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2009年10月10日 (土)

道案内(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

2009年10月17日(土)~25日(日)まで東京国際映画祭(以下 TIFF)がTOHOシネマズ六本木ヒルズとシネマート六本木を会場に開催されます(参照:File.71 映画祭とフィルムの山)。今年のTIFFは昨年までの東急Bunkamuraは使用されません。東京国際ファンタスティック映画祭が渋谷から姿を消して4年が経過、短命に終わった東京国際シネシティフェスティバルが開催された新宿歌舞伎町からも映画館の閉館が相次ぐなど年月の経過を感じさせる昨今です。

今回はメイン会場となるTOHOシネマズ六本木ヒルズへの簡単な道案内をご紹介します。初めて訪れる方だと意外に分かりにくい立地です。行きなれていても実は遠回りしているかも!?というわけで六本木交差点から徒歩で向かうことを想定した行き方をご紹介します。


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東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線の六本木駅がある六本木交差点から劇場まではおよそ520m。六本木ヒルズの待ち合わせスポットで有名な蜘蛛のオブジェを経由するとさらに距離があります。駅から地上を通っていく際はハリウッド・ビューティー・プラザを抜けると近道です。


では六本木交差点から劇場まで出かけてみましょう!

Dscn2947_2六本木交差点からスタートします。六本木通り(都道412号線)を画面右方向(西)へ進みます。


Dscn2949_2地下鉄の出入り口が見えます。地下鉄利用の場合は出口3でここに出ます。


Dscn2950_2 麻布警察署の手前に小さな路地があります。左折します。


Dscn2951_2物々しい雰囲気ですが大丈夫です。この路地を進みましょう。


Dscn2952_2路地を抜けると森タワーがそびえています。このT字路を右折します。


Dscn2953_2ハリウッド・ビューティー・プラザに着きました。ここから建物内に入ります。


Dscn2955_2特に案内されていませんがここは駅方面からの入口となる建物です。左奥の通路へ進みます。


Dscn2956_2通路の先にドアがあります。ドアから外に出ましょう。


Dscn2957_2いったん外に出ると左手にはテレビ朝日が見えます。横断歩道を渡って右手奥のヒルサイド入口ドアを入ります。この通路を通るのは六本木ヒルズの関係者が多いようです。


Dscn2958_2横断歩道を渡るとヒルサイドの入口です。中に入ると飲食店街です。


Dscn2959_3ジョン・ジャーディの意匠がよく表れた通路が展開します。キャナルシティ博多(福岡市)や、なんばパークス(大阪市)を彷彿とさせます。付近はちょっとした展望スポットも隠れています。


Dscn2960_2左手にエレベーターと階段が見える広場に出てます。そのまま直進します。


Dscn2961_2視界が開け左手は広場の六本木ヒルズアリーナ、右手にエスカレーターが現れます。服飾雑貨店『ESTNATION』の右脇にあるエレベーターに乗ります。案内板にはエスカレーターへの矢印がありますがこれは遠回り。エレベーターは劇場直結です。


Dscn2962_2エレベーターKで3Fへ向かいます。


Dscn2966_2TOHOシネマズ六本木ヒルズに到着!
映画を存分にお楽しみください。


陸の孤島と揶揄されていた六本木も、都営地下鉄大江戸線の開通でアクセスが格段に良くなりました。とはいえ映画館は駅から遠い位置にあるので時間に余裕を持って訪れるのが良いでしょう。

拙サイトの映写的な注目はやはり全スクリーンがTHX認定を受けているTOHOシネマズ六本木ヒルズで映画を鑑賞できることですね。シネマート六本木も劇場の大きさは控えめながら充分の上映品質を提供されている映画館です。

TIFFと連動して様々な催しも開催されます。映写的な注目はTIFFと連動して開催される『東京・中国映画週間』。今年は渋谷シアターTSUTAYAをメイン会場に新宿ピカデリーと2ヶ所で上映されます。渋谷シアターTSUTAYAは映写・音響マニアの間で評価の高い映画館でこちらもTHX認定のシアター1で開催されます。全般的にプリントの品質クオリティが低い中国映画を、35mmフィルム上映で最上級の映写環境を誇るこの劇場がどのように映写するのか興味深いです。

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2009年9月17日 (木)

File.112 くつろぎの映画館

久しぶりの更新となります。いつも拙サイトを応援してくださっている皆様、更新が少ないことをお詫び申し上げます。またこのたび『週刊文春』誌(2009年9/24号)をご覧になってアクセスしていただいた皆様、はじめまして。

このホームページでは映画館や映画業界のことについて書き綴っております。映画についてのサイトは数あれど、「映画館」をクローズアップしたものはあまりなかったことをきっかけにスタートいたしました。2006年1月の開設以来、多くの方にご覧いただき誠に感謝しております。都合により更新回数は減っておりますが、今後ともご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます(参照:拙サイト開設の経緯)


さて、このたび『週刊文春』誌で取り上げられたテーマは“くつろぎを重視したおすすめの映画館”。全国の映画館をベスト10で選出する記事に拙サイトも微力ながらお手伝いさせていただきました。
選者3名により選出された映画館10サイトは実際に誌面をご覧いただくことにして、
今日は映画館におけるくつろぎをご紹介しようと思います。

近年の技術・設備の向上で映画館の上映環境は以前よりも格段に良くなりました。デジタル音響システムによる臨場感溢れる音響や年々大きくなっていくスクリーンのサイズといった上映設備の充実をはじめとし、ゆったりとした幅を持つ座席や広々とした座席間隔など劇場の細部に至るまで快適に映画を楽しめるような工夫があたり前に凝らされるようになりました。
映写設備についてはシネコンを中心に劇場設計規格のTHXや、それに匹敵する設備が導入され多くの映画館で高規格の上映環境が提供されています。上映設備の改善が現段階では最高水準に達し、
映画館では生き残りを賭けて次なるホスピタリティの開発に努めています。その1つに挙げられるのが「くつろぎ&居心地」の良さです。

では映画館におけるくつろぎ・居心地の良さとは何なのでしょうか。

今回の取材協力において「くつろぎ」という着目点には非常に悩まされました。なぜならばこれは映画館に関わらず選定基準が主観的で個人差が大きい点だからです。そのためくつろぎという理由をつけるためにはどうしても主観的な判断を入れざるを得ませんでした。
これがたとえば「規模の大きな映画館」であれば客席数が日本最大の「新宿ミラノ1」やスクリーン数が日本最多の「ユナイテッド・シネマ豊橋」など実データを挙げて選出できるのですが、同様に「良い音響の映画館」であれば好みや主観で大きく変わってきます。
くつろぎや音響は人によって感じ方が違うので正解がないのです。

映画館のシステムや施策によっても大きく異なることでしょう。指定席or自由席、飲食自由or飲食禁止などは真っ二つに評価が分かれると思います。ユナイテッド・シネマが実施している3歳未満のお子様の入場制限や、小さなお子様連れの方のためにTOHOシネマズが実施している「ママズクラブシアター」などはサービスを求めている方には大好評でも、それを快く思っていない方もいます。くつろぎは各個人の生活スタイルや考え方でいかようにも変化します。


今回の取材協力では偏った視点にならないように、様々な角度から検討したうえで10サイトを選出させていただきました。もちろん先に述べたようにこれが正解ではありません。100人の選者がいれば100通りの結果が出て当然だと思います。そういった意味で今回の特集記事は映画館に対する価値観が人によって大きく異なるという、あたり前ながら新鮮な発見をさせていただきました。

10サイトを選定するにあたって、最初に全国27サイトを選抜しました。せっかくの機会ですので以下に列挙します。

・ユナイテッド・シネマ札幌
・ユナイテッド・シネマ前橋
・ユナイテッド・シネマとしまえん
・ユナイテッド・シネマ浦和
・ユナイテッド・シネマ豊洲
・CINEMA・TWO(立川シネマシティ)
・三軒茶屋中央劇場
・TOHOシネマズ六本木ヒルズ
・TOHOシネマズ二条
・TOHOシネマズららぽーと横浜
・渋谷シアターTSUTAYA
・品川プリンスシネマ
・新宿ミラノ1
・新宿ピカデリー
・祇園会館
・京都シネマ
・なんばパークスシネマ
・シネマデプト友楽
・シネマメディアージュ
・ワーナー・マイカル・シネマズ海老名
・ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらい
・チネグランデ(チネチッタ)
・サロンシネマ&シネツイン
・ベッセルおおち
・エーガル8シネマズ
・アルテリオ映像館(川崎市アートセンター)
・西尾劇場

(順不同)

できる限り全国規模で選びましたが東北、甲信越、北陸、中部、九州、沖縄の映画館は未訪のため残念ながら選外となりました。さらにこの後、管理人が重視した点は以下です。

・座席の幅や間隔が窮屈ではないこと
・ロビーや劇場内の雰囲気が落ち着いていること
・スムーズな導線構造で心理的な圧迫感や抵抗感が少ない設計であること
・待合所や休憩スペースの充実性
・係員のオペレーションに安心感があること
・女性やお子様が出かけても安心できること
・映画館の立地環境が猥雑でないこと
・観客の鑑賞マナーが良いこと
・お手洗いや売店を気持ちよく利用できること
・その他実際に訪れた際の印象等

熟考の結果、以下の10サイトを選出させていただきました。10サイトに絞るのは非常に心苦しいものがあり他にもベスト10入りさせたかった映画館が多くあります。いずれも僅差においてのランキングとしてご覧いただければ幸いです。なお誌面に掲載されたベスト10は選者3名の総合評価で、当方が推薦した下記ランキングとは異なる結果となっています。

ユナイテッド・シネマとしまえん(東京都練馬区)
サロンシネマ&シネツイン(広島市中区)
TOHOシネマズ二条(京都市中京区)

4位 ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらい(横浜市中区)
5位 ユナイテッド・シネマ豊洲(東京都江東区)
6位 ベッセルおおち(香川県東かがわ市)
7位 シネマデプト友楽(奈良県奈良市)
8位 京都シネマ(京都市下京区)
9位 エーガル8シネマズ(広島県福山市)
10位 西尾劇場(愛知県西尾市)

さて蓋を開けてみると他の2名の選者が推薦して1位と2位を獲得された映画館を私だけ選出しませんでした。上位2サイトは私も何度となく足を運んでおり、映画館としての設備や存在感は日本を代表するものであることは疑う余地がありません。しかし実際の現場の様子等を考慮した結果「くつろげる映画館」という観点から選外となりました。いずれも素晴らしい映画館ですが、落ち着いてリラックスできる環境からは少し遠のくと感じたられた結果です。どちらのシネコンも深夜上映を行っているので、夜中にしか映画館に行く時間がない人にはくつろぎの映画館と言えるかもしれませんね。“くつろぎ”以外の選考基準であれば高ランクであるため、順位をつけるのは本当に難しいと思い知った次第です。
一方で3位以下は票が重なったのか、はたまた私のランク付けが影響したのか分かりませんがほぼ上記のランキングに準ずる結果となりました。おすすめの映画館と一口に言っても見方や論点によって選択肢が変わることがよく分かりました。

今後さらに映画館は進歩していきます。映画館を育てるのは他ならぬお客様です。「ああだったらいいな、こうだったらいいな」をぜひ形にしていけたらと思います。映画館は映写や音響だけでなく、居心地やくつろぎを語る時代に入りました。デジタル映写・配信装置の開発により映画だけを見る施設にとどまらず中継放送上映や舞台の録画上映など新たな試みも始まっています。最近では個人や企業で映画館をレンタルできる営業形態も増えてきました。映画館の無限の可能性はこれからどのように進化していくのか目が離せませんね。

今回の記事をご覧になった方にはぜひ気軽に職場やご自宅から行きやすい映画館で映画を楽しんで頂きたいですね。そして気に入った作品があればぜひ2回目を違う映画館で味わってみてください。同じ映画でも感じ方や映画館の雰囲気の違いがあることに気づくと思います。そうやって映画館が好きになる方も多いんですよ。映画と同じくらいに映画館も楽しんでいただけたら嬉しく思います。

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2008年6月10日 (火)

File.111 IMAGINE…

多数の観客と同じ時間を共有して映画を楽しむことは映画館ならではの醍醐味と言えるでしょう。映画館での映画鑑賞は“映画体験”と言い換えても良いほど家庭でのそれとは大きな違いがあるように思います。大きなスクリーンと充実した音響設備による効果はもちろんですが、大勢で同じ映画を鑑賞するというシチュエーションが、人間の感受性に与える影響は大きいのではないかと思われます。封切時に金銭を支払ってでも映画館で映画を見るという行為は、映画を共同で鑑賞体験する環境そのものにもお金を出していると考えて良いのではないでしょうか。

ある映画館で流れる本編前映像での「みんなで笑えば興奮100倍 みんなで泣けば感動100倍」というフレーズはこのことをうまく指していると思います。映像・音響テクノロジーの進歩で映画の演出表現は着実に向上しています。そして同じ作品を見に来た大勢の観客と共に泣き笑える映画館は、映画表現をさらに効果的に高めた体験ができる場所であると管理人は考えています。

しかしその一方で不特定多数の方が大勢集まる場所であるがゆえに、お互いが心地良く過ごせるように配慮をしなければせっかくの映画も台無しになってしまう危険もはらんでいます。今日はこれまでとは違う視点での映画館の話、鑑賞マナーについてお話しようと思います。


映画館特有の環境

都市部に住んでいる方は連日の満員電車通勤などで不特定多数の人と同じ時間を過ごす機会が多いことと思います。映画館も不特定多数の方が集まる点で満員電車と変わりはありませんが環境面で大きな違いがあり映画館特有の環境として以下が挙げられます。

・静寂の保たれた空間であること
・暗闇の保たれた空間であること
・映画鑑賞に集中できる空間であること

大まかに挙げるとこの3点が映画館の鑑賞環境で重要項目となります。3つめに挙げた「映画鑑賞に集中できる空間」で映画を楽しむためには、他のお客様への迷惑にならないように鑑賞マナーを守って時間を過ごす必要があります。
映画館では鑑賞マナー啓蒙のためにマナーCM上映や注意喚起のアナウンス等を行っているところが多く見られます。これらを理解して正しい鑑賞マナーを身につけたいものですね。


鑑賞マナーは映画館のルール!

しかし残念なことに必ずしもすべてのお客様が鑑賞マナーに対して理解されているわけではないようです。一部のお客様による迷惑行為によってお客様同士のトラブルや苦情が発生するのは日常茶飯事です。悲しいことではありますが近年の鑑賞マナーの低下は著しいものがあるように感じています。みなさんのなかにもマナー違反によって映画に集中できなかった経験がおありの方も大勢いらっしゃると推察します。

ここでは具体的な鑑賞マナーについて多くは申し上げません。映画に集中できてみんなが映画を楽しめる環境のために守るべきマナーは周りの人々へのちょっとした気配りで実現できるはずなのですから…。

海外では映画の上映中に大きなリアクションをとったり会話をすることが珍しくない地域も多くありますが、日本の映画館は静かに鑑賞するのが一般的です。映画館で映画を楽しめるように、ひとりひとりが配慮をしたいものですね。


これだけはやめて!

映画館で多発するマナー違反。ここでは特に悪質なもの・困るものを挙げてみます。マナーを守って利用されている大多数の方にご覧頂くのは恐縮ではありますがご容赦くださいませ。


・チケット未購入での他作品上映スクリーンへの侵入
シネコンなど複数の上映スクリーンがある映画館では様々なタイトルを上映しています。映画の上映チケットは基本的に同一作品に限り有効となっています。指定制および入替制の映画館は当該上映時刻のみ有効です。したがって1枚のチケットで他の作品を見ることは禁止されています。悪質なケースとして鑑賞後に他のスクリーンへ侵入して無銭で“はしご”されている例がありますがこれは窃盗です。発覚時点で警察引渡しの対象となります。

・上映作品の録画・録音行為
上映されている作品は著作物として保護されており、無断で録画・録音を行うことは法律で禁じられています。盗撮行為としてこれも発覚時点で警察へ引渡しとなります。一部作品においては撮影された映画館が特定できるものもあり、この場合は場内監視カメラなどを解析して容疑者を特定・逮捕することができます。違反者には10年以下の懲役刑など重たい刑罰が科せられます。

・器物破損行為
器物破損というと何やら破壊行為のように思われる方もいらっしゃるかもしれませんがちょっとしたことでも映画館の営業に支障が出る行為がいくつかあります。たとえば好奇心で上映スクリーンに触れるなどの行為。スクリーンの表面は塩化ビニールに金属の酸化物をベースとした特殊コーティングを施したもので大変にデリケートです。不用意に触れると手指のわずかな油脂でもシミとなって定着してしまい、これを除去することはできません。スクリーンには絶対に手を触れないようにお願いいたします。またサラウンドスピーカーなどもデリケートです。上映機材に触る行為は性能を損なったり破損につながります。座席の座席フックやドリンクホルダーなども大切に扱ってください。

・展示品の持ち去り行為
ロビーに掲示してあるポスターやスタンディーなどの宣伝物は配給会社から作品の宣伝用途のみに使用する許可を得て展示してあります。作品キャラクターのぬいぐるみなどは欲しくなる気持ちはよく分かりますが配給会社の所有物をお借りしているものです。持ち去り行為はたいへん困ります。

・劇場内での公序良俗に反する行為
まれなケースですが劇場内で公序良俗に反する行為に及ぶ方がいらっしゃることがあります。他のお客様が非常に不快な思いをするのは言うまでもありません。また上映後に後処理をするスタッフもたいへんです。ここでは公序良俗に反する行為とまとめて記述しますが様々なケースがあって想像を超えることも…。

・ゴミの不始末
楽しい映画が終わってみると場内はゴミの山…悲しい光景です。ゴミはロビー備え付けのゴミ箱までお持ちください。「自分くらい」という気持ちでも大勢集まると収拾がつきません。清掃時間に必要以上のスタッフを要すればそれだけ他のサービスが手薄になり、開場準備に要する時間も増えてしまいます。200席程度までの劇場ならば2人程度で対処可能ですが350席を超えるクラスになると5~6人以上で対応しないと間に合わなくなります。座席の奥にゴミを隠すなど悪質なケースも。言うまでもありませんがゴミはゴミ箱に。

・暴力行為
滅多にないこととは言えお客様同士や従業員への暴力行為も発生します。飲酒状態で発生することが多いです。理由はどうあれ暴力行為や恐喝行為は他のお客様に危険が及ぶため警察に通報することになります。

・痴漢・わいせつ行為
劇場内が暗いのを良いことに痴漢行為を行う人が出没することもあるようです。痴漢防止のため上映中に薄っすらと照明を点灯している映画館もありますが、犯罪抑止のために鑑賞環境が犠牲となっている例です。れっきとした犯罪でマナー以前の許しがたい行為です。

