File.106 WMC東岸和田メモリアル 2
ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田閉館特集の二回目です。
今回訪れて感じたのはWMC東岸和田は15年前にオープンしたシネコンの元祖とは思えないほどに完成度が高いことです。さすがに最新のシネコンと比較すればほころびもありますが、今なお通用する設計の良さと大切に使われてきた施設に古さを感じさせるものはありませんでした。WMCが海老名と共に最初のサイトとして気合を入れて造り上げたことがストレートに伝わってくるようです。
施設の老朽化で閉館するのは惜しい…、心からそう思える映画館でした。
施設の老朽化で閉館するのは惜しい…、心からそう思える映画館でした。

駐車場からエントランスを入るとロビーが広がっています。目の前には階段とエレベーター、背後にはエスカレーターがあり2階がメインロビーになっています。かつて左手にはチケット売場があったのですが、その後はゲームコーナーに改装されたようです。訪れたときはゲーム機もなく閑散としていました。以前は駐車場側のガラス窓にTHX『Broadway』バージョンのポスターが飾ってあったのを思い出しましたがこれも無くなっていました。
外の風景をガラス越しに眺めながら階段を上っていく、ちょっとした高揚感を味わえます。同様に新宿バルト9など上層階に劇場がある映画館は運用面ではコストがかかり不便もありますが、観客に対し心理的なプラス効果があるように思います。逆になんばパークスシネマのような「下る」映画館は気分も盛り下がるような…!?
これから観る映画への期待を込めてこの階段を上った人が多くいたことでしょう。

晴れた日には明るく陽光が差し込むロビーです。入口の明るい雰囲気と、コーポレートカラーのブルーと控えめな照明で演出された奥手のコントラストがキマっています。ポスターケースのあるところにエスカレーターが設置されています。

総座席数1,900名規模の標準クラスシネコンとしては天井高もあり、ゆったりとした広いロビーが用意されています。オープン当時は総座席数で日本一の映画館でした。中央奥にボックスオフィス、その右脇に劇場への入口があり施設全体レイアウトは縦長構造を採っています。左奥がSATY棟との連絡口です。
『タイタニック』を観に来たときは自由席制だったので、開場時間前はこの撮影位置あたりまで長蛇の列ができていました。指定席制の普及でそんな光景も見られなくなりました。
『タイタニック』を観に来たときは自由席制だったので、開場時間前はこの撮影位置あたりまで長蛇の列ができていました。指定席制の普及でそんな光景も見られなくなりました。
ちょうど上映時間の合間ということもあったのですが、閉館割引1,000円興行のわりにはお客様の姿はまばらでした。平日の昼間は動員も少なかったのではないでしょうか。
WMCはサイトオープンから7年前後が経過すると改装を実施して施設更新を行います。東岸和田も1999年頃に、姉妹館の海老名とともにリニューアルが行われました。海老名に予算を多く割いたため、東岸和田は節約することになったという話を聞いたことがありますが、東岸和田は最近のWMCサイトと比較しても大きく見劣りするところはありませんでした。むしろ1993年に開業したシネコンとはも思えないほどで、設備を陳腐化させずに営業している努力が垣間見えます。
劇場入口脇にトゥイーティーがいるの、お分かりになりますか?
充実した設備のなかで地味な一角のシネマストア。壁面には閉館特集上映のパネルが設置されています。

改装時にコンセもリニューアルしたようです。姉妹館の海老名と同じ黄色いタイルが鮮やかです。
コンセをリニューアルする際は営業と改装を同時に行うためとても手間がかかります。方法としては従来のカウンターの前に仮設カウンターを造り、そこで営業をしながら従来のカウンターを撤去・改装していく手順が用いられます。水道や電気はもちろん、ポップコーンマシーンやディスペンサーも移動させつつ…と大変です。新カウンターが完成すれば仮設カウンターを撤去して新装オープン。このコンセも恐らくは同じような手法で改装したのではないでしょうか。
建物はこの奥に続いているので、バックヤードは広いんだろうなあと想像します。もしかしたら事務所もここにある…?シネコンの事務所はお客様導線からは分からないところにあって、なぜかその場所を推理してしまうクセが管理人にはあります(笑)。

