

東岸和田駅から歩くこと約5分で映画館に到着しました。右側がSATY棟で奥手に連結デッキが見えます。商業施設に入居する映画館は防音構造が貧弱だとテナントに騒音を及ぼす可能性がありますが、このように建物が独立していれば音漏れを心配せずに営業することが可能です。シネコンとしてこれは贅沢な土地の使い方ですね。建物は閉館後に解体されるそうです。



駐車場+2階建て構造になっている白亜のシネコン

独立建築であることの優位性を活かし1階部分は駐車場とチケット売場、2階が劇場区画と多層構造を有効利用しています。映写室は3階になるのでしょう。駐車場から直接映画館にアクセスできる利便性も魅力。まさにアメリカ的シネコンのスタイルを踏襲していると言えます。外観はホワイト一色で映画撮影スタジオっぽい外観なのも良いですね。



WMC東岸和田北面

国道26号線からやってくるとこちらが正面になります。ガラス張りの部分は駐車場フロアと2階を結ぶ階段&エレベータースペースです。外観はいたってシンプルで、WBロゴが一番派手(笑)。創設初期の頃の“これぞワーナー・マイカル!”らしさが溢れています。



正面エントランス

ポスターケースがズラっと並び、右奥にメインエントランスがあります。ポスターケースはスクリーン数と同じ8つなので、上映作品すべてを掲示することはできませんね。場内はスタジアム形式でバリアフリーに関して古さは否めませんが、入口のスロープとエレベーター設備などある程度の配慮はなされています。
上部の窓は以前は明り取りに使われていたように記憶していますが、久しぶりに訪れるとイラストパネルで覆われていました。この窓周囲の建築デザインは姉妹館の海老名に非常に似ています。



WBロゴと窓部分のアップ

このWBロゴは関西国際空港から飛び立った機上からも見えるんですよ。阪和線の線路と国道26号線を目で追っていけば見つけることができます。南向きに離陸したら無理ですが…。
建物の側面はネオン管が仕込まれています。夜間は点灯するのかな。夜景もぜひ見ておきたかったです。

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受信: 2008年2月28日 (木) 09時51分

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