・禁煙場所での喫煙
映画館での火災は大きな懸念事項です。そのため近年の映画館は不燃建築材料や火災通報装置の設置で防災に取り組んでいます。消防条例等により多くの都道府県で劇場内での喫煙は禁止されています。また劇場施設全体が禁煙となっている映画館での喫煙はおやめください。映画館の火災通報装置は上映機器と直結しているためたばこの煙や熱による誤報でも安全装置が作動して全スクリーンの上映が停止します。発覚した場合損害賠償請求の対象となるので、喫煙は定められた場所でお願いします。


想像しよう

マナー違反のなかでも特に悪質なものを列挙してみました。悪質ではないにせよ他にも上映中のマナー違反は数多くあり、枚挙にいとまがありません。みなさんに気持ちよく映画館をご利用いただくためにも、他のお客様に配慮をして映画を楽しんでいただきたいと思います。

映写の視点からでは劇場内は携帯電話の電源をOFFにしてください。通話はもちろん、マナーモードでもバイブレーションの音や液晶画面のバックライトなどは周囲のお客様の映画鑑賞の妨げとなります。よりよい環境で映画をご覧頂くため映画館は場内の暗さや消音設備などにも気を配っています。バイブレーションのわずかな音やバックライトでも上映中は非常に目立つものです。

どういう行為が周囲の迷惑になるのかIMAGINE(想像)すれば、おのずとマナーは向上するのではないでしょうか。一部の人の行いで「映画館では集中できないから行かない」と言われるのは悲しいものです。快適な環境は映画館で気持ちよく大勢で楽しむために、ひとりひとりがマナーを守れば実現できること。映画を見るのにわざわざ周囲の人への想像力を働かすなんて…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本来なら想像しなくても自然に身についているはずのマナーだと思います。

本日は読んでいて楽しくない記事だったかもしれません。この文章で変化があるか分かりませんが、鑑賞マナーの向上を願わずにはいられません。せっかく時間とお金を使って映画館に行くのですから気持ちよく楽しみたいものですね。

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2008年5月13日 (火)

File.110 爆音映画祭

「映画は映画館で見るのが好き。それも大音響で」という方が増えています。そんな方のために今日は吉祥寺バウスシアター(東京都武蔵野市)で開催される爆音映画祭についてお話しようと思います。


音響技術の向上と大音量


録音技術と上映音響設備の向上により映画館の上映音量はこの数年で確実に大きくなりました。大きな要因として音響機材(スピーカーやパワーアンプ等)の高能率化と、音声フォーマットのデジタル化が挙げられます。1992年に劇場用音響システムとして発表されたドルビー・デジタルの登場で映画の音は録音から再生までをデジタル信号で扱えるようになりました。従来のアナログ音声より幅広いダイナミックレンジ(最小信号から最大信号のふり幅のこと)とCD並みの音声品質を活かし、迫力のある音量での上映を多くの映画館で行えるようになったのです。

大きな音量と言っても通常興行においては当然ながら常識的な範囲があります。映画館は老若男女問わず様々なお客様が来場される公共施設ですから映写担当の独断で「爆音にしてやる!」なんてことはできません。音量の感じ方は個人差が大きいために上映の際は音量に注意を払って決定する必要があるんですね。映写係も業務試写では音声に意識を集中させて最適な音量を常に意識する必要があります。作品の客層や性質にもよりますがお客様から苦情を頂戴するような大音量と、表現意図を無視した設定は基本的にNGというわけです。

映画の音は映画館において規定のレベルで再生されることを前提として制作されていて、作品や劇場の特性に合わせた適正音量が存在します。この規定レベルに沿った音量が最適な音量となり、誤差が大きいほど音の再現性が損なわれていきます。適正音量がどのくらいのレベルかと言うのは音響設備を調整する際の試験音を聞くことなどで養うことが可能ですが、ほとんどの映画館は映写係の感じ方に委ねられていることが多いようです。映画の規定音量については別の機会に言及しようと思います。


爆音問題


お話しを元に戻します。
では規定レベルをはるかに上回る、いわゆる爆音で上映を行うとどのようなことが起きるでしょうか…?

ええ、様々な問題が発生すると思います。
まずお客様から苦情を頂きます。規定レベルでも音が大きいと感じられるお客様はいらっしゃるので爆音になれば結果は目に見えています。設備面でもスピーカーの破損につながったり、隣接スクリーンや近隣への騒音を招く恐れがあります。作品も普通の台詞が怒鳴り声のように大きくなって不自然に聴こえるでしょう。音が歪んだり割れたりして適正な再生が難しくなり、音の正確性も損なわれてしまいます。基本的に爆音での上映はそれに耐えられるだけの音響設備・構造設計と観客の許容がなければ難しいですね。

こういった様々な理由により映画館で爆音を体験する機会はありません。大音量が好きな方には物足りないと思うこともあるかもしれませんが、映画の音作りが爆音を想定していない以上は仕方がありません。


そこで爆音映画祭!


そこで注目したいのが吉祥寺バウスシアターで2008年5月17(土)~24日(土)にわたって開催される爆音映画祭です。2004年に『クンドゥン』(1997年)上映で初披露されて以来コアなファンを持つ爆音上映がついに爆音映画祭として終日プログラムで登場します。このような企画上映として枠を設けることができれば思う存分に爆音を体感することができますね。

吉祥寺バウスシアターは芝居小屋やライブ会場として使用されてきた名残で音響調整ミキサー機材を保有しており、上映スピーカーもシネマ用とは異なるCOMMUNITY社製PA用スピーカーが使われます(ライトおよびレフトスピーカー)。
爆音というのは単に音量を上げれば実現できるものではなく、熟練者による調整と音作りを経てはじめて実現できるもの。吉祥寺バウスシアターの爆音上映では毎回音響調整作業を行い、手間をかけて音を作っているそうです。前述の通り爆音上映を行うための環境を整えているからこそできる芸当と言えるでしょう。

具体的にはL・RチャンネルにPAスピーカーを4発×2とスクリーン裏のCチャンネル4発をバイアンプ接続でドライブ。映画再生と言うよりはロックコンサートに対応できるパワフルな布陣です。音声信号は映写機から後のBチェーンにミキサーとブースターをかまして細部まで音作りを行い観客席まで届けられます。単純に音量を上げるだけの爆音騒音上映とは違い、上映者の解釈・意図を交えた音響設計にも注目です。

一方で映画館の音響設計や調整は、様々な映画を無難に正確に再生することを目的にチューニングされ変更することはありません。映画の音を録音するダビングステージと映画館の音環境を整合させることで正確な再生が行えるように設計されるため、映画に合わせて調整することはあまりないのです。
映画館で多様な再生に対応する例としてはユナイテッド・シネマ豊洲のAFC、CINEMA TWOのKicリアルサウンド、ベッセルおおちのDCS、MOVIXの一部サイトにある音響調整システムなどが挙げられます。日比谷みゆき座でイベント的に行われたオペラシアター・リアルサウンドもイコライザー調整で音場を創成する試みとして良い例です。CINEMA TWOは映画館としては異色のPA寄りなセッティングが見受けられます。

映画館で普段上映されている音量はやや大きめな場合で平均85dB程度。生活環境で例えると走行中の電車・バス車内に相当します。爆音映画祭ではこのレベルのおよそ4倍相当、自動車の警笛や鉄道のガード直下並かそれ以上の大音量で上映が行われます。このような大音量を映画館で体験することはできません。前述の通り映画館の音響機材は世界的な統一基準でセッティングされていることが多く、音の調整をしたりチャンネルごとの音量を変えることは基本的に行いません。THXの映画館では設定を変えて上映するのはNGとなります。

爆音映画祭は通常の映画鑑賞とはまったく違う鑑賞方法を提示する意欲的な試みだと思います。映画制作者が作った音に爆音という新たなエレメントを吹き込み、スタッフの解釈を通した爆音に身を委ねるという鑑賞方法はひとつの上映スタイルとして画期的な形態ではないでしょうか。溢れ出す大音量とスクリーンから今まで見えてこなかったもの、聞こえなかった音が発見できるような気がします。

注目の作品は22日(木)13:30~『ロスト・ハイウェイ』と16:10~『プライベート・ライアン』。『ロスト・ハイウェイ』は鬼才デヴィッド・リンチ監督が誘う不可解で不条理なストーリーが秀逸で冒頭からデヴィッド・ボウイの楽曲で疾走する怪作。リンチ監督の作品は録音・ミキシング共に素晴らしく、5・1chをこれだけ効果的に使いこなせる監督は少ないと思います。電話のベルやフレッド家の低音ノイズがどう再現されるか聴きどころ。フレッドの変身シーンの多重ミックス音とマリリン・マンソンのヴォーカルにも注目でしょうか。
『プライベート・ライアン』は説明不要でしょう。アカデミー賞音響賞と音響編集賞をダブル受賞したマルチチャンネルの見本市のような派手音響が味わえます。爆音でオマハビーチの狂気が再現されると思うとゾクゾクします。
戦闘シーンの壮絶なサウンドばかり注目される映画ですが、爆音上映で戦場の静寂や夜間シーンとエディット・ピアフがどのように表現されるか楽しみですね。この2作品は私もぜひ鑑賞したいと思っております。

爆音映画祭は映画の新たな楽しみ方を提示してくれるきっかけになるかもしれません。今後も映画祭が定着して開催されるように、成功をお祈りしたいと思います。

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2008年5月 3日 (土)

File.109 WMC東岸和田メモリアル 5

連載記事「ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田メモリアル」の最終回です。日頃から「もっと映写のことを書け」とご要望を頂いているので今回は映写の観点から5番スクリーンの所感を記して締めくくろうと思います。

5番スクリーンはWMC海老名7番スクリーンと同時に国内で初めてライセンス供与されたTHX映画館の最古参です。座席数は476席、スクリーンサイズ6.4m×14.94mの堂々たる規模は開館から15年経た今も色褪せません。

オープン当時は「東に海老名、西に東岸和田あり」と呼ばれるほど抜群のブランド力を発揮し、劇場入口の発光型THXサインパネルからもその自信の程が窺えますね。
今でこそ国内のTHX認定館は50サイト101スクリーン(2008年4月現在)まで増加しましたが、認定館の新規開業が停滞している現在は再びTHXの希少価値が上がっているように思います。なお商用映画館の国内初認定は前述通りWMC海老名と東岸和田ですが、立川シネマシティも同時期に初認定を目指していました。

オープン時は世界最先端の設備を有した映画館としても知られました。それまで一流設備と評価されていた北野劇場(大阪市北区 1980年開業)や日本劇場(東京都千代田区 1984年開業)とは一線を画するTHXに準拠した音響設備構造を構築して、日本に新次元の映画音響をもたらした功績は計り知れません。


5番THXスクリーンを観察


映像品質を低下させるスクリーンへの反射光を低減するために場内のカラーリングはモノトーンでまとめられています。この頃は側壁が白色の映画館も多くありました。
壁面はグラスウールで加工されTHXの残響規定をクリアする設計となっています。スピーカーも壁面に埋め込まず直接取り付けて音声品質の低下を防いでいます。



22基のサラウンドスピーカーが客席をくまなく取り巻いています。サラウンドスピーカーのセッティングはTHXの指定で決定され小型のスピーカーで客席全体を包み込むように設置するのが定石です。このスピーカーは旧タイプのJBL8330で現在は販売されていません。日本各地の映画館で今も活躍しているので見覚えのある方も多いと思います。



WMC東岸和田のスクリーンサイズになると縦幅が6mを超えます。客席の配置が緩いスロープ構造だと前の人の頭がスクリーンに被さるので画面の設置位置を高くする必要があります。この方法は画面を見上げる角度が急になってしまうデメリットがあります。
この劇場ではスタジアム形式で客席の段差を大きくし、多くの座席でスクリーンを見上げることなく見やすい視野環境を提供しています。サイドブロックの座席が内側方向に設置されているのも工夫のひとつ。おかげで画面と客席に一体感が生まれます。またスクリーンと客席の位置を揃えることにより音響の品質向上にも一役買っています。



連載の4回目にも書いたことですが、当時の常識からすると大都市の大劇場ではない収容人員500名を下回る劇場で横幅15m級のスクリーンは非常に大きなサイズでした。日本劇場(1008席)9m×18m、新宿プラザ劇場(東京都新宿区 1044席)7.5×18.1mなどの国内最大級の劇場と比べてみれば客席数に対する画面スケールは明らかです。
全デジタル音響方式を装備した点も革新的でした。画像のように幕間にはdtsのロゴが映し出されていました。



映画の音声がモノラルやステレオ主流の頃は音を壁で反射させて擬似的な音響立体感や響きを創生する手法が多用されました。デジタル音響が主流となりつつある現在は緻密なサウンドデザインを明確に再現するために場内の残響を極力抑える設計が主流です。WMC東岸和田は8スクリーン全てに吸音構造を採用。アナログ音響からデジタル音響まで効果的に再生できるように設計されています。
なかでも残響特性はTHX規格で特に基準が厳しく決められている項目で、各周波数帯域ごとに最大値と最低値が定められています。この規格内に残響時間を収めたのは海老名と東岸和田が国内の映画館で最初です。古い映画館では残響時間が2秒以上というクラシック音楽ホール並のところもあり、映画再生にとってこのような過度な残響があると台詞が聞き取りづらくなったりエコーがかかったりして音の情報量が著しく低下します。



映写室の下に空間がある一風変わった構造になっています。本来ならば「映写室が張り出している」と形容できるところですが、張り出し部の下に座席がないのですっきりとして見た目も良いですね。これでもかと設置されたサラウンドスピーカーが大迫力です。
リア壁面はかまぼこ状の音響調整素材が並べられフロントからの音声を効果的に吸収すると共に、リアサラウンドの音の定位を拡散させる構造になっているようです。
後部壁面の形状や吸音性・音反射性は箱全体の音響特性に影響を与える重要な部分です。THXは明瞭な台詞再生を重視して劇場後部の音反射を抑制し、スクリーンへの反響を起こさない劇場設計を推奨しています。この設計思想はTHXの認定を受けていない多くの映画館でも支持されています。スクリーン裏のメインスピーカーと相対する場所だけに気を遣うところですね。




鑑賞の感想


この日は5番THXスクリーンで『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』を鑑賞しました。音響方式はドルビー・デジタル(SRD)です。上映に先立って劇場マネージャーの方によるスクリーン前でのご挨拶がありました。15年間の感謝の意がこもった挨拶に思わず拍手…。場内の他のお客様も拍手をされ、ほのぼのとした雰囲気での上映開始となりました。

閉館する映画館なので予告編の上映は無し。ポリシー映像に続いてTHXトレーラー「TEX2 MOO CAN」とドルビー・デジタル・トレーラー「EGYPT」の上映。本来であればTHXトレーラーが後に上映されるはずで変則的な順序ですね。トレーラーは使い古されて変色し、音量も不足していましたが省略せずに上映していたことは大変嬉しく思いました。サウンドトレーラーは仕方がないとしても、THX認定の映画館はアドバンテージとなるTHXトレーラーは省略してほしくないと個人的に思います。

さて、音響マニアの間では総じて厳しい評価を受けることの多かった5番THX。以下は一個人の感想であることを前提でお読みいただけたら幸いです。


映写について


まず鑑賞時の映写能力については一級の品質を示していたことを書き記したいと思います。
連載で触れた通り5番スクリーンは映写室が高い位置にあるうえにカーブのついたスクリーンを使用している関係上、スクリーン全面にフォーカスを合わせるのが難しい造り。映写俯角がきついほどコサイン誤差と呼ばれるフォーカスのずれが生じ、画面に均一な焦点を合わせることができなくなるのです。これをどれだけ均一かつシャープに調節できるかが映写技師の腕の見せ所とも言えます。この大きな俯角でもTHXの基準に収まるのは意外に感じました。

映写機とスクリーンの水平ラインが正対すると左図のように適正な映写が可能。俯角が大きいほど右図のように台形状の歪曲が生じ画質の低下とフォーカスの不具合が発生する。この問題はスタジアム形式の映画館でよく見受けられる。

ちょっと小難しいお話しになってしまいましたが、要するにWMC東岸和田5番スクリーンは良好なフォーカスを出すのが少々難しい劇場なのです。

この点において隅々まで非常にシャープな像を結んでいた映写技術は素晴らしかったです。フィルム画像の粒子がきちんと分離して確認できました。そして使い込んでいる映写機のはずなのに画面の揺れも抑えられており高品質な映写で映画を楽しむことができました。欠点としては輝度が弱く画面が暗かったことでしょうか。暗さが作品の雰囲気にはマッチしていたもののもう少し上げるべきでしょうね。

映像は切れ味に優れボヤけた感じのないクッキリ目の再現。闇の再現が奥行き深く表現され、暗部に上品な艶やかさが感じられます。シャープネスと立体感が際立っているので映像に説得力がありました。総じてとても気合いの入った映写と見て取れ、輝度が暗い以外は気になることはありませんでした。もう少し明るい映写であれば解像感や階調もさらにはっきり分かったと思います。


音響について


音響は個性のある箱です。特筆すべきは台詞再生を主に担当するセンタースピーカーの音が生々しいこと…。いわゆる肉声感と言いますか人の声が生っぽく聞こえる個性が際立っています。フロントの音場はスクリーンの前に立体的に創生され、音楽や環境音を担当するL・Rスピーカーとセンタースピーカーが程よく分離独立して再生されているのは見事です。
そして緻密に配された22基ものサラウンドスピーカーとフロント音声が一体化して濃密なサラウンド音場を展開。

台詞再生で肉声感を強く感じる映画館は多くありません。5番スクリーンは息遣いまで感じ取れるような繊細な表現力を有しており、音響の派手な映画よりはミュージカル映画や重厚な人間ドラマの上映に適している印象を持ちました。またフロントの拡がり感やサラウンドの濃密な表現は海老名7番THXに共通した個性と言えそうです。

その一方で音の切れ味、解像感に鋭さはなくマイルドな味わいと言えます。フロントの残響は海老名よりも控えめですが聴感上での全体的な残響成分はTHXとしてはやや多めに感じられました。これはサイドに張り出した梁や劇場の形状に起因するのではないかと思います。
メインスピーカーとサラウンドスピーカーの一体感と音場の厚みは素晴らしく、リアの音響調整素材による拡散効果も感じられました。

メリハリがあって解像感ある音響や派手な重低音やサラウンド感を求める向きには多少不満が感じられる音かもしれません。管理人の印象では肉声感のリアリティは素晴らしいと思いましたし、一歩前に出てくるフロント音場の存在とサラウンドとの一体感は他ではあまり感じられない特徴で気に入りました。くせの少ない音でサラウンドの音源が柔らかく全体をカバーしているのもTHXらしいと思いました。響きが多少なりともあり箱の後部と上部で音がやや濁る点が惜しいですね。