ロビーにモニターを数多く設置して予告編を放映する手法はオープン当時に強烈なインパクトを観客に与えました。WMCのロビーと言えばこのモニター群を連想する人も多いのではないでしょうか。モニター最多設置サイトはWMC新百合ヶ丘(川崎市麻生区)です。
モニターの脇にはEV製スピーカーが設置されています。劇場はJBLです。JBLとKCSが基本のWMCなのに、ロビーにはEVを採用するミスマッチが何とも不思議な印象…。

こうして見るとWMCのロビーは独自のセオリーに則り統一されたデザインが施されているのでどこのサイトを訪れても「ワーナーに来た!」と実感できます。他のシネコンだとサイトごとに独自の内装コンセプトを定めているところが多いのですが、WMCは共通したイメージを忠実に構成することによってオリジナリティを出していると言えるでしょう。大型SCに入居してメインターゲット層をファミリーに設定している点も共通です。
WMCでは海外のワーナー系列劇場と共通するデザインも採用されておりユナイテッド・シネマと同様にワールドワイドな気配が感じられます。日本最後の外資系映画館というのも影響しているのでしょうか。

このエントランスを入ると左に屈曲し、長いコリドール(回廊)が延びています。海老名はコリドール最奥部で多少の屈曲があるのに対して、東岸和田は8番スクリーンの入口から最後まで一直線に延びています。通路の両脇に複数のスクリーンを配置し、その上階に映写室を設置するシネコンの雛形はここ東岸和田で完成をみたのです。
入口付近や通路には手作りのPOPが丁寧に飾られていて、思わず目を向けてしまいます。地元密着型の映画館だなあと感じ入りました。

明るいロビーから一転して、間接照明のみの空間が現れます。この光景こそシネコン黎明期に観客をワクワクさせたシネコンならではの演出装置です。
劇場入口にはLEDで作品名が表示され、大きなガラスブロックサインでスクリーンナンバーが一目で分かるようになっています。
このガラスパネルはサイトによって色の組み合わせが違うんですよ。WMC上峰(佐賀県三養基郡上峰町)で初採用されて以来、長年に渡ってWMCの象徴だったこのパネルも新規サイトでは見られなくなってしまい残念です。個人的には現行の緑色ボードよりも、このガラスブロックのほうが見栄えも良いので復活してほしいと願っています。

マリンブルーに黄色のナンバーが清々しい印象を与えます。ガラスブロックの内側に光源を仕込んで全体が発光しているかのように見せています。シネコンによっては派手な照明や色使いを多用しているところも見受けられますが、WMCはブルーを基調にして一見は地味でいて、要所に鮮やかなカラーをさりげなく使うところが上手いです。
上部の作品名表示LEDにご注目。ご当地らしいラインナップが泣けます。
通路はここで左右に分かれてT字型構造を呈しています。左に212席の3・4番スクリーン、右側に東岸和田の看板劇場である476席の5番THXスクリーンが鎮座しています。T字の両端は1階屋外への非常階段となっています。サインパネルの上側は鏡面仕上げで下側に立つと自分の姿がそのまま映りこんで見えます。
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コメント
行ったことのないシネコンなので、興味深く拝見しましたが、たしかに15年前のサイトとは思えないですね。ここより新しくても、もっとダサい内装のところもあるので...
階段を上がる方が、心理的にプラスというのは、おもしろいと思いました。パークスはちょっとめずらしいと思ったのですが、多くのシネコンが上がって行く造りになっているのは、ちゃんと理由があるのですね。
トゥイーティーは、写真を拡大するとわかりますね。ブレて幽霊みたいになってます(笑)
投稿: むぎわら帽子のジミー | 2008年3月 1日 (土) 11時48分
むぎわら帽子のジミーさん、こんにちは。
施設コンセプト、レイアウト、構造など隅々までよく考えられた映画館だと思います。いまなら他のシネコンを参考にして設計することができますが当時はゼロからのスタートだったと想像すると先見性に溢れた映画館だと感じました。たしかに新しいのにダサい内装のところもあるように感じます(>_<)
劇場が上の階にある構造は、心理的なプラス効果・高揚感の醸造には一役買っているように思いますね。某現像所の試写室なども階段(もっとも、施設レイアウトの関係で階段があるんですが)を上る構造でワクワク感があります(笑)。なんばパークスは施設全体から見れば高層階にありながら、エスカレーターで下る導線があるのに驚きました。
投稿: 管理人:月夜野 | 2008年3月 2日 (日) 05時19分