映像と音響の品質を考えれば、はるばる訪れてこの劇場で鑑賞できて良かったと思いました。11年前にここで『コンタクト』を見たときの衝撃はまんざらでもなかったなあと実感することができ、建設から15年の歳月を経た最初のシネコンとすれば充分及第点と言える劇場です。


さようならWMC東岸和田


自分が映画館に関心を示すきっかけを与えてくれた映画館の閉館は寂しいですが、ロビーのメッセージ掲示やスタッフの閉館挨拶などフィナーレを締めくくるのに充分な記憶を自分の心のなかに留めることができました。今後はWMCりんくう泉南が後任となって業務を引き継いでくれることでしょう。WMC東岸和田で見た作品数は多くはありませんが、5番THX以外のスクリーンも思い出として大切にしまっておこうと思います。

15年間おつかれさまでした。
さようなら、ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田。

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2008年4月17日 (木)

File.108 WMC東岸和田メモリアル 4

しばらくの間、更新をお休みさせていただいておりました。
ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田閉館特集の四回目です。閉館をむかえたロビーの掲示物が目をひきました。



WMC東岸和田メモリアル Vol.4




閉館告知

閉館理由「施設の老朽化等により」と含みを持たせているあたりに様々な要因があったことを想像させます。商圏や地域購買力を考えれば大阪府下に3サイトの展開は意外に少ないように感じられます。しかし大手チェーンの109シネマズ、シネプレックス、ティジョイ、ユナイテッド・シネマの4社が大阪府に各1サイト展開であることを考えればWMCは多いほうですね。埼玉県や神奈川県のシネコン過密進出のほうが異常なのかもしれません。




15年分のありがとう

SPECIAL THANKS FAIRと題して1月5日から閉館までの一ヶ月間、15年間のヒット作19作品を500円で提供。また岸和田にゆかりのある『岸和田少年愚連隊』『だんじり』を無料上映。総決算として閉館間際の三日間は封切中の全作品が1,000円で上映されました。収益の一部は岸和田市社会福祉協議会への車椅子15台寄贈として活用されました。

こういう短期間での企画上映は映写スタッフにとって大変な重作業になります。
編成部は映画配給会社と上映契約を締結、プリントを手配→編集作業→試写チェック→上映→解体作業→返送…この繰り返しです。旧作品はプリントの状態が良くないものもあるので取り扱いにとても神経を使います。
またスクリーンを多く持つシネコンでも大量の上映作品を控えると上映に必要な巻き取りリングアセンブリ(通称リング/ワッパ。ノンリワインド・1台式映写で必要となる
)と呼ばれる部材が不足するので他のサイトからかき集めて対応することになります(参照 File.71 映画祭とフィルムの山)




多くの思い出がつづられたメッセージカード

ロビー特設コーナーでお客様からのメッセージが多数紹介されていました。この映画館を支持する人々の熱い思いが感じられました。すべてのメッセージをご紹介できず残念です。お客様の数だけこの映画館にはドラマがあったんですね…。




悲痛なメッセージも…

このメッセージを書いた女の子はどういう気持ちだったのでしょうか。





スタッフのメッセージ

お客様からのメッセージに対して、劇場スタッフの皆さんからも一筆が添えられていました。スタッフひとりひとりの頑張りで15年の歳月を刻んできたのだと思うと、奇しくもクロージングスタッフとなった皆さんの気持ちはいかばかりでしょうか。みなさんお疲れ様でした。MGの皆さんもきっと新天地で頑張っていることでしょう。

「シネコンは工業的で無機質だ」という厳しい声を耳にすることがありますが、WMC東岸和田は手作りのPOPや掲示で親しみのわく劇場空間が構築され居心地の良いシネコンでした。その裏側には様々な努力を重ねてきたスタッフの姿が見えます。お客様にはきっとそのことが伝わっていたと思います。人の温もりや心遣いを感じる映画館、WMC東岸和田。私にはそう感じられました。

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2008年3月20日 (木)

File.107 WMC東岸和田メモリアル 3

ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田閉館特集の三回目です。
東京と大阪間の日帰り遠征行程のため、1作品だけ見てとんぼ返りすることになりました。WMC東岸和田のメインスクリーンである5番THXスクリーン(定員476名)の様子をご紹介しようと思います。




WMC東岸和田メモリアル Vol.3




5番スクリーンの入口
コリドールの最奥部にある5番スクリーンはWMC東岸和田で最大の定員数476名を有するメインスクリーンです。出入口はこの後方扉のみ(非常口除く)で4枚扉の広い間口を有しています。
二重扉や回折導線構造にしない代わりに出入口付近にスペースを設け、側壁開口で場内への光の侵入を防いでいる細かな配慮に感心します。これはミニシアターや古い映画館で見かける形態でシネコンでは珍しいです。前方からスロープ形式で入退場するシネコンでは考えらない構造です。




THX認定を表すサインパネル
ここは日本で3番目に認定を受けた歴史あるスクリーンです。入口の電光タイプのシネマプラークがTHX認定劇場であることを誇らしげに主張しています。

WMC東岸和田が認定された当時のTHXが、ルーカス・フィルムの一部門「LUCASFILM LTD,THX Division」であったことが読み取れますね。現在のTHXはルーカス・フィルムからは分離して資本関係を解消しているために、現行のシネマプラークにはLUCASFILMの文言は入りません。残念なことにこれが国内興行会社のTHX離れの決定打となったのです。

上側にある音響フォーマット表示はWMCオリジナルのサービスです。作品ごとの上映フォーマットを入口で明示してあり音響マニアには嬉しいですね。この表示はドルビー・デジタル(SRD)を表しています。





最後列から見た劇場内
最初にこの劇場を訪れたときの驚きは今も忘れられません。完全なスタジアム形式を用いて大きな劇場でも見やすい視野を確保できることを見事に証明し、欧米サイズのゆったりとしたシートに腰を沈めてTHXを体感できたのです。
設計技術の進歩した現在見ると特徴のある場内ではありませんが、陳腐さを感じるところがないのは素晴らしいと思います。15年前にこれほどの劇場を造り上げた設計・施工各位の努力に敬意を表したいと思います。1993年当時はこんな高規格の劇場は他にはなかったのです。映画館に新時代の到来を告げた名箱と言えるでしょう。





スクリーン前からの眺め
476席の定員のわりにはコンパクトな印象を受けます。天井高や左右梁の構造など視覚的にそう見えるようです。構造はWMC海老名7番スクリーンを一回り小さくした印象で、さすがに同時期オープンだけあってよく似ています。海老名は劇場中央に通路がありド真ん中には座れないのですが、こちらは左右に通路を4本通して中央通路を排しています。映写窓は小さな窓が2ヶ所開口し天井高の限界の位置にありますね。





劇場中間部から後方を望む
フィゲラス社製のシートがブロックごとに角度をつけて配置されています。座席は遠くスペインから輸入されました。大きめな欧米サイズでドリンクホルダーを装備した座席は今では当たり前となっていますが、当時は驚きをもって迎えられました。
画像では分かりにくいかもしれませんが、客席に急角度の段差が設けられています。天井高とスクリーン位置を勘案したうえでの角度と思われますが、スクリーンの位置が低めなためこれでもやや足りないくらいです。そのため映写窓の設置位置もぎりぎりまで高い位置に設計されています。縦方向を圧縮したような形状なので少し窮屈にも見えますね。





当時は観客の度肝を抜くサイズでした
湾曲スクリーンを採用し、大画面の魅力を余すところなく伝えてきてくれました。スクリーンサイズは6.40m×14.94m。開館当時は定員700~1,000人超の大劇場で導入される常識外れの超特大幕でした。実寸は定員574名の海老名7番よりは多少小さめですが、定員数で考えれば東岸和田のほうが割合として大きなサイズを入れていることになります。
スクリーン周りのカーテンはくたびれた様子で近くで見ると痛々しかったです。とくに下部一文字幕のほころびは激しいものでした。

注目なのはオレンジ色の幕。これ、電動式スクリーンカーテンです。シネコンでスクリーンカーテンを備えているところは非常に数少ないので貴重な存在でした。残念ながら今回は開閉することもなくスクリーンにはカラースライドが投影されています。デジタルサウンド黎明期にdtsを備えた最先端の映画館でした。メインスクリーンでありながらステージはありません。





中央通路付近
劇場の中央部に通路があり、2つのブロックに分断されるような構造になっています。大劇場でよく見る造りです。





側壁構造
WMC東岸和田の劇場は側壁仕上をグラスウール充填+ドレープカーテン包みで全スクリーンを施工しています。最近のシネコンはWMCも含めて、グラスウール化粧板ですっきりと覆うことが多いです。東岸和田で使われているようなドレープカーテンは吸音面積を増加させるのと同時に壁面に視覚的変化を付けられるのが利点です。海外のシネコンでよく見かけますね。

腰壁は青色の壁紙が使われ吸音設備はありません。ここに吸音構造を設けないのは汚れや破損に対する耐性を持たせると同時に、
あえて客席側にアコースティック(残響)を反射させて音響効果を高める目的があります。映画館の設計セオリーで重要な役割を持つ吸音設計、しかし良い音響のためには吸音するだけではダメなんです。





特徴的な構造を備えた映写室外壁
ドレープカーテン側壁と共に特徴的だったのがこのリア壁。かまぼこ状の吸音拡散体をずらりと並べて、その間にサラウンドスピーカーJBL8330が10台も設置されていて壮観です。
映写室外壁は劇場の音響性能を左右する非常に重要な場所。シネプレックスのHDCSや東宝関西興行のTHASなどでリア壁面に特殊吸音材を採用したり、新宿バルト9のメインスクリーンが東岸和田と同様な造りになっているなど、さまざまな工夫を凝らすことで品質が変化する部分です。

THX認定をクリアするにはリア壁面を確実に吸音・遮音することが条件で、設計が悪いと台詞にエコーがかかったりフロントの音声に濁りが生じるといった悪影響が顕著に出てきます。認定基準のひとつである暗騒音NC-30をクリアするために遮音設計も重要ですね。

梁の部分は空調機構のようで株式会社IMAGICAの試写室、立川シネマシティのCITY2 THXを連想させます。梁は吸音処理をしておらず音声を反響させる役割を持っているように感じられました。実際にこれら壁面の効果を鑑賞の際に感じることができたので、連載最終回で少し触れてみようと思います。





劇場最後列からの俯瞰
当サイトを愛読してくださっている方には見覚えのある雰囲気かもしれません。そう、品川と軽井沢のIMAXシアターによく似ていますよね。 それだけ客席が急角度で設計されていることがこの画像だとよく分かります。スクリーンを限界まで高く設置して客席の段差を多めにとることにより前の人の頭部が画面に被らないように配慮されているのですが、それでもなお角度不足は否めません。この劇場最大の欠点と言えます。

また幕間の場内照度がたいへん暗いのが気になりました。画像を見ていただくと分かる通り後方のライトしか点灯していないのです。実際の場内の明るさはこれら全ての画像よりも格段に暗くてスクリーン前などは真っ暗でピントを合わせることができず、レンズの距離目盛を使用したほどです。
WMC東岸和田場内は画像ほど明るくなく、撮影時に露出補正をかけて+3EV相当明るめに撮影していることをご承知おきください。





再び入口前
最後列の後ろ側にはこのようなスペースが用意されています。上部のテラス部分が映写室です。冒頭でも触れましたがこのスペースのおかげで途中入場の際も光が差し込むことがなく、回折構造やスロープも不要で合理的です。スロープ構造でありながら光漏れのある劇場が多いなかで評価できる設計です。ミニシアターや古い劇場の一部にこのようなスペースが散見されますがシネコンでは珍しく、またこれだけの広さは他では見たことがありません。
天井の高さをさらに取れて映写室を後方にセットバックできていれば、ここも客席が設置されていたことでしょう。フリースペースにしたのは正解だと思います。





客席はまばら…
サンクスキャンペーン1,000興行でしたが動員は多くなく空席が目立っていました。
こうして振り返ってみると現行WMCの緑色×黄色の内装よりもシックで大人っぽい色彩設計になっていますね。壁面の橙色の間接照明も消灯していて残念な限りです。
このような構造はフラットな壁面に変化をつけ音響へ効果的に作用します。設計時にそこまで考えてあったかは分かりませんが、この劇場はTHXとしては豊かな残響成分を持つ箱で独特の心地よさがあったことは事実です。目立った個性がない半面で豊かな響きが空間を満たすところがこの5番THXの持ち味だったと思います。

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2008年2月28日 (木)

File.106 WMC東岸和田メモリアル 2

ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田閉館特集の二回目です。

今回訪れて感じたのはWMC東岸和田は15年前にオープンしたシネコンの元祖とは思えないほどに完成度が高いことです。さすがに最新のシネコンと比較すればほころびもありますが、今なお通用する設計の良さと大切に使われてきた施設に古さを感じさせるものはありませんでした。WMCが海老名と共に最初のサイトとして気合を入れて造り上げたことがストレートに伝わってくるようです。
施設の老朽化で閉館するのは惜しい…、心からそう思える映画館でした。



WMC東岸和田メモリアル Vol.2




1階エントランス
駐車場からエントランスを入るとロビーが広がっています。目の前には階段とエレベーター、背後にはエスカレーターがあり2階がメインロビーになっています。かつて左手にはチケット売場があったのですが、その後はゲームコーナーに改装されたようです。訪れたときはゲーム機もなく閑散としていました。以前は駐車場側のガラス窓にTHX『Broadway』バージョンのポスターが飾ってあったのを思い出しましたがこれも無くなっていました。




2階メインロビーに続く階段
外の風景をガラス越しに眺めながら階段を上っていく、ちょっとした高揚感を味わえます。同様に新宿バルト9など上層階に劇場がある映画館は運用面ではコストがかかり不便もありますが、観客に対し心理的なプラス効果があるように思います。逆になんばパークスシネマのような「下る」映画館は気分も盛り下がるような…!?
これから観る映画への期待を込めてこの階段を上った人が多くいたことでしょう。




エレベーター前のロビー入口付近
晴れた日には明るく陽光が差し込むロビーです。入口の明るい雰囲気と、コーポレートカラーのブルーと控えめな照明で演出された奥手のコントラストがキマっています。ポスターケースのあるところにエスカレーターが設置されています。




2階ロビーの全景
総座席数1,900名規模の標準クラスシネコンとしては天井高もあり、ゆったりとした広いロビーが用意されています。オープン当時は総座席数で日本一の映画館でした。中央奥にボックスオフィス、その右脇に劇場への入口があり施設全体レイアウトは縦長構造を採っています。左奥がSATY棟との連絡口です。
『タイタニック』を観に来たときは自由席制だったので、開場時間前はこの撮影位置あたりまで長蛇の列ができていました。指定席制の普及でそんな光景も見られなくなりました。




ボックス前から劇場入口をのぞむ
ちょうど上映時間の合間ということもあったのですが、閉館割引1,000円興行のわりにはお客様の姿はまばらでした。平日の昼間は動員も少なかったのではないでしょうか。

WMCはサイトオープンから7年前後が経過すると改装を実施して施設更新を行います。東岸和田も1999年頃に、姉妹館の海老名とともにリニューアルが行われました。海老名に予算を多く割いたため、東岸和田は節約することになったという話を聞いたことがありますが、東岸和田は最近のWMCサイトと比較しても大きく見劣りするところはありませんでした。むしろ1993年に開業したシネコンとはも思えないほどで、設備を陳腐化させずに営業している努力が垣間見えます。
劇場入口脇にトゥイーティーがいるの、お分かりになりますか?




シネマストア
充実した設備のなかで地味な一角のシネマストア。壁面には閉館特集上映のパネルが設置されています。




明るくポップなカラーリングと充実設備のコンセッション
改装時にコンセもリニューアルしたようです。姉妹館の海老名と同じ黄色いタイルが鮮やかです。

コンセをリニューアルする際は営業と改装を同時に行うためとても手間がかかります。方法としては従来のカウンターの前に仮設カウンターを造り、そこで営業をしながら従来のカウンターを撤去・改装していく手順が用いられます。水道や電気はもちろん、ポップコーンマシーンやディスペンサーも移動させつつ…と大変です。新カウンターが完成すれば仮設カウンターを撤去して新装オープン。このコンセも恐らくは同じような手法で改装したのではないでしょうか。

建物はこの奥に続いているので、バックヤードは広いんだろうなあと想像します。もしかしたら事務所もここにある…?シネコンの事務所はお客様導線からは分からないところにあって、なぜかその場所を推理してしまうクセが管理人にはあります(笑)。




ロビー中央のモニター群
ロビーにモニターを数多く設置して予告編を放映する手法はオープン当時に強烈なインパクトを観客に与えました。WMCのロビーと言えばこのモニター群を連想する人も多いのではないでしょうか。モニター最多設置サイトはWMC新百合ヶ丘(川崎市麻生区)です。
モニターの脇にはEV製スピーカーが設置されています。劇場はJBLです。JBLとKCSが基本のWMCなのに、ロビーにはEVを採用するミスマッチが何とも不思議な印象…。




再びロビーの全景
こうして見るとWMCのロビーは独自のセオリーに則り統一されたデザインが施されているのでどこのサイトを訪れても「ワーナーに来た!」と実感できます。他のシネコンだとサイトごとに独自の内装コンセプトを定めているところが多いのですが、WMCは共通したイメージを忠実に構成することによってオリジナリティを出していると言えるでしょう。大型SCに入居してメインターゲット層をファミリーに設定している点も共通です。

WMCでは海外のワーナー系列劇場と共通するデザインも採用されておりユナイテッド・シネマと同様にワールドワイドな気配が感じられます。日本最後の外資系映画館というのも影響しているのでしょうか。




CINEMA入口
このエントランスを入ると左に屈曲し、長いコリドール(回廊)が延びています。海老名はコリドール最奥部で多少の屈曲があるのに対して、東岸和田は8番スクリーンの入口から最後まで一直線に延びています。通路の両脇に複数のスクリーンを配置し、その上階に映写室を設置するシネコンの雛形はここ東岸和田で完成をみたのです。
入口付近や通路には手作りのPOPが丁寧に飾られていて、思わず目を向けてしまいます。地元密着型の映画館だなあと感じ入りました。




観客を劇場へいざなうコリドール
明るいロビーから一転して、間接照明のみの空間が現れます。この光景こそシネコン黎明期に観客をワクワクさせたシネコンならではの演出装置です。
劇場入口にはLEDで作品名が表示され、大きなガラスブロックサインでスクリーンナンバーが一目で分かるようになっています。

このガラスパネルはサイトによって色の組み合わせが違うんですよ。WMC上峰(佐賀県三養基郡上峰町)で初採用されて以来、長年に渡ってWMCの象徴だったこのパネルも新規サイトでは見られなくなってしまい残念です。個人的には現行の緑色ボードよりも、このガラスブロックのほうが見栄えも良いので復活してほしいと願っています。




サインパネルのアップ
マリンブルーに黄色のナンバーが清々しい印象を与えます。ガラスブロックの内側に光源を仕込んで全体が発光しているかのように見せています。シネコンによっては派手な照明や色使いを多用しているところも見受けられますが、WMCはブルーを基調にして一見は地味でいて、要所に鮮やかなカラーをさりげなく使うところが上手いです。
上部の作品名表示LEDにご注目。ご当地らしいラインナップが泣けます。




コリドール最奥部と5番THXの入口
通路はここで左右に分かれてT字型構造を呈しています。左に212席の3・4番スクリーン、右側に東岸和田の看板劇場である476席の5番THXスクリーンが鎮座しています。T字の両端は1階屋外への非常階段となっています。サインパネルの上側は鏡面仕上げで下側に立つと自分の姿がそのまま映りこんで見えます。

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2008年2月24日 (日)

File.105 WMC東岸和田メモリアル 1

日本で最初のシネマコンプレックスとして知られるワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田(大阪府岸和田市 以下WMC東岸和田)が2008年2月3日(日)をもって閉館しました。日本の映画興行界に外資系シネコンという新風を吹き込んだWMC東岸和田のオープンは今から15年前の1993年4月29日。その直前の24日にはWMC海老名もオープンして両館がシネコンの先駆けとして認知されています。

WMCの閉館は今回が初めてではありません。以前にWMC鈴鹿、WMC福岡東、WMC石巻の3サイトが閉館されています(参照 File.79 WMC石巻閉館)。しかしいずれも閉館にあわせて代替サイトをオープンさせていることに対して、WMC東岸和田はシネコン史上初の代替サイトがない純粋な閉館となります。最寄のWMCは約13km南方のWMCりんくう泉南(大阪府泉南市)です。

関連記事
File.11 黒船~シネコンの出航
File.12 シネコン~その革新性
File.70 ワーナー・マイカル創立15周年

シネコンの先駆けというだけあってオープン当時は周囲に同様の映画館はなく、近隣の映画ファンは大阪ミナミの映画館で鑑賞するのが主流だったようです。現在は珍しくなくなったシネコンの形態も当時は物珍しさもあり休日ともなると近隣道路は「ワーナー渋滞」とも呼ばれるほどの集客を見せ大盛況だったそうです。
映画館は繁華街に立地するのが常識だった当時に都心部から離れた郊外に立地して、アクセス手段は鉄道と自動車のどちらでも利用可能という利便性の高さは映画ファンの心をつかみ、映画興行の新しいモデルケースとしてWMC東岸和田の名は知れ渡ったのです。

拙サイト管理人も過去記事で触れている通り、過去に何度かWMC東岸和田を利用したことがあります。その頃は今と違ってシネコンやデジタル音響システムは珍しかった時代で、行く度に充実した設備の素晴らしさに感服したものです。いまこうして映画と映画館のサイトを運営しているのは、WMC東岸和田での鑑賞体験がきっかけだったと言っても過言ではありません。

初めて行ったときのことはまるで昨日のことのように思い出します。

2階建て構造で広々としたロビーでは多数のモニターに予告編が映し出され、メニューが豊富に揃ったコンセッションでナチョスとドリンクを買い、広々とした通路を通って劇場内に入ればスタジアム形式で観やすい画面。適度な固さでゆったりとしたフィゲラス製のシート。最新設備を誇示するかのようなDOLBYサウンドトレーラーの上映。歯切れ良く軽やかに鳴らすJBLのアメリカンサウンド。海老名と東岸和田にしかなかった貴重なTHX CINEMA。このどれもが異次元の映画館体験だったのです。シネコンの最低基準を作り上げた映画館と言えるでしょう。

閉館すると聞き8年ぶりにWMC東岸和田を訪ねました。様々な記憶が思い起こされ、自身にとってこの映画館が特別な存在であったことを再確認することとなりました。



WMC東岸和田メモリアル Vol.1




WMC東岸和田周辺の衛星画像

東岸和田SATYのテナントでありながら独立建築となっている珍しい形態のシネコンです。SATY棟とはデッキで繋がれて自由に移動することができます。L字型の建築の屈折部分が最大劇場の#5 THX(476席)です。
自動車でアクセスする際は画像左上に見える国道26号線から細い路地を通るので、混雑時は渋滞するのも納得です。JR阪和線東岸和田駅からは至近ですが、往来の多い踏切を渡るなど徒歩5分以上かかります。



周辺の映画館勢力図

長らく大阪府南部の盟主シネコンとして君臨していたWMC東岸和田に対し、最初に出現したライバルは1999年に同じ岸和田市内に開業したユナイテッド・シネマ岸和田。メインスクリーンはTHX認定を取得し総座席数2,545席を誇る国内最大級のスケールは今なお存在感を放っています。
その後も豊かな地域商圏人口に目をつけて複数のシネコンが進出して、シネコンの激戦地となりました。WMC東岸和田の閉館後は、WMCりんくう泉南が役目を引き継ぐことになります。以前は和泉府中(和泉市)などにも映画館があったように思いますが現在は閉館してしまった様子です。このような状況の中で堺東映シネマの踏ん張りには目を見張ります。

閉館理由は施設の老朽化ということですが、熾烈な競争の結果も一因と思われます。また大阪市内でも梅田の梅田ブルク7を先頭にして、南街会館がTOHOシネマズなんばへ建て替えられ、南海難波駅に隣接してなんばパークスシネマが開業。大阪駅にも巨大シネコンが待機中で世代交代が着実に進んでいます。



ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田 DATA
所在地:大阪府岸和田市土生町2-32-7
開館日:1993年4月29日
総劇場数:8
総座席数:1,971席
スクリーン1:248席、SRD-EX、dts
スクリーン2:248席、SRD、dts
スクリーン3:212席、SRD、dts
スクリーン4:212席、SRD、dts
スクリーン5:476席、SRD-EX、dts、SDDS、THX
スクリーン6:192席、SRD、dts
スクリーン7:191席、SRD、dts
スクリーン8:192席、SRD、dts

半数のスクリーンが中規模の定員数を有しています。独立建築で占有面積を広く取れたからでしょうか? 300人クラスの箱がないので、大ヒット作の複数ブッキングはスクリーン1と2の奪い合いになりますね。観客にとっても箱の大きさにばらつきが少ないので、メインスクリーン以外は規模の違いによる不公平感が少ないように思えます。
スペック上では全館dts対応館になっていますが、移動式のdts-6Dデコーダーで対応していたのではないかと推測します。余談ですが近年のシネコンでは全館dts対応となっていても1~3台程度の移動式デコーダーを使いまわして運用しています。dts対応作品が少ないので全館に設置せずとも間に合います。



東岸和田駅ホームに停車中の関空紀州路快速

天王寺駅から30分、関西国際空港(関西空港駅)から16分、大阪駅からも42分。いずれも乗り換え不要と、鉄道アクセスは非常に便利な東岸和田。特急を除く全旅客列車が停車します。岸和田市の中心市街は南海本線岸和田駅周辺になり、JR東岸和田駅周辺は住宅街になっています。岸和田市は岸和田城やだんじり祭、たまねぎの名産地として知られていますね。著名人も多く輩出していて清原和博選手やファッションデザイナーのコシノ氏、作曲家の大野愛果氏らがよく知られています。

画像の車両は関空紀州路快速223系。首都圏では特急相当になるであろう豪華な車両が贅沢にも快速列車で運用されています。同系列車両はJR西日本アーバンネットワークの中核である新快速にも使用されていて、関西の鉄道は車両設備もダイヤ編成も非常に快適で感心させられます。東京に住んでいるとこの斬新な車両が14年も前から使用されていることに驚かされますね。さすがは私鉄王国と言われるだけはあります。関空紀州路快速は2区間先の日根野駅で車両分割され、関西空港行きと和歌山行きになります。かつては東岸和田を通過する関空特快ウイングという種別がありましたが現在は廃止されたようです。



東岸和田駅前から東岸和田SATYをのぞむ

駅前からはSATYが見えるので迷うことはありません。ただしWMC東岸和田はSATYの施設群のなかで駅から最も遠いところにあるので、時間に余裕を持って訪れたほうが良いですね。
駅員さんが自動改札機脇の窓口で利用客ひとりづつに挨拶をされていて、気持ちよく駅を利用することができました。人の温もりを感じられるさりげないサービスが光ります。



看板はあるけどまだたどり着けない!

東岸和田SATYの敷地内に入りましたがまだ映画館は見えません。このままさらに進んでいきます。



WMC東岸和田全景

東岸和田駅から歩くこと約5分で映画館に到着しました。右側がSATY棟で奥手に連結デッキが見えます。商業施設に入居する映画館は防音構造が貧弱だとテナントに騒音を及ぼす可能性がありますが、このように建物が独立していれば音漏れを心配せずに営業することが可能です。シネコンとしてこれは贅沢な土地の使い方ですね。建物は閉館後に解体されるそうです。



駐車場+2階建て構造になっている白亜のシネコン

独立建築であることの優位性を活かし1階部分は駐車場とチケット売場、2階が劇場区画と多層構造を有効利用しています。映写室は3階になるのでしょう。駐車場から直接映画館にアクセスできる利便性も魅力。まさにアメリカ的シネコンのスタイルを踏襲していると言えます。外観はホワイト一色で映画撮影スタジオっぽい外観なのも良いですね。



WMC東岸和田北面

国道26号線からやってくるとこちらが正面になります。ガラス張りの部分は駐車場フロアと2階を結ぶ階段&エレベータースペースです。外観はいたってシンプルで、WBロゴが一番派手(笑)。創設初期の頃の“これぞワーナー・マイカル!”らしさが溢れています。



正面エントランス

ポスターケースがズラっと並び、右奥にメインエントランスがあります。ポスターケースはスクリーン数と同じ8つなので、上映作品すべてを掲示することはできませんね。場内はスタジアム形式でバリアフリーに関して古さは否めませんが、入口のスロープとエレベーター設備などある程度の配慮はなされています。
上部の窓は以前は明り取りに使われていたように記憶していますが、久しぶりに訪れるとイラストパネルで覆われていました。この窓周囲の建築デザインは姉妹館の海老名に非常に似ています。



WBロゴと窓部分のアップ

このWBロゴは関西国際空港から飛び立った機上からも見えるんですよ。阪和線の線路と国道26号線を目で追っていけば見つけることができます。南向きに離陸したら無理ですが…。
建物の側面はネオン管が仕込まれています。夜間は点灯するのかな。夜景もぜひ見ておきたかったです。

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2008年2月10日 (日)

File.104 元気コンセ

映画のお供といえばポップコーン。映画館でフード&ドリンクを買うのを楽しみにされている方も大勢いらっしゃることでしょう。今回はコンセッション(飲食物売店)の意外な役割についてご紹介しようと思います。あわせてこれまでのコンセッション関係の記事もご覧いただければ幸いです。

コンセッション関連の過去記事
File.4 飲食業で成り立つ映画館
File.12 シネコン~その革新性
File.19 ポップコーン百花繚乱
File.32 すくい技
File.72 セクション配置
File.73 セクション選び

映画館におけるコンセッション(英Concession:譲歩の意味)とは飲食物を主に販売する施設のことを指す言葉です。元々は業界用語でしたが今はシネコン等においては一般的な用語として定着しつつあり、館内放送や場内コマーシャルフィルムなどでも耳にするようになりました。映画館以外の業種ではあまり使われてはいないようです。

コンセッションは映画館のロビーのなかで最大の占有面積を要する施設なので、劇場設計の際は配置場所に配慮がなされます。チケット売場や劇場入口等他の施設とのバランスが取れたレイアウトをしないと導線が乱れて居心地の良くない劇場になってしまうからです。

また施設の性格上、横長の間口が必要でカウンターの裏にバックヤードを設けるため、見た目以上にスペースを割く施設でもあります。コンセッションの背後が劇場になっているなど充分なバックヤードスペースが取れないサイトは別の場所に倉庫や冷蔵庫を設置します。
スペースの節約のためにチケット売場とコンセッションを一体化して設置する手法もあり、この場合は従業員出入口とカウンターを統合し、見た目もすっきりとさせることが可能なうえ、お客様の集中箇所を固定できるのでロビーの混雑整理も行いやすくなります。


限られたロビー空間の中央部に位置するコンセッション

さて、コンセッションは飲食物を販売することが役割であることは言うまでもありませんが、その他にも意外な役目を担っています。映画館と言うのは内装や設計コンセプトにもよりますがロビーは大方において薄暗く落ち着いた雰囲気を作り出しているところが多く、劇場スタッフもことさら大きな声で誘導したり賑やかな演出を施すことも通常はありません。このため人出の少ない時間帯にはロビーが閑散として寂しい状況になることもしばしば。薄暗いデザインが多いシネコンではなおさらです。

こんなときはコンセッションスタッフの出番。「出来立てのポップコーン、ホットドッグはいかがでしょうか」とロビーのお客様にお声をかけるだけでロビーは活気付いてきます。ウソのような本当のお話しです。チケット売場スタッフやフロアスタッフはこのようなセールストークをロビーで発する機会はあまりないのでコンセッションが重要な役割を担っています。フロアスタッフは相乗効果を出すために館内放送でコンセッションのメニューを案内するとなお効果的で、ポップコーンの出来上がったタイミングで案内すると香りに吸い寄せられてお客様がやってきます。

このようにコンセッションはロビーの活気や賑わい創出のカナメになるセクションで、映画館全体の雰囲気を決定することもある重要な役割を持っています。コンセッションスタッフが元気で活発なメンバーの映画館は劇場全体の雰囲気も明るいムードが漂っていることが多く、裏を返せばコンセッションが陰気なサイトは施設全体が沈滞ムードになりかねない危険をはらんでいるのです。

暗い雰囲気のロビーでもコンセッションが活発に活動していれば、その効果は全体に波及してひとつのうねりとなり劇場全体に元気を与えていきます。商品を売るだけに終始するようなコンセッションは、この機能を活用できておらずもったいないですね。コンセッション周りの照明や色使いを明るくするなども隠れた工夫のひとつ。このような演出で劇場の活気作りにコンセッションは貢献しています。


カラフルな色使いを多用して、明るく活気ある雰囲気を構成

他にもコンセッションではカウンターを離れての営業も行うことがあります。大入りのスクリーンでアイスクリームやお菓子などを野球場で見られるような売り子スタイルで劇場内販売をするのです。こういった昔ながらの販売スタイルは現代では新鮮に映ることもあって若年層を中心に人気があります。
スタッフは薄暗く段差の急な劇場内でやりとりをする苦労もありますが、販売数が多いと充実感もひとしお。また普段はカウンターから出ることのないセクションなので劇場内で販売することによりお客様の反応を見ることができたり、客席を渡り歩くことで「映画館で働いている」ことを実感するなど発見も多くあるものです。

単発的な試みとしては映画作品と連動したコンボセット販売、食材納入企業の商品PRイベント、期間限定メニュー売り出しなどで賑やかさを作ることも効果的ですね。コンセッションは単なる売店にとどまらない自由度の高いイベントスペースと言っても過言ではなく、活用次第でいくらでも映画館の雰囲気を盛り上げていくことができます。
スタッフ手作りのPOPで新商品の紹介をすると親しみもわきますし、ポップコーンマシーンの使い手は小さなお子さんの人気者です。コンセッションカウンターをイベントステージとして見立てれば多くの可能性が見えてきますね。
活用の仕方ひとつで映画館全体のエネルギー感を左右する重要なセクションがコンセッションなのです。

あなたの行く映画館はいかがですか?「あそこの映画館は活気があってワクワクする」。「こっちの映画館はちょっと雰囲気が暗いなあ」。そう感じたらコンセッションに目を向けてみてください。劇場の活気とコンセッション、何かしらの因果関係がきっとあることでしょう。

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2008年1月18日 (金)

第一回投票の結果発表

お気づきの方も多いと思いますが、当サイトの左サイドバーには投票コーナーを設けております。これは投票を通じて読者の方々から様々な情報を収集し、サイト運営の参考とさせていただくために設置しております。

第一回投票は「当サイトを知ったきっかけは?」です。4ヶ月間の設置期間中に多くの方にご投票をいただき感謝いたします。今日は投票結果を発表したいと思います。


圧倒的多数を占めるのが「検索して偶然」。投票された方のおよそ半数が検索サイトを通じて当ブログにやってきているようです。基本的に文章を主体として構成しているので検索でヒットしやすいのかもしれないので当然でしょうか…。ちなみに2008年1月の検索ワードベスト5は「映写」、「映画館」、「アルバイト」、「バルト9」、「映画」となっています。来訪者の傾向として、映画館のお仕事に興味のある方の閲覧が多いようですね。

次に多いのが「他サイトからのリンク」。当サイトはリンクフリーの方針で運営しており、有り難いことにご好意でリンクしてくださっているサイト様が多数あります。現在、当サイトでは他サイト様のリンクは行っていないにも関わらずご厚情をいただき本当にありがとうございます。将来的にリンクや相互リンクを受け付けることがあれば最優先で対応したいと思いますので現在リンクして頂いている管理人様は、よろしければご一報いただけると幸いです。こちらからも来訪させていただきます(もちろんリンクフリーなのでご連絡は任意です)。

拮抗して「Yahoo! Japanカテゴリ」と「友人・知人の紹介」が合わせて3割ほど。Yahoo!Japan公式登録の受理直後は新着サイトとして紹介されて爆発的なアクセスがありましたが、現在はずいぶんと落ち着いていてYahoo!カテゴリからの来訪は多くはありません。読者の方からは「Yahoo!からたどって行けるので出先でもすぐに当サイトに遊びに来られる」とのお言葉を頂いています。ありがたいことです。
ほぼ同割合で当サイトを紹介してくださっている方がいることに感謝いたします。こんなマニアックな僻地のサイトを紹介される方、どんなお人なのでしょうか?

そして「管理人のゴリ押し」も1割近く票が入りました…。そんなにゴリ押しした記憶はないのですが…。管理人から「見ろ!」と強制された方、ゴメンナサイ。

結果として検索サイトからの来訪者が多いことが分かったので、今後も定期的に様々な話題を更新していく必要があることを感じました。また他のサイト様からリンクやご紹介で来訪される方が3割以上なので、再訪していただけるような魅力ある内容を創造していかなくてはいけないといけませんね。さらに多くの方からお勧めしていただけるようなサイトとなるよう努力してまいります。

投票は今後も続行していきます。
第二回投票は映画館グルメの王者・ポップコーンに関連して「ポップコーンどれが好き?」。皆様からの1票をお待ちしております!

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2008年1月10日 (木)

File.103 映画館迷子

長期間ご無沙汰して申し訳ございません。多忙により更新が牛歩のごとき現状であること、お詫び申し上げます。2008年もどうぞ拙サイトをご愛顧いただきますようよろしくお願い申し上げます。

新年早々から意味不明なタイトルをつけてみましたが、この広い世の中では映画館迷子になる方が大勢いらっしゃいます。映画館迷子とは何なのか、今日はこれに触れようと思います。
映画館迷子は拙サイト管理人が使っている造語で一般用語ではありません。意味合いは「違う映画館に誤って来てしまう」、「自分の行こうと思っている映画館が分からない」状況を指しております。映画館施設にたどり着くまでの状況を表しているので、劇場内で迷子になる意味ではありません。

ではいくつかのパターンに沿って具体的に紹介してまいりましょう。


パターン1:違う映画館に来てしまうケース
A劇場に行くつもりが間違ってB劇場に来てしまったというケース。これは滅多に映画館に行かない方に多く見られる事例で、名称が似ている映画館や近所に他の映画館が営業しているような場所でよく見受けられます。

例1 たとえばワーナー・マイカル・シネマズ新潟(新潟市西区)とワーナー・マイカル・シネマズ新潟南(新潟市江南区)は同じチェーンの映画館で名称が似ています。このような似た名称を持つ映画館を混同してもう一方の映画館に誤って来場してしまう例は珍しくありません。チケット売場で上映時間を確認し、はじめて気づくことが多いです。この2館はよく似た作品構成なのでお客様にとっては上映時間が予定と変わってしまうくらいしか実害はないと言えます。しかしインターネット予約でチケット購入済みの場合は劇場が異なるので原則無効になります。


風光明媚で北陸地方最大の都市・新潟市の南方郊外に立地しています


例2 これが他社同士になるとちょっとやっかいです。109シネマズ川崎(川崎市幸区)とTOHOシネマズ川崎(川崎市川崎区)は近所に位置して作品構成も異なります。109シネマズ川崎でしか上映していない映画を見る予定が、誤ってTOHOシネマズ川崎に出かけてしまうと当然ながら鑑賞することができません。時間に余裕をもって出かけないと再び移動している間に上映時間に間に合わなくなってしまいますね。


川崎駅を挟んで競合する2サイト。川崎チネチッタと三つ巴を演じる激戦区



例3 ワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田(大阪府岸和田市)とユナイテッド・シネマ岸和田(同市)もよく似た土地名を持つ他社同士。作品構成はよく似ていますが、例1と異なるのは会社組織が違うことです。起こりうる問題はインターネット予約で東岸和田の座席を購入しているにも関わらず岸和田に行くとそのチケットは使うことができません。異なる興行会社の映画館なので当然ですが、映画館の名称まできっちりと把握していないとついうっかり…ということも充分考えられます。


どちらもTHX認定館を持つTHX密集地域
国内初シネコンの東岸和田は閉館が決定


例4 同じ建物に異なる映画館が入居しているところも初めての利用者には分かりづらいものです。梅田ガーデンシネマとシネ・リーブル梅田はどちらも新梅田シティの梅田スカイビル(大阪市北区)に入居しています。前者が4Fで後者が3Fにあります。同様な例ではQ-AXシネマ(2階・1階・地下1階 東京都渋谷区)とユーロスペース(3階)など。同じ建物にあっても中身は違う映画館、混同しやすいですね。


大阪梅田の摩天楼っぷりは凄まじい景観です。
一方のQ-AXシネマとユーロスペースはラブホテル街にポツンと…



パターン2:どこの映画館か分からない!
例1 作品名は分かるけど上映館名が分からないまま、違う映画館に来てしまうケース。映画館のチケット売場ではさすがに他館(他社)の上映状況までは分かりません尋ねられれば劇場事務所で調べてご案内することもありますが、このような場合はたいてい「その映画館はどこにあるのか」まで質問されます。それが遠方の劇場であったりスタッフも行ったことがなければ的確な案内はできません。

例2 作品名が分かっていればまだ助かります。問題は作品名も上映館名も把握されず来場されるケースでこうなるとお手上げです。業態は同じ「映画館」でも他社の運営状況は把握していないためご質問を受けても回答できかねることも多くあります。初めて行く映画館の場合は住所・電話番号・地図を持って出かけられることを強くおすすめいたします。



日常的に映画館に出かけられる方や映画館名はおろかスクリーン番号・座席ナンバーまでこだわって鑑賞される音響マニアの方はこのような間違いをされることはありません。普段は映画館に来場されない方がお正月には大勢いらっしゃるために、映画館迷子が全国規模で発生します。

シネコンの増加によって、似た名称を冠するシネコンや近場で競合するサイトが増えました。シネコンは現時点で289サイト・2,489スクリーンに達し地域によっては飽和状態となりつつあります。例に挙げたワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田も2008年2月3日で閉館することが決定、シネコンの増加が頭打ちとなりつつある現在、今後は新規出店も落ち着いていくことが予想されます。
今後の進出の際はネーミングによる個性を打ち出すのもブランド化を含めおもしろいかもしれませんね。そういう点ではTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)やミッドランドスクエアシネマ(名古屋市中村区)、なんばパークスシネマ(大阪市中央区)やユナイテッド・シネマ キャナルシティ13(福岡市博多区)などは立地(施設)そのものに優位性があり武器となっていますし、また有名施設のテナントなので映画館迷子も少ないようです。

管理人はまだ映画館迷子になったことはありませんが、なぜか「この映画館はどこにありますか?」と街角で尋ねられることがあります。こんなときにスマートにご案内できるよう、なるべく多くの映画館に足を運びたいと思います。

※注 例として挙げた映画館と事例は一切関係ありません。

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2007年12月 1日 (土)

File.102 予告と音響

管理人多忙のため記事更新が滞っております。楽しみにしていただいている方にはご迷惑をおかけいたしますが何卒ご容赦ください。気長にお待ちいただきますようお願い申し上げます。


さて、今日は久しぶりに音響のお話をしようと思います。以前にご紹介した映画館設備マニアの記事の続きです。


ドルビー・デジタルの登場

映画館の音響設備の拡充に伴って、映画の音響にこだわる方が増えているのは前の記事でお話した通り。その火付け役となったのは劇場用デジタル音響システムのドルビー・デジタル(SRD)の登場に他なりません。
それまでもドルビー・ステレオ(Dolby A-Type)ドルビー・スペクトラル・レコーディング(Dolby SR)などの音響システムで定評のあったドルビー・ラボラトリーズが開発したこの方式によって、映画の音は従来のアナログ光学録音と比較して、音楽CD相当まで向上したと言われています。


映画館ではおなじみ、ドルビーのダブルDマーク

ドルビー・デジタルの発表は1992年。翌年に最初の国内シネコンであるワーナー・マイカル・シネマズ海老名が映画館では日本初となるTHXシアターにドルビー・デジタル、デジタル・シアター・システム(dts)、ソニー・ダイナミック・デジタル・サウンド(SDDS)を引っさげて華々しくデビューしました。

WMC海老名7番THXスクリーンでデジタル音響システムを体感し映画音響の世界に引きずり込まれていった人は数知れず・・・、管理人もその一人です。『プライベート・ライアン』の凄絶なサウンド、『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』のポッドレースシークエンスの360度サラウンドは、マニアの間では語り草になっていますね。その後はデジタル音響システムを標準装備したシネコンが当たり前となり、多くの人が気軽に高音質を楽しめるようになりました。

ドルビー・デジタルの音声方式、特性、性能など小難しい話はまたの機会とさせていただき、今日は関連して予告編の音声と映画館の音響性能について簡単に触れてみようと思います。


マニアと映画館の音響

映画館設備マニアは映画本編のサウンドを聴いて作品と映画館の音質・音響を判断するのが通常です。デジタル音響が当たり前になった現在ではアナログ方式(ドルビーSR、dtsステレオ等)には興味のない方も多いようで、デジタル録音の作品のほうが一般的には音響評価の対象となりやすい印象を受けます。

しかし本編での評価には落とし穴があります。映画の本編でサウンドを評価する場合、複数回同じ作品を鑑賞しないと比較評価ができないので、音響の優劣が作品の録音品質によるものなのか、劇場性能によるものなのかが判別しにくいのです。
例で言うなら
上質の音響性能の映画館で録音品質の良くない映画を鑑賞した際に、音の悪い原因が映画館にあると誤った評価をしてしまうことがあるんですね。当然、この逆のパターンもあり得ます。

初めて訪れた映画館で初めて見る作品だと、音響が悪いなと感じた場合に作品と劇場のどちらに原因が多くあるのかを分析するのは至難の業です。現在の映画館の多くは映画館の基本的な音響設計に則って建築されていますが、実際に再生される音は内装材の種類や劇場の形状のほか音響設備のチューニング等の影響で実に様々です。つまりは同じ映画でも映画館によって音響や聴こえ方が異なってくるのです。

音響の専門家でもない限りは、これらの微妙な差を本編の鑑賞のみで評価分析することは大変難しいように思います。マニアが各個人の嗜好を物差しとして評価するぶんにはあまり影響はありませんが、純粋に映画館の音響性能を客観的に推し量りたい場合には厄介な問題です。


予告は音響性能の物差し

では作品の録音の影響をなるべく受けずに映画館の音を判断する簡便な方法はあるのでしょうか。おすすめなのが敢えて本編は音響評価の参考にとどめておいて、予告編で映画館を評価する方法です。

以前はアナログ録音が多かった予告編も現在はデジタル録音が主流となり、シネコンで上映される予告編のほとんどがドルビー・デジタルで記録されています。デジタル音声はアナログ音声で再生することもでき、予告編をアナログとデジタルのどちらで上映するかは映画館の判断によりますが、デジタル録音のものはデジタル再生されることが多いです(予告はアナログで上映する方針の映画館もあるようです)。
予告編のデジタル音響化によって、本編に勝るとも劣らない高音質のものも珍しくなくなりました。最近だと『トランスフォーマー』の予告編が重低音を効かせた迫力あるものになっていましたね。

予告編での音響評価をおすすめする理由は、初めて訪れた映画館でもその場で比較評価ができるからです。予告は作品のジャンルや観客のメインターゲット層に合わせて映画館がチョイスして上映します。本編前の予告編は様々な配給会社の作品がランダムに組み合わされているのです。

予告編といえども作品が異なれば当然音作りも録音も全く違うのは本編と同じ。そのような違う条件のものが立て続けに上映されるので、作品による録音品質のばらつきをなかば排除して映画館の特性判断に集中することができるのです。
今までの経験では予告編で映画館音響を評価しているマニアの方はあまりいらっしゃいませんが、初めて訪れた映画館でも客観的に判断しやすい方法なので個人的におすすめしています。


チェックポイントは?

音響の判断基準は個人差があるのでいわゆる「正解」はないと思いますが、この方法ならではの判断基準として「予告編ごとの録音品質・個性・特性を正確に再生できる再現力」のチェックが挙げられます。
モニター力の優れた映画館(映画の録音品質をデフォルメせずにさらけ出せる、座席位置による音質の差が少ない、音の情報量や解像力が高い、微小な音も埋もれずに描き分け聴き取れるなど)だとそれぞれの予告編が全く違う音に聴こえ、予告編が変わるごとにその違いが新鮮に感じられるのです。

映画館の設備が向上した現在でもこのような聴こえ方をする映画館は非常に少なく、ごく限られた映画館でのみ体感できるように感じます。多くの映画館では予告ごとの音響の差異はあまり感じられないように思いますし、これを意識せずに漠然と聴いている方が多いと思うのですがいかがでしょうか?


予告を描き分ける映画館は数少ない

予告編の音を描き分けることは、ソース(音信号)の個性を自然に引き出しているとも言えます。音響設備のメンテナンスと調整、基本となる音響性能や機材性能が良くなければ実現できません。一部の試写室などはこの性能が非常に優れており、ちょっとしたノイズやアラまではっきりと再生されてしまいます。これが実感できる箱は予告編の音を聴いただけでもひとあじ違いますから本編の音も有意義にチェックできますね。

残念なことに予告編の音質差がはっきりと分かるような映画館は多くありません。世界的な劇場規格のTHX認定館でも少数です。なので予告編からひとあじ違うと感じられる映画館は注目する価値はあるでしょう。
ひとあじというのは重低音が凄いとかサラウンド感があるとかでは決してなく、前述のようにソースの再現力と正確性に優れていることを指しています。迫力ある重低音や強いサラウンド感など特定の特性が際立っている映画館は、経験上概して正確性は高くないことが多いと個人的に思います。

いずれにしても映画館は映画を見るところなので音を楽しみつつも、やはり映画を心から楽しみたいもの。音ばかりに集中して作品は上の空にならないように気をつけたいですね。

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2007年11月 9日 (金)

File.101 映画は一期一会

映写のお仕事は、観客に映画をよりよい状態で提供すること。今までにも何度か書いきたように映写業務の基本理念です。
実現するには映写技術の習得や経験が不可欠です。現在は多くの映写機がオートマチック化されて映写技師にかかる負担は少なくなり、不燃性フィルムの開発で火災の危険性も激減して誰でも少しの研修を行えば映写ができるまで簡便化されました。
以前は手作業で行っていたことが自動化されたことで映写技師にかかる負担は減り、ひいてはシネコンのような大型の複合型映画館を少人数のスタッフで運営することを可能としました。

業務内容が簡便化されたとはいえ、映写のお仕事には今も専門的な知識や手先の作業が生きていることも事実です。現在劇場公開されている映画のほとんどは35mmフィルムを使用した上映で、これは数十年来変わることなく続いています。フィルムを使用しないデジタル映写やビデオ上映も徐々に増えてはいるものの、映画の上映で35mmフィルムが圧倒的なシェアを誇っているのはデジタル化が著しい写真界とは対照的ですね。

ご存知の通りフィルムはとてもデリケートなもの、これは映画のフィルムも同じで映画上映プリントを扱う際には細心の注意が必要です。ちょっとしたダメージでも取り返しのつかない結果になりかねません。
いくら映写が自動化されたとはいえ、デリケートなフィルムやデジタル映写機のコンピュータを扱うのに神経を使うことは今も昔も変わることはないのです。映写は映写機という精密機器と、扱いに注意が必要な映画フィルムとの関わり合いで成り立っており、
時代は移り変わっても映写担当に常に緊張を強いる仕事です。

映写の仕事に慣れるまでは緊張とプレッシャーが重くのしかかり、上映を開始するのがやっと…という状態が続きます。無事に上映が終わるとようやく緊張から解放されて思わずほっとします(参照 File.96 はじめての映写)。経験を重ねるにつれて最初のような過度な緊張はほぐれ、自分のやり方やペースで仕事をできるようになってくれば一人立ちといえるでしょう。

こう書いていると映写はとても難しくて面倒な仕事なんだなとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は映画を最初から終わりまで正常に映写すること自体は難しいことではなく、一人立ちした映写技師であれば全能力の10%もあれば問題なくできます。現に今は多くの映画館で短時間の研修だけできちんと業務を遂行されている方が大勢いらっしゃいます。

能力の残り90%は経験とプロ意識がモノを言う世界。品質の向上をはじめ、映写中の異常発見やトラブルの事前回避といった危機管理意識と、それに対処する能力と判断力の育成のほうが、ただ映写をするよりもはるかに難しいのです。
映写中の異常を発見するには、正常時とのわずかな違いでも見逃さない注意力が求められます。上映機器の挙動や映像や音響の五感でのチェック、スクリーンの隅々まで目視で確認するといった研修だけでは身につかない、感覚的な判断力と経験を必要とする領域です。これは
普段から真剣に映写業務に向き合い、冒頭にも挙げたよりよい映写を心がけていないと身につくことはありません。

どれだけ入念に作業をしても完全に映写事故を防ぐことはできませんが、未然に事故を防ぎ品質を向上させることが映写技師の腕の見せ所でもあり役割なのです。これを放棄すれば映写技師の存在は不要になることでしょう。

そして忘れてはならないことは、お客様は映画を楽しみにして映画館まで足を運ぶということです。テレビ放映やレンタルビデオ店ではなくわざわざ映画館にやってくるのは、それだけの理由があるはずです。映画館だからこそのものが…。
その期待に応える、応えたいと思うことが映写技師にとっては大切なことなのではないかと管理人は考えています。

「映画を楽しみに映画館に行く」
この動機を映写技師はいつも心に留めておければ良いと思います。映画『ニュー・シネマ・パラダイス』で映写技師アルフレードの台詞に

「しかたなく同じ映画を100回も見る。休みは聖なる金曜日しかない、いつも独りぼっちで辛い仕事だ。」というのがあります。

非常に的を得ていてドキッとさせられます。確かに映写技師にしてみれば同じ映画を毎日かける繰り返しなのですが、それを鑑賞するお客様は毎回違う人たち。みなさん映画を楽しみに心待ちにしてやってきています。
映写技師が100回見ている映画でも(実際には見ている暇はありませんが)、お客様にとっては
一度きりしかない作品とのファースト・コンタクト、言ってみれば映画との一期一会。その出会いの時間を心ゆくまで楽しんでほしいから、もっと良い品質で見て頂きたいと努力するから映写技師の仕事は楽しいのです。

アルフレードはこう続けます。
「客席が満席になってお客が楽しんでいると自分も楽しくなる。人が笑うのが嬉しい。自分が笑わせている気がする」
この台詞には共感を覚えます。映写冥利につきる感情を的確に表現した名台詞ではないでしょうか。映写の仕事が好きでなければ言えない台詞なのかもしれません。お客様を楽しませたいからこそ映写の仕事には力が入るしそれだけに責任も重いのですが、アルフレードが言ったように人を幸せにするのが映写の仕事であるならば、本当に映写が好きな人にこの仕事を続けてほしいと願います。実際に好きだから映写をやっている人が多いですしね。それでなおお客様を楽しませたいという理由で向上心を持って映写ができる人には天職と言えるでしょう。

毎回同じ映画を上映しても、映写窓の先にいる人たちはその映画との一期一会の出会いを楽しみにしている。その人たちが映画館にいる時間を満喫し、映画を楽しんでくれることが映写技師の喜びなんですね。
観客と映画の一期一会を提供する映写技師の仕事、今後も映写の裏側を少しづつご紹介していけたらと思います。ちなみに現代の映写技師は聖なる金曜日ももちろん働いていますよ!

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2007年10月17日 (水)

File.100 100回目のごあいさつ

いつも『映写室からのつぶやき』をご覧頂きありがとうございます。
おかげさまでこのたび、100回目の記事を上梓することができました。ブログの更新数としてはたったの100回、でも当サイトにとっては大きな一歩です。ここに改めて皆様に御礼申し上げます。

今回は趣向を変えて、当サイト開設のきっかけを書き記しておきたいと思います。しばらくお付き合いいただければ幸いです。


・映画館に目覚めたきっかけ

当サイト管理人の月夜野が映画館に関心を持ち始めたのは1997年のことで、映画館と関わり始めてからそれほど長い期間があるわけではありません。この年はワーナー・マイカル・シネマズ海老名の誕生から4年が経ちMOVIX六甲(MOVIX第一号サイト)がオープン。シネコンが急増する直前の頃の話です。

映画はいつも昔ながらの街のロードショー館で見ていたその頃の管理人は、映画館の設備だとか音響には全く関心を持っていない一観客に過ぎませんでした。当時は映画館で映画が見られればそれで満足していて、サービスや上映性能へのこだわりがなく知識はゼロ。今からは想像もつかない状況です。

1997年秋、その素人の認識を一変させる衝撃的な映画体験がありました。

それはワーナー・マイカル・シネマズ東岸和田#5 THX(SDDS)で鑑賞したロバート・ゼメキス監督作品『コンタクト』。THXシアターとSDDSによる迫真の音響はこれまでの映画館のイメージを塗り替え、今でも鮮烈な記憶として覚えています。
それまでもシネコンでの鑑賞経験はあったのですが設備面でロードショー館との大きな違いはまだ認識していませんでしたし、
当時はシネコンでも非デジタル音響館が多くありましたね。『コンタクト』の音響が高品質だったことに加えて、従来の映画館と大きく違う音響効果を感じたWMC東岸和田THXシアター体験で、私は映画館の音響や設備に関心を持つようになりました。

同年同所で鑑賞した『タイタニック』でも素晴らしい映画音響体験を味わい、THXの存在や映画館には品質レベルや性能の違いがあることをはじめて知りました。特に今はなき梅田スカラ座で鑑賞した『スター・ウォーズ 特別篇』の大劇場らしい大味な音響との差は歴然でした。それ以降ロードショー館に行く機会は少なくなり、シネコン通いが続くようになりました。

1年後の1998年秋には迫力音響映画の金字塔『プライベート・ライアン』をワーナー・マイカル・シネマズ海老名#7 THX(dts)で鑑賞。Gary Rydstromらの手によって制作された迫真の音響効果は、戦場の狂気を疑似体験するのに不足なしと言えるでしょう。WMC海老名#7 THXのハイレベルな音響性能も相まって、忘れられぬ映画体験となりました。これらがきっかけでTHXには一目置くようになります。
後にアカデミー賞受賞記念のリバイバル上映がWMC海老名#5(SRD)で行われ見に行きました。#5はTHXではありませんが音響は優秀で見事にSRDのポテンシャルを発揮していました。初期WMC中規模館のリファレンスともいえる見事な箱だと思います。

時を同じくして映画館での勤務を開始、映画館音響の世界にドップリと浸っていきました…。


・もっと情報を!

2001年にパソコンを購入、さっそくインターネットで映画館情報のホームページを探し始めたのですが、詳細情報を掲載したサイトは多くありませんでした。
もっと映画館のことが知りたい…、もっと情報がほしい…。

インターネットで調べればいくらでも情報が得られると思っていましたが、映画館の情報はとても少なかったのです。関心のある人が少ないのか、それとも情報として表に出てこないのか。

2001年頃はシネコン建設ラッシュの時期に相当するので映画館に関心を持つ人が増え始めた時期だったと思います。DOLBYやTHXという専門用語も徐々に広く知られるようになった頃でしょう。映画館情報のサイトを検索するには少し時期尚早だったのかもしれません。

それでも興味深い情報を提供してくださる先達諸兄のサイトも少数ながら見つけることができました。これまで私が多くを学ばせていただいた諸兄のサイトをここにご紹介いたします(問題があるようでしたらご連絡ください)。

いいことがありますように 映画情報編
西脇唯さんファンのH-Snowさんが運営する映画情報サイト。映画関連会社の圧倒的なリンク数に注目。映画館情報としては東京都内の劇場レポートや、立川シネマシティの裏側レポートが必見。

映画館ブログ
その名の通り映画館の記事がいっぱいのhappysadさんのサイト。絶え間ない情報収集力と、時に辛辣で手厳しい文章批評は映画館ブログならでは。当サイトもご覧頂いていているとのこと、ありがとうございます。

映画館へ行こう
映画館情報掲示板では日本最大の情報量を持つ、お湯さんのサイト。最近は書き込みが停滞していますが過去ログは貴重な情報の宝庫。映画館の設備に一家言を持つ猛者が集まる掲示板です。当サイトをリンクして頂いています。ありがとうございます。
ちなみに映連のキャンペーンは「映画館に行こう!」です。

映写関連情報交換掲示板
紆余曲折を経て現在に至る貴重な映写専門掲示板。他にはない専門掲示板なのですが閑散としているのが残念です。

映写室だより
東京都町田市の映画館「まちえい」の映写技師まちえい子さんが運営していた映写情報ブログ。2006年12月15日の閉館に伴い閉鎖されました。現役映写技師のナマの記事が読める希少なサイトでありました。

N氏の映画館
転勤が多いN氏さん運営の映画館情報サイト。実際に訪れた映画館を率直な切り口でレポートしてあるコンテンツは必見。場内の画像も見られます。映画音響方式の丁寧な解説も参考になります。当サイトにリンクして頂き、ありがとうございます。N氏のハンドルネームから星新一さんの作品を連想します。

しかるま亭
映画音響情報サイトの代名詞だったしかるまさんのサイト。残念ながら閉鎖されました。こちらを愛読されていた方は多いのではないでしょうか。

シネマ茶屋すぷろけっと
現在はブログを中心に更新されている、じんけしさんのサイト。以前からのホームページには渾身の映画館特集記事、映画館の評価などボリュームたっぷりな読み物が充実しています。本格派の特集が組まれているので本として出版できそうです。当サイトにリンクして頂き、ありがとうございます。

ロボット映写Kの映写日誌
現役映写技師Kさんのブログ。豊富な経験に裏打ちされたプロの仕事振りが垣間見え勉強になります。日本製映写機シネフォワードを使用されているようです。

THXおたっきーず
シネプレックス幕張を愛するTHXオタッキーさんのサイト。ハンドルネームに反してTHXよりHDCSが好みのようにお見受けします。劇場遠征の行動力にはただただ感服です。

とある元映写技師の日常。あるいは、次期社長漫遊記。
映写のプリント編集を分かりやすく紹介されている映写屋さんのサイト。ノンリと全自動映写機の説明は他では見られないユニークなものです。

どんくらの映画わくわくどきどき
映画の感想とあわせて映画館の感想・所見を書き記しているどんくらさんのサイト。映画館評のサイトは数少ないので注目しております。

ねこ目大好きふり好き日記
大阪府在住のひろろさんのサイト。時々映画館の音響レポートが掲載されます。TOHOシネマズなんば#2が特に良かったとのことなので行ってみたいですね。当サイトをご紹介頂きありがとうございます。

production note of < kaname's favourite things!! >
映画館のオープン情報では他の追随を許さぬkanameさんのサイト。へえ、こんなところにも映画館ができるのかとこちらではいつも感心しきりです。

港町キネマ通り
全国の映画館を取材して構成された記事は貴重な記録で、閉館した映画館の在りし日の姿も克明に記録されていて感慨深いです。ブログも運営されています。私もこちらのような記録を残せるように頑張りたいです。


・なければ作るしかない

諸兄のサイトで様々な情報・知識をいただき、見識を深めることができました。そのうちに自分も映画館のことを多くの方々に知っていただきたいと思い、『映写室からのつぶやき』を開設する運びとなりました。
開設にあたっては来訪者は少なくても良いからできるだけマニアックで新鮮味のある他にはあまりないような記事を平易な文章で書くことを基本としたためにコアな話題が多いと思います。表題に通し番号をつけているのはコンテンツの検索が難しいブログの特性を考慮して目次変わりに活用しているのと、File.1から読み進めていただくことを前提に記述しているためで、回を重ねるごとに用語解説を徐々に省き、よりマニアックな内容に進んでいく形式をとっています。

当初はブログではなくホームページで作成したかったのですが、パソコンやHTMLの知識が無いので手軽に更新できるウェブログ形式のサイトに落ち着きました。結果的には制作に専門的な知識もいらないので作成・更新には好都合だったと思います。当サイトは@niftyが提供するココログを使用しています。

編集方針として自分が紹介したい、読みたいと思うような記事を優先にして記述しています。また他ではあまり紹介されないような事柄や映画館の舞台裏など「ムダ知識」を中心とした記事編成をできるだけ心がけています。ブログ名の由来もここからきています。狭い範囲で深い話題を提供していきたいと思っていますので当サイトをご覧頂いても日常生活には何も得にならないことでしょう(笑)。メールやコメントで頂いたご提案やご感想は随時サイト運営の参考としています。

こうして2006年1月19日に当サイトはひっそりと産声を上げました。開設後の数日は来訪者がほとんどいない中での虚しい更新を続け、そのうちにポツポツと検索で訪れる方が増え更新にも励みが出てくるようになりました。やはり気にしていないつもりでもアクセス数は意識をしてしまうようです。
開設から2週間が経った2月6日に
Yahoo!Japanの映画館カテゴリへの公式登録を受理され、Yahoo!Japanの登録サイトになりました。この影響で一時的に爆発的なアクセス数を更新し、Yahoo!Japanの影響力の大きさには驚かされました。

最初の目標だった50回の更新は無事に終わり、次の目標の150回更新もこのまま順調に行けば達成できそうです。150回以降も時間の許す限り更新は続けていきたいと現時点では考えておりますので、ご指導よろしくお願い申し上げます。


・映写室からのつぶやき 全記事リスト

映写室からのつぶやき メインページです
Information 管理人のプロフィールとサイトポリシー
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アンケート ご意見、ご感想、ご要望…etc その他、何でもお気軽にどうぞ
取材依頼受付 全国出張し、当サイトでご紹介いたします 
おすすめアイテム集 「映写室からのつぶやき」が厳選したアイテムをご紹介

File.1 新規オープンです サイト開設のごあいさつ
File.2 映画の誕生 感光材料の発見から活動写真誕生までの略史
File.3 全米No,1大ヒットの謎 ちまたに溢れる「No.1ヒット」の真相とは?
File.4 飲食業で成り立つ映画館 興収だけでは苦しい…映画館の台所事情
File.5 空飛ぶ映画館 機内サービス映画はこうして選定される
File.6 全席指定制のメリット 指定席制度の舞台裏
File.7 映写窓からこんにちは ただのガラスにも一工夫!
File.8 表裏一体のポスター 映画ポスターは裏面にも注目
File.9 「男たちの大和/YAMATO」 幻の三分間 公開直前にお蔵入り
File.10 ピクサー、ディズニー傘下へ ディズニーは強引です…
File.11 黒船~シネコンの出航 WMCの与えた衝撃
File.12 シネコン~その革新性 映画館革命 シネコンが生んだ合理性とは
File.13 シネコンの隆盛と既存館の衰退 盛者必衰の理哉…
File.14 映画館は都心回帰へ シネコン立地の変化と潰し合い
File.15 消え行く緞帳 映画館から消滅する日も近い!?
File.16 浅草から封切館が消えた 都内最大級だった封切・名画座両立館
File.17 映画館従業員は図工がお得意!? ひそかな愉しみ
File.18 試写用プリント"0号" プリント制作はアナログ作業です
File.19 ポップコーン百花繚乱 ポップコーンにも技あり!各社の名物メニュー
File.20 映画はお茶の間で見る時代? 映画ボーダーレス時代の到来??
File.21 テスト試写 作品を鑑賞している余裕なんてありません!
File.22 御礼 皆様に感謝!! Yahoo!Japan登録のご報告
File.23 映画館の給与 映画館勤めも楽じゃない~
File.24 アードマン、ジブリを制す 『ウォレスとグルミット』偉業達成
File.25 予告編と特報 予告編にも種類があるのですねえ
File.26 予告編のスコア 音楽貸し借り大作戦
File.27 ヒットの証・大入袋 日本ならではのアイテム
File.28 映画館はパニックルーム!? 映画館ではあなたの悲鳴は聞こえない
File.29 着せ替え座席 交換できるからといって汚さないで!
File.30 目次を作りました いまご覧のこのページです
File.31 スロープからスタジアムへ 座席配置構造のあれこれ
File.32 すくい技 カスを作らず、入れず、入れさせない
File.33 チームワークの映写業務 多数の映写機を少人数でさばく
File.34 松竹あんぱん 映画会社がなぜあんぱんを…?謎です
File.35 良い子はお家へ 翌日まで我慢してください
File.36 続映と打ち切り 上映期間を見抜こう
File.37 新宿松竹会館が建替え 雀荘映画館・ピカ4は伝説となる…
File.38 映画ロケ積極県・香川 観光振興に映画が貢献
File.39 伝説を呼ぶ!イッキミ 映画クレヨンしんちゃんが六本木に集結
File.40 圧縮回収 ただ捨てるではなくコンパクトに捨てる合わせ技
File.41 ミリオンシアター 100万人が一流集客力の証
File.42 VIRGIN消滅 東宝の勢いを象徴?
File.43 スクリーンブッキング シネコンのスクリーン割り当て事情
File.44 香りを楽しむ アロマテラピー型映画館が登場するかも
File.45 定価1,800円 映画鑑賞料金が下落しないわけ
File.46 ゴールデンウィーク 映画館でお待ちしております
File.47 商品知識 より良いサービスと顧客満足のために
File.48 劇場スタッフの勤務意識 お堅い話ですけどよりよい映画館のために
File.49 ステータスパネル 初めて見るとまるで暗号
File.50 庁舎映画館 議場を映画館にする荒業登場
File.51 新宿松竹会館メモリアル 1 永遠なれピカデリー 連載第一回目
File.52 新宿松竹会館メモリアル 2 ピカデリー正面の姿 連載第二回目
File.53 新宿松竹会館メモリアル 3 細部まで建築鑑賞 連載第三回目
File.54 新宿松竹会館メモリアル 4 手描き看板ギャラリー 連載第四回目
File.55 新宿松竹会館メモリアル 5 ピカデリーとスナップ写真 連載第五回目
File.56 新宿松竹会館メモリアル 6 ピカ4徹底解剖 連載第六回目
File.57 新宿松竹会館メモリアル 7 とにかくでかいピカ1 連載第七回目
File.58 新宿松竹会館メモリアル 8 また会う日まで 連載最終回
File.59 新宿松竹会館建替え続報 新劇場の情報をご紹介
File.60 場内音楽 幕間BGMのセレクトは劇場の個性
File.61 東西最新シネコン 贅を尽くした映画館、その中身は
File.62 梅雨対策in映画館 映画館での梅雨時期対策とは
File.63 劇場の格付け…? 映画料金と設備投資は比例しない
File.64 映画と怪談 怖いもの大好きな映画界
File.65 博多駅争奪戦 九州の覇権を賭けた東宝VS東映の一戦
File.66 本当に満席? 誰も座らない謎のシートがあるのです
File.67 予告編と未公開シーン 映画予告はお宝映像がいっぱい
File.68 ロビー放送
放送まで気配りをしてこそ良い映画館
File.69 プログラム販売 プログラムを楽しんでみよう
File.70 ワーナー・マイカル創立15周年 WMC15年目の秋
File.71 映画祭とフィルムの山 映画祭では映写担当も大忙し
File.72 セクション配置 映画館のお仕事は大きく分けて7つあるんです
File.73 セクション選び 自分に向いたセクションを探してみよう
File.74 託されたシャシン 映写業務の責任と心構えをうるさくご紹介…
File.75 新宿プラザ劇場が休館 年季の入った劇場ゆえの改修休館
File.76 フィリップ・ノワレ氏 逝く 映写スタッフにとっても永遠の名優
File.77 新宿バルト9が始動 映画館の街・新宿に東映がシネコンを建設
File.78 幕間インターバル 上映スケジュールの合間は走り回ってます
File.79 WMC石巻閉館 宮城県第一号のシネコンが閉館
File.80 新宿バルト9続報 日本一・日本初がめじろ押し
File.81 単独鑑賞 レディース・デイと女性単独客の関係
File.82 映画館マニア 映画館にも熱狂的マニアが存在
File.83 映画館設備マニア
音響に厳しいマニアの実態
File.84 フィルムと検査機 ドラマ『LOST』の受難と荷物検査機の恐怖
File.85 アルバイト採用シーズン 大量採用の時期こそ映画館に応募しよう
File.86 権限委譲 スタッフの信頼が成立しなければお客様にもご迷惑です
File.87 IMAXメモリアル 1 東京品川のIMAXシアターが閉館 連載一回目
File.88 IMAXメモリアル 2 巨大なスクリーンが圧巻 連載二回目
File.89 IMAXメモリアル 3 軽井沢町まで行ってきました 連載三回目
File.90 IMAXメモリアル 4 外観が客家円楼に似ている…? 連載四回目
File.91 IMAXメモリアル 5
 品川に劣らぬ設備を誇ります 連載五回目
File.92 IMAXメモリアル 6
 完全閉館と再起への道 連載最終回
File.93 人海戦術 猫の手も借りたい混雑時の場内清掃
File.94 事故報告書 恐怖!映写専用の始末書は全国に配信される
File.95 箱の静的雰囲気 劇場によって聴こえ方の雰囲気が違うのはなぜ!?
File.96 はじめての映写 覚えることがいっぱいで最初はキツイかも
File.97 気温と動員数 風が吹けば桶屋が、真夏日は映画館が儲かる
File.98 WMC × JAL 映画を見たお金で大空にFly!
File.99 応答セヨ! 業務と無線を一挙に対処する姿は通信兵?

振り返ってみれば実に色んなことを好き勝手に書き綴ってきたなと思います。毎回コンテンツの選定には頭を悩ましておりますので、ご要望がございましたらお気軽にメールでご連絡いただけたら幸いです。


・サイトの主な履歴

2006年1月19日
 映写室からのつぶやき開設
2006年2月6日
 Yahoo!Japan公式登録サイトに承認
2006年2月7日
 1,000アクセス達成
2006年2月19日
 もくじページを新設
2006年3月8日
 メールフォームアンケートフォームを新設
2006年5月12日
 10,000アクセス達成
2006年5月17日
 連載特集 新宿松竹会館メモリアルを開始(~6月2日 全9回)
2006年6月24日
 サイドバーに検索ウィンドウを新設
2006年8月13日
 20,000アクセス達成
2006年9月11日
 取材依頼受付フォームを新設
2006年9月25日
 サイドバーに人気記事ランキングを新設
2006年10月11日
 人気ブログランキングに参加開始
2006年10月27日
 30,000アクセス達成
2006年11月6日
 テクノラティに登録

2007年

2007年1月12日
 40,000アクセス達成
2007年2月11日
 50,000アクセス達成
2007年3月20日
 60,000アクセス達成
2007年3月28日
 ソーシャル・ネットワーキング・サービス mixiに参加
2007年4月12日
 連載特集 IMAXメモリアルを開始(~6月13日全6回)
2007年5月3日
 70,000アクセス達成
2007年6月7日
 80,000アクセス達成
2007年7月10日
 『art&mode』誌に取材協力
2007年7月26日
 90,000アクセス達成
2007年9月8日
 100,000アクセス達成
2007年9月9日
 サイドバーに投票コーナーを新設
2007年10月18日
 人気ブログランキングへの参加を終了


・100回記念プレゼント企画!

今回は100回目更新記念として、恥ずかしながら当サイトが取材協力をさせて頂いた『art&mode』誌(特集:「映画館って本当に、いいですよね。」)を抽選で1名様にプレゼントいたします。

本誌は建築資材の製造販売会社様の季刊誌ですが、映画館専門誌かと見まごうばかりの充実した特集となっています。シネコンのロビーデザインや映画館の音響設備などのマニアックな内容にも触れられておりビジュアルも美しく編集者さんの熱意が伝わる一冊に仕上がっています。

ご希望の方はこちらに氏名・メールアドレス・お届け先住所をご記入のうえご送信ください。ご住所非公開をご希望の方は最寄の郵便局留めも承ります。局留め希望の方は、お受け取り希望の郵便局名(所在地の市区町村名を併記してください)とお受取人氏名・メールアドレスを記入して送信してください。郵便局留宛でお送りいたします。
どうぞ皆様奮ってご応募くださいませ
。※2007年12月14日(金)しめきりです。


・今後の更新

今後もゆっくりではありますが更新を続けてまいります。ご意見ご感想も随時受け付けておりますのでお気軽にお寄せください。サイト運営の励みになります。今後とも映写室からのつぶやきをご愛顧いただきますようよろしくお願い申し上げます。


ご意見・ご感想・メールはこちらから
映写室からのつぶやき特設
アンケート回答募集中
映画館・映画関係者様からの
取材依頼受付中

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2007年10月 2日 (火)

File.99 応答セヨ!

1993年の日本初登場以来、今やすっかりと定着したシネマコンプレックスの映画館(参照 File.11 黒船~シネコンの出航)。CINEMA COMPLEX(複合型映画館)は名称通り、複数の映画館(スクリーン)を使って多数の作品を同時平行で上映しているので、スタッフはタイムスケジュールに応じてそれぞれ持ち場の業務にあたります。作品の開始/終了時刻の連絡や場内清掃の状況のほかロビーの混雑具合などは逐一情報を共有し、全セクションが把握しなければシネコンの運営は成り立ちません。

シネコンセクションの概要は過去記事のFile.72 セクション配置File.73 セクション選びをご参照ください。
本日はセクション間の無線連絡についてご紹介します。

各セクションの相互連絡は無線機を使って情報の伝達・共有を行います。無線機というと仰々しいですが要はトランシーバー、ハンディサイズの携帯型無線機です。もちろん免許不要で誰でもすぐに使うことのできる簡易なモデルが用いられており、映画館ではモトローラ社とアイコム社の製品をよく見かけます。

映写は映写室という限られた空間にいるので、無線機に内蔵されたスピーカーで音声を聴取しますが、常に接客状態にある他セクションはイヤホンを使用します。映写スタッフもロビーに出るなど映写室外ではイヤホンを使用します。

混雑時はどのセクションも持ち場の対処で精一杯になるために、無線機を使って随時他のセクションと連携を取り合わないと現場は混乱をきたします。そこで主に映写とフロアのスタッフが連絡を取り合い入退場時間を制御して、チケット売場やコンセッションがそれに付随して全体の動きを作っていきます。入退場の時間が読めれば、他のセクションも具体的に動くことができるのです。

やりとりで多いのは「上映開始/終了時刻」の報告、「映写の上映準備完了とフロアの清掃完了」の合図でしょうか。これに加えてイレギュラーの事態や混雑のときは他セクション同士の応援要請もよくありますね(参照 File.93 人海戦術)。例外として通常の業務連絡以外の通信、たとえば機密に関わることや金銭関連の内容には無線機は使用せず、口頭でやりとりします。

実際にどのようなやりとりがあるのか一例を見てみましょう。


・オープン時のやりとり

マネージャー:まもなくオープンします。各セクション準備は良いですか?

全セクション:開店準備完了です

マネージャー:オープンします!

オープン直前に全セクションに対して準備が完了しているかの最終確認が行われます。このとき全てのセクションがいつでもお客様をお迎えできる状態でなければなりません。具体的に言うとボックスはチケットが販売できる、コンセッションは飲食物をすぐに提供ができる、フロアはロビーの整備をして入場ができる、映写は上映準備ができている状態を指します。


・上映開始前

映写:『めがね』まもなく予告編上映開始です

フロア:了解

映写:『めがね』まもなく本編開始です

フロア:了解、ボックスの方はお客様へのご案内をお願いします

ボックス:『めがね』本編直前了解です

映写:『めがね』本編に入りました

フロア・ボックス:『めがね』本編、了解です。本編確認します

フロア:3番スクリーン本編確認完了、異常なし

映写:映写了解しました

上映開始時刻が近づくと、映写は予告編上映開始を伝達します。映写以外のセクションには上映が始まっているかどうかは分からないので大切な連絡といえるでしょう。予告編が始まっていることをボックスが認識していれば、後から来たお客様にもその旨を伝達することができて好ましいです。

本編が近づいたらロビーのお客様に本編間近であることをお伝えする必要があるので再度連絡します。この連絡が入ったらボックスではもうすぐ本編開始であることを来場者に案内したうえでチケットを販売します。
本編上映開始後はフロアまたは映写のスタッフが場内に入って正常な映写がなされているかをチェックします。怠ると、もしもミスがあった際には後手対応になるので必ず行います。


・上映終了

映写:『めがね』まもなくエンドロール開始です

フロア:了解です。3番スクリーンのごみ受けスタンバイOK

映写:『めがね』上映終了です

フロア:『めがね』終了了解です

上映終了時間が近づいてきました。エンドロールに入る手前で映写はその旨をフロアに伝達します。フロアスタッフはこの合図を目安にして劇場扉を開け、ゴミ受け台を用意してお客様の退出を待ちます(参照 File.40 圧縮回収)。この連絡がないとフロアスタッフのスタンバイが出遅れる可能性があるため、必ずエンドロール前に伝達します。お客様が退出し始めてからでは遅いのです。


・入場開始

フロア:3番スクリーン清掃に入ります

映写:了解です

フロア:3番スクリーン清掃完了です

映写:了解。3番スクリーン『ミス・ポター』セット完了です

フロア:了解。13:40から上映の『ミス・ポター』開場します

ポディアム:開場開始アナウンスします。

基本的にお客様が場内にいらっしゃる間は清掃作業は行いません。お客様が退出し終わったのを確認した後、場内の清掃作業を開始します。映写もしくはフロアスタッフが作業灯を点灯させて場内を明るくした状態で清掃を行います。

この間に映写は次に上映する作品の準備を行います。シネコンで主流のノンリワインド1台映写機は上映回ごとに作品を映写機にセットし、リワインド2台映写機なら再セットは不要です。作品が変わるときはどちらのタイプの映写機もプリントのセットや上映設定を変更します。

映写準備と清掃が完了すればポディアム(フロアリーダー)に開場準備完了を伝達して、館内アナウンスで入場開始をお客様にお知らせします。

ステータスパネルがフロアやコンセッションに装備されている劇場であれば、無線連絡が遺漏しても各セクションのスタッフが映写状況を把握することができるのですが、映写スタッフ以外でパネルの見方を熟知しているスタッフはあまりいないようなので役立っているとは言い難い設備かもしれません。


シネコンはこのようなサイクルを繰り返しながら各セクションが連動して運営を行っています。フロアや映写の全スタッフは無線機を携帯していますが、ボックスやコンセッションはセクションリーダーのみが携帯していることが多いようです。上記のやり取り例ではコンセッションは登場しませんが、上映終了の伝達は次回入場開始の前段階を意味するので、調理量や物品補充をするタイミングとして活用されます。

一方で支配人を中心としてマネージャー等の管理職はこれらのやりとりを把握して、随時アドバイスや指示を出してスムーズな運営ができるように導きます。混雑を察知すればすぐにロビーフロアに出て社員自らが先頭に立つことも珍しくありません。ほとんどは現場のリーダーを中心としたスタッフの裁量に任されていますが、混雑時は事務所からの指示と現場での監督を織り交ぜることで現場を効率的に管理していきます。

単純に見えるこの無線連絡。しかしシネコンは単館に比較して上映回数がとても多いので無線連絡も実際は複雑に入り組みます。

たとえば10スクリーンのシネコンがあって1スクリーンで5回の上映があれば一日に全50回の上映がある計算になり、上記のような無線連絡が時間差で50回に渡って入り乱れるわけです。当然、業務連絡や問い合わせ、呼び出しなどのイレギュラーな通信も入ってくるので勤務に慣れないうちは次々と押し寄せるお客様や入れ替わる作品の動きについていけなくなると思います。

長々とやりとりをしていれば、重要な通信が遮断されてしまうこともあるので手短に用件を伝えることがポイントですね。また、上記例に見られるように言い手と聞き手が作品名を復唱するのは、勘違いや混乱を防ぐために行います。同時に複数の作品がスタートするときは聞き間違いを防ぐ点で重要な意味を持ちます。

常時イヤホンで無線通信を聞きながら接客を行うのは慣れないと難しいもの。
想像してみてください。
「本日はご来場いただきましてまことに…」とアナウンスをしている最中に無線で「7番スクリーンで携帯電話の落し物がありました。『HERO』16:20の回でau、色は白、メーカーは~」と飛び込んできたら!?もちろんアナウンスしながら無線も聞き取るようにするべきなのですが、これは結構難しいです。
コンセッションなら「ポップコーンセットのコーラとハーゲンダッツのバニラを2つ。ポップコーンはバターかけてトレーもください」とお客様からオーダーを取っているときに無線
「コンセの方へ、2番と5番のレジは金額を確認してクローズしてください。あと倉庫にパンが10ケース届いているので5階の冷蔵庫に入れて納品書を事務所に持ってきてください」などときたら…?お客様にオーダーを聞き返すわけにもいきませんから、このときは接客優先が望ましいです。慣れてくると両方同時に聞き取れるようになります。

接客をしながら無線機を自由自在に使いこなすのは最初は難しいですが、慣れれば心強いパートナーになり、いつしか無線機を持たずに現場に入ると不安を覚えるようになります。無線機を常時持っているフロアスタッフがコンセッションに異動した際は無線機を持たないことに違和感を感じることがあるようです。

時間が来れば入場が開始されて、定刻に上映がスタートする。終了すればスタッフが出口でごみを回収…。映画館で当たり前のように行われている作業のその裏には、セクション同士の緊密な連係プレーが存在しているのです。

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2007年9月12日 (水)

File.98 WMC × JAL

今回は当サイト開設以来初の、横文字による表題です。

シネコンのワーナー・マイカル・シネマズ(以下、WMC)と、航空会社の日本航空(日本航空インターナショナル)マイレージプログラムでの提携を2007年9月3日より開始しました。共に業界最大手のタッグとして注目を集めそうです。

日本航空ホームページ上での案内


今回の記事は日本航空(以下、JAL)のマイレージプログラムである「JALマイレージバンク」会員および日本航空資本のクレジットカードJALカード会員がWMCを利用する際の相互メリットに関する内容である関係上、非会員の方には意味不明な点も多々あると思われることをご了承ください。
WMCで映画を見ること・航空機利用が多い方はぜひ参考にしてみてください。


☆概要

まずJALマイレージバンク(以下、JMB)について。
JMBはJALの航空機(注1)を利用することで飛行距離に応じてフライトマイル(ポイント)を積算し、各種の特典に交換することができるサービスプログラムです。搭乗してマイルを積算するほかに、パートナーシップを結んでいる企業を利用して積算することも可能になっており、入会金・年会費は無料なので気軽に参加できます。
WMCはJMBのeマイルパートナー提携となり、これによりWMCのインターネットチケット購入サービスワーナー・マイカルe席リザーブの利用でマイルが積算できるようになりました。つまりWMCとJALを利用している方は、WMCで映画を楽しみつつマイルも貯められる一石二鳥の環境が整ったと言えます。


「ワーナー・マイカルe席リザーブ」(以下、e席リザーブ)について。
映画館で並ばずにチケットが買える!毎週水曜日から翌週金曜日までの間で、随時任意の日時・作品の座席指定席券をインターネットまたは携帯電話でオンライン予約・決済が行えるサービスです。WMCの全国56サイト・453スクリーン全てで利用可能。購入可能な券種は一般、学生(大高)、小中学生、幼児、シニア、BIG3スペシャル(レディスデイ、ファーストデイ、レイトショー)、夫婦50割引。(注2)
事前購入サービスなので繁忙期でもチケット売場に並ぶ必要がなく、人気作品の指定席をあらかじめ確保できるなどのメリットがあります。支払方法はクレジットカード決済のみに対応しています。


e席リザーブの支払いがクレジットカード決済という点は、JALカード会員にはさらにメリットが生まれることを意味します。
JMB会員がe席リザーブ100円利用=1マイルの積算なのに対して、JALカード会員はこれに加えてショッピングマイル200円=1マイルが積算となり(JALカードショッピングマイル・プレミアム会員は100円=1マイル換算)
(注3)1.5倍~2倍のマイルをWMC利用によって貯められます。

利用方法はカンタン。JALホームページ内の専用ログインページからアクセスして、予約・決済を行えば自動的にマイルが積算されます。ログインせずに決済をしてもマイルは積算されないので要注意。


☆利用例

具体的な利用例を挙げてみましょう。

(例)e席リザーブ利用で一般料金2名の予約・決済を行ったときのマイル積算数

・映画鑑賞一般料金
 1,800円×2=3,600円
・e席リザーブ手数料
 100円×2=200円
(注4)
・合計金額 3,800円

マイル換算率
・JMB会員
 eマイルパートナーマイル100円=1マイル
・JALカード会員
 eマイルパートナーマイルに加えてJALカードショッピングマイル200 円=1マイル
・JALカードショッピングマイル・プレミアム会員
 eマイルパートナーマイルに加えてJALカードショッピングマイル100 円=1マイル

この例を表にまとめたのが下記です。

積算マイル数一覧
会員種別積算マイル数
JMB会員 38マイル
JALカード会員 57マイル
JALカードショッピングマイル・プレミアム会員 76マイル

さすがに映画鑑賞料金程度の金額では搭乗で積算されるフライトマイルに比較するとマイル数は少ないものの、映画館で映画を見る頻度が高い方にはなかなかの朗報だと思います。好きな映画を楽しみつつマイレージも貯められるとなれば、映画好きでかつJALのユーザーにとっては魅力的な提携と言えるでしょう。


☆提携カード

他の有効的な利用例としてはP-oneカードがあります。WMCチケット売場でのカード利用または提示で、一般料金が300円割引になるサービスでWMC利用者にはおなじみのクレジットカードです。
このP-oneカードのポイントプログラム「ポケット・ポイント」をマイルCLUBに加入することでJMBに移行可能です。1000円=1ポイント=2.5マイルなのでJALカード利用に比べると換算率が低いのが難点ですが、
毎月7日はポイント10倍になるので100円=2.5マイルと大幅に換算率がUPします(注5)

実はP-oneカードはJALのマイレージをショッピング利用で貯めている方には人気のあるカード。ポケット・ポイントのマイル移行手数料が無料な点や、JMB・JALカード会員が新規にP-oneカード会員になってマイルCLUBに入会すると600マイルのボーナスが獲得できることも人気の一因と思われます。ショッピング時の決済金額から1%割引が行われるシステムも魅力ですね。なおe席リザーブ利用時は300円割引サービスは適用されません。窓口購入時にのみ適用されています。

JALカードを使って効率的にマイルを貯めるか、P-oneカードの7日10倍を狙うか。はたまたJMB会員カードとP-oneカードを組み合わせて使う…? JALマイレージユーザーには選択の楽しみが一つ増えたとも言えそうです。そういえば今年2007年11月7日(P-oneカードポイント10倍)は水曜日、レディースデーですね(注6)


☆JMBの特典交換

ついでにJMBの特典についてもお話しましょう。JMBでは累積マイル数に応じて様々な特典が用意されています。人気があるのが国内・国際線特典航空券(往復)や国際線アップグレード特典です。

一例としては国内特典航空券/ソウル・プサン便の国際線特典航空券の交換に必要なマイル数は15,000マイル。e席リザーブ利用のみで入手しようと思うとかなりの根気と経済力が必要ですね。JALカードショッピングマイル・プレミアム会員がWMCの利用料金だけでこれを得るには、一般鑑賞料金換算で395回(750,500円)の鑑賞が必要になる計算です!(注7)
まあマイレージプログラムの会員の方は搭乗やショッピングなど様々なチャンスを利用してコツコツ貯めているはずですから、その一環として利用するように考えるのが現実的でしょう。


選択肢はいろいろ。カードもいろいろ。

余談ですがTOHOシネマズの「シネマイレージ」プログラムと、JALマイレージバンクおよびワーナー・マイカル・シネマズは無関係です。TOHOシネマズの原型であるヴァージン・シネマズが間接的にWMCを起源にスタートしている点、航空会社との関わりを持つことなどは偶然ですが共通項を持っています。
また(株)JALカードが自社株式一部売却の方針を出しているなかで、クレディセゾンが取得に意欲を示していると見られる点もおもしろいところ。TOHOシネマズシネマイレージカード(クレジット機能付)の発行元は、ほかでもないクレディセゾンなのです。このJALカード株式争奪戦は航空業界と金融業界のみならず、映画業界も巻き込む一件になるかも…!?

WMCは全国にチェーンを展開して2007年9月現在56ヶ所で営業しています。お近くのWMCで映画を見て貯めたマイルで海外旅行なんて、なかなか素敵なことではないでしょうか。
そういえば空港に近い立地のWMCもチラホラありますね。双璧はなんと言ってもWMCりんくう泉南(大阪府泉南市)とWMC福岡ルクル(福岡県糟屋郡糟屋町)。WMCりんくう泉南にいたってはロビーのシンボル壁画に航空機や関空周辺施設が描かれているほどの至近に位置し、入居施設のイオンショッピングセンターからは空港島を見通すことができます。


こんなに近くて良いのでしょうか?と思うくらい空港の近所です

ご覧のように共に関西国際空港と福岡空港の至近に位置しているので、貯めたマイルで即・海外旅行!なんてことも夢ではないですね。WMCとJALの提携は、映画と旅のコラボレーションとして新たな楽しみ方を届けてくれそうです。


注1)JALグループ(JTA、JEX、JAC、HAC、RAC)および「oneworld」加盟アライアンスメンバーのエアラインも対象。運賃種別や搭乗クラスによって積算マイル数は変動。チャーター便や貨物便、運賃種別(添乗員運賃や特典航空券等)によっては積算対象外も有り
(注2)前売券・招待券の利用、割引券との併用は不可
(注3)JALカードショッピングマイル・プレミアムは年会費2,100円(JALダイナースクラブカードとCLUB-Aゴールド会員は年会費無料)
(注4)1枚につき100円。チケット枚数2枚以上は200円が上限
(注5)以上は通常カード換算。上位カードは多少異なります。毎月7日ポイント10倍特典は2009年2月まで実施
(注6)WMC上峰のレディースデーは月曜日
(注7)ちなみにフライトマイルを積算せず、通常のショッピングのみ(eマイルパートナーや特約店も不使用)なら1,500,000円が必要…

※本記事内容は当サイト調べによるものです。情報内容は(株)日本航空、(株)日本航空インターナショナル、(株)ジャルカード、ポケットカード(株)、(株)ワーナー・マイカルとは関係なくまた事実確認を得たものではありません。当情報内容に関しては正確を期するよう努めておりますがその正確性を保証するものではありません。本記事を参考利用して発生した不利益、損害、費用、トラブル、被害、ダメージ、誤認等は、直接・間接を問わず当サイトでは一切の責任を負いかねます。これらの点を了承のうえでの有効活用をお願い申し上げます。

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2007年8月31日 (金)

File.97 気温と動員数

残暑お見舞い申し上げます。

2007年夏の日本列島は記録的な猛暑となりました。9月目前の今でも夏バテで参っている方が多いのではと推測します。本当に暑~い夏でしたね。
8月16日に岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で記録された摂氏40.9度は、1933年に山形市で観測された最高気温を更新する強烈なものになりました。気温40度の環境なんて簡単には想像がつきません…。正確な記録を残す世界最高気温は1921年にイラクのバスラで観測された58.8度!上には上があるものだと感心させられます。

書いているだけで暑くなってきたので記録のお話しはこのあたりで止めて、今日は気温と映画館の観客動員の関係についてお話いたします。
まず、映画館に映画を観に来たお客様の数を観客動員数と言います。観客動員数は作品の人気を端的に語る数値として重要で、劇場の稼動率にも影響します。興行成績で最終的に重視されるのは興行収入ですが、たいていは動員数と比例するようになっています。

観客動員数は様々な要因によって増減します。今回は作品の人気や映画館の立地などの要素は除外して、天気と気温に注目してみましょう。

猛暑の今夏は全国の映画館で例年よりも軒並み動員数が増えました。その理由は冒頭にも挙げた暑さにあります。連日30度を軽くオーバーする暑さが続くと、少しでも涼を求めてしまうのが人情。涼しくて、時間を潰せて、家族揃って出かけられる身近なところといえば…、映画館はぴったりなのです。夏休み期間は『ポケットモンスター』や『ハリー・ポッター』など親子で楽しめる話題作にも恵まれているので相乗効果となりました。

暑い日は観客動員数に比例してコンセッション(売店)の売上げも飛躍的に増加し、冷たいドリンクやアイスクリームに人気が集中します。涼しい映画館で冷たいドリンクを飲みながら、暑さを忘れて映画を楽しんだ方も多いのではないでしょうか。
通常の営業には充分対応できるだけの製氷機がコンセッションには装備されていますが、猛暑の繁忙期はドリンクのオーダー数が製氷機の能力を超えてしまうこともあります。このようなときは緊急手段としてロックアイスを別注手配して、これをアイスピックで砕いて提供するなどの工夫をします。このときは氷のコストが高額になるので嬉しい悲鳴と本当の悲鳴の両方が上がります(笑)。

このように映画館は屋内施設でありながら意外にも天候に左右されやすい場所なのです。傾向としては映画館は雨の日より晴天の日のほうが動員数は増えます。朝から雨天であれば、「家でゆっくりしたい」という心理が働くからです。
晴天から天気が崩れて雨になったり、急な夕立となると行き場をなくした人々が雨宿りがてらに来場して混雑します。これは自動車がアクセス手段の郊外型シネコンよりも、公共交通機関を利用する都市部の映画館で顕著に見られる傾向です。映画を見ながら雨が止むのを待つというわけです。

夏の暑さが激しい日に比べると、冬の厳寒の日には動員数はあまり伸びません。暖かい部屋から外に出たくないという心理でしょうか!?それでも年末年始はテレビ番組に飽きた人が映画館に繰り出してくるので寒くても混雑します。やはりお正月と映画は定番の組み合わせなのですね。
台風が接近すれば映画館では閑古鳥が鳴きます。来場者数が少なくて利益が見込めないばかりか映写機器や出勤する従業員の安全をも脅かすために、臨時休館に追い込まれることもあります。
台風が近づいているときに映画をご覧になる際は、事前に映画館に営業状況を確認したほうが良いですね。

駆け足になりましたが映画館の動員は気温や天候と密接に関係していることがお分かりいただけたでしょうか。このことを知っていれば天候から混雑状況を予測して混雑を回避することも可能になります。快晴の土日や1日(ファーストデー)などは混雑、雨の日の日曜夜(翌日が平日で雨天)は空いているなど、予測を駆使して鑑賞日を選ばれている方もいらっしゃるようです。
今夏の教訓は、夏休み期間中の暑い真夏日は映画館がとても混雑するのでゆったり鑑賞するのなら避けるのが無難、ということですね。海、山、川、そして映画。まだ暑い日は続くかと思いますが、皆様にとって思いで多き夏になりますように。

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2007年8月16日 (木)

File.96 はじめての映写

映画館の仕事でいちばん地味な仕事の映写。今日は映写のお仕事について触れようと思います。

映写の基本的な仕事は映画上映機器の操作や上映準備をして映画を上映することです。設備機器の自動化が進んだおかげで現代は誰でも比較的容易に上映操作が行えるようになりました。

自動化が進んだとは言っても上映業務をコントロールするために人間の存在は不可欠です。上映機器の機能が高度化するのに伴って、映写作業の多くを機械に任せられるようになったとはいえ、細かな操作や準備作業は今も人間の手作業が生きています。

ベテランと呼ばれる映写技師にも入門者の頃がありました。皆、上司や先輩の指導を受けて経験を積み、一人前の映写技師へと成長していきます。映画『ニュー・シネマ・パラダイス』では主人公トトが映写の仕事を覚えていく場面があり、映写畑の者には感慨深いですね。
はじめて映写の仕事に就く方の多くが映写機の操作は未経験。懐かしい8mm映写機の経験がある方は大勢いらっしゃると思いますが、35mm映写機はほとんどの方がはじめてですね。多くの人が同じスタートラインから仕事を覚えます。

ビデオデッキやDVDプレーヤーと違い、フィルム映写機は扱いの習熟に時間を要すため映画館は映写研修要領に沿って新人研修を実施して一人前へと指導していきます。研修要領の内容は各映画館によって様々ですが、いずれも最終的な目標は“安全確実に高品質な映写業務を遂行できる”ことにあります。

・研修内容について

研修の際は最初に映写室と劇場内を見学してもらいます。映写室は一般に公開されることは稀ですから、映写を志望して入社した人ならば感動と興奮の連続かもしれないですね。シネコンでは広い映写室に映写機器がずらっと並んでいて壮観です。映写機と同様に映写室も近代化が進んだので『ニュー・シネマ・パラダイス』のような昔の味のある映写室はシネコンにはありませんが、室内が薄暗い他はいたって快適な環境が整備されています。

次に基本的な映写研修内容のガイドラインをご説明します。

映写研修は運転免許教習に似ていて、いわゆる「実技」「学科」の組み合わせで構成されています。
実技は映写機の取り扱いや音響機器の操作、トラブル対応などの身体で覚えていく内容が中心。学科は上映の仕組みや理論、サウンドシステムや機械知識など机上で覚える事柄となっており、研修の進め方は指導者によって個性や違いがあるのがおもしろいところです。なかにはロクに研修をせずに実務を任せてしまう映画館もあるらしいですが、作業内容に不安が残りますね。

・実技

映写機が自動化されているとは言っても、研修をせずに誰でもすぐ扱えるほど単純な構造ではありません。


映写機ってこんなふうになってるんです

画像の映写機は、フィルムのセット手順が比較的単純なモデルです。単純とは言ってもはじめて見る方には構造や機構はよく分からないと思います。映画を上映するには多数ある歯車やローラーの順序や方向を間違えないようにフィルムをセッティングしなくてはなりません。間違えると事故の原因になってしまいます。

映写機へのフィルムのセットは最重要項目。映写の基本なので繰り返し練習を行います。最初のうちはフィルムの経路が覚えられずにとても時間がかかってしまったり、誤ったセットを行ってしまうこともよくあります。
研修中に間違えることはとても良いことで、同じミスを繰り返さないためのステップアップにつながります。反復して練習をしているうちに身体が自然にセッティングを覚え、スムーズに作業が行えるようになり、同時に手順や作法に個人の多少の癖や個性が出てきます。

映写機のフィルムセットをマスターしたらオートメーション(映写機、音響システム、劇場内設備等の動作管理をするコンピュータ)の扱い方を学び、上映の開始から終了までの一連の流れをコントロールする方法を学びます。手動操作がメインだった昔は実技で覚えることが多かったのに対して、自動化された現在の映写機ではコンピュータの操作が多少なりとも求められます。

・学科

実技と平行して学科も学びます。覚えることや専門用語が多いので興味がない人には少し酷かもしれませんが映写に興味のある人は知識の吸収が速いように感じられます。興味のない人には関心を持ってもらうように工夫して研修を進めるのは指導者にとって大切な仕事ですね。仕事に対する興味を持ち合わせていないスタッフによる映写の運用はリスクを伴い品質管理面等で不安材料となるのです。

学科は実技をサポートする理論武装がメイン。その中心となるのは映写技師としての心構えや責任の重要性などのマインド面の教授と、映写機の機構や全体システムの構成把握、上映作業の順序やサウンドシステムおよびフォーマット等の実技に付随する知識の習得です。

お客様から映写の質問を受けたときに回答できるだけの知識は研修中にマスターしておくことが望ましいといえます。たとえばサウンドフォーマットの種類、スクリーンのサイズと客席からの視野、客席数などは日常的に問い合わせがある事柄なので映写以外のセクションも簡単な研修で学ぶことが多いです。詳しいお客様でない限りはこれ以上の難解な質問はないので基本的な知識だけで最初は充分です。覚えることが多い研修期間は、全てをマスターしようとするのではなく、習得内容を厳選して覚えていくことが上達への近道だと思います。

・実務

そしていよいよ実務デビューの日。
映写機の点検とセッティングを済ませて入場開始のシグナルをフロアスタッフに送ればお客様が続々と入場してきます。緊張のあまり心臓はバクバク…心拍数が極端に上がります。
上映時間直前に最後の点検を済ませるといよいよ上映スタートで緊張の一瞬!ファーストカットが銀幕に映写された瞬間の達成感は言葉では言い表せないものがあります。上映が無事に終了すると大変な疲労感はありますが同時に心地よい満足感で充足され、長い研修の疲れも吹き飛ぶことでしょう。

苦労してセットした映写機ではじめてスクリーンに映像が映し出されたときに「感動した」という話をよく耳にします。フィルムに焼き付けられている1コマ1コマの連続画像が映写機を使うことによって映画としてスクリーンに生命を吹き込む、その不思議な感覚を味わうのは映写ならではの醍醐味のひとつです。

映写の仕事を続けていくうちにこのような「はじめての映写」で味わった緊張感と達成感は慣れによって薄れていき、ベテランへと成長します。映写に携わる者はいつも緊張感を持って仕事をしたいものだと常々思います。そのほうが完成度の高い仕事になると考えています。


いかがでしたか?映写の仕事は覚えることが大変多く、慣れるまでは辛いこともあるかもしれませんが、興味のある方はぜひ映画館の求人募集に応募していただきたいですね。現在の映写の仕事は基本的に誰でもできるように簡略化されているので、研修を受ければすぐに上映業務は行えるようになります。

ただし、研修からの一人立ちはスタートラインに過ぎません。そこから“高みに上る=付加価値の高い映写”をお客様に提供できるかどうかはその後の個人の貪欲さと熱意にかかっています。映写の良し悪しが分かるお客様が増えて、映像・音響共に優れた映画館が意図的にチョイスされるのも珍しくなくなったことは、映写のレベルが映画館全体の評価に直結する時代になったことを意味しています。

高品質な映写による映像と音響は映画に生命を吹き込む重要な要素で映写技師としての大切な仕事。はっきり言って大変で、緊張する仕事だと思います。お客様に対して自負のある映写を行うには相応の緊張感が必要ですが、この繰り返しによって成熟した品質を誇る映画館が生まれてくるのではないかと思います。
我こそは!という方はぜひ映写の仕事に興味を持ってください。映写の仕事に必要なのはその熱意と興味なのですから。

制作者から映画を預かってお客様にお届けする。映写の仕事は映画の画竜点睛をつかどる夢のあるものだと個人的に感じています。映写が情熱と誇りを持って仕事に徹することで映画は完成し、日の目を見るのです。この責任ある仕事に力を注げる人こそ、“映画館の心臓・映写”に必要な人材と言えるのではないでしょうか。

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2007年7月11日 (水)

File.95 箱の静的雰囲気

突然ですが英語で映画館を何というかご存知ですか?
「映画館」を一般的な英単語に訳するとMovie theater(theatre)Cinema、シネマコンプレックス(シネコン)はMultiplex Cinemaになります。劇場部分の設備構造はBoxで日本語に直すと「箱」となります。このように
映画館全体をCinema、劇場部分を設備や品質管理の見地からはBoxと呼ぶのです。

箱は映画館の劇場施設部分を限定して呼称する言葉です。7スクリーンを有するシネコンには7つの箱があることになります。一般的に日本で箱と言うのは映写関係者や映画館の設備に詳しい方が使用する独特の言い回しとなっています。
たとえば映像品質の高い映画館の話題なら「あの箱は映像が良いね」となります。箱の部分を映画館と置き換えればなるほど、意味は分かりますね。箱は映像や音響の性能を含め劇場部分に限定した範囲を表します。

今回の「箱の静的雰囲気」という表題は意味不明だという方がほとんどだと思います。これまでの記事と比較してマニアック度が高い内容となりますが、お付き合いいただければ幸いです。

本題に入る前に、劇場構造の変遷について簡単にお話しましょう。

箱=劇場構造はこの20年の間に大きく様変わりしました。特に映画の音響技術が大きく進歩して立体音響となり、アナログ録音からデジタル録音に…。その進化に対応するため、映画館は技術革新を進めて音響方式に対応できる性能を備える箱を開発していきました。

時系列で大まかに分類すると、1990年頃までの箱は場内残響を多めに残した設計が基本です(以下、旧式)。1990年代中期は進化過渡期にあたり、旧式と現在の箱の折衷的な設計が多く見受けられます。1990年代後半から現在は成熟した箱がスタンダードになりました(以下、新式)。新式の多くはTHXという劇場品質規格をベースにして、場内残響を控えた響きの少ない音響空間の構築が基本となっています。

このように基本的な傾向として設計が古い映画館は音の残響時間が長く、新しい映画館ほど短くなっています(一部例外も有)。現在のデジタル多チャンネルの音響方式はアナログ方式よりも格段に細やかなサウンドデザインが可能になったため、残響時間が長いと残響音が再生音を相殺してしまい、効果的な音響効果が生まれにくくなります。そのため現在の音響方式に対応するためには場内の残響時間を比較的短く設計し、音声がダイレクトに客席に伝わる造りにする必要があったのです。
旧式の構造は場内残響を多く取って箱全体に反射音と残響音を回すことにより、擬似的なサラウンド効果が発生したり臨場感を高めるなどのメリットがありました。旧式の箱でも設計と調整次第でデジタル音響を効果的に鳴らすことは充分可能です。

この違いは旧式と新式の箱における、場内の聴感特性の変化として表れます。通常は残響時間が長い箱のほうがどちらかといえば自然な聴感が得られるのに対し、新式の箱では耳が詰まったような感覚になります(参照 File.60 場内音楽)
理由は旧式の箱では吸音設備(音を吸収・無反射化する設備)をほとんど有していないのでお風呂場のように音の反響が生じる(実生活空間に近い特性)のに対し、新式は徹底した吸音を行って余計な残響音を排除しているため日常の音響特性とは異なり、音の響きの少ない空間になっているからです。

上映やBGMの再生がされていない無音状態の箱の場内聴感を、私は「静的雰囲気」と勝手に呼んでいます。旧式と新式の箱で雰囲気が異なるのは意識をすれば多くの方にも感じていただけると思いますが、残響時間を抑えた新式の箱同士でも設計や施工によって様々な違いを感じ取ることが出来ます。言うなれば箱の個性が存在すると言って良いでしょう。

以下に具体例をいくつか挙げてみようと思います※注(独断と偏見による感じ方の私見を記したのみです。箱の優劣や良し悪し、性能差を意味するものではありません。)

シネプレックスが誇る独自の劇場規格「HDCS」の箱は独特な静的雰囲気が存在しています。重厚な構造と高い吸音設備が生み出す場内の重たい雰囲気と閉塞感に個性を感じます。HDCSのダイナミックで迫力ある音響効果は、この静的特性によって実現している部分も多分にあると思います。

MOVIXのオリジナル劇場規格の箱は、いずれのサイトの箱に入ってもほぼ同様な静的雰囲気があります。劇場設計規格としてバラツキのない完成度の高さ、優れた施工と品質管理基準の表れでしょう。HDCSのような重たい雰囲気はありませんが、密な吸音が施されているので耳が詰まったような感覚は強く感じられます。

ユナイテッド・シネマの静的雰囲気はMOVIXに似ています。ただ、MOVIXに比べるとニュートラルと言うか多少自然な聴感があり、充分な吸音がなされているにも関わらず聴感上の違和感が少ない場内になっています。聴感の不快感が少なく、意外に居心地が良い印象を受けます。

特徴的なのが立川市のCINEMA・TWO。場内に入った途端に感じられるおよそ映画館らしくない聴感特性は他ではお目にかかったことがありません。旧式新式いずれとも違うオリジナルの音響特性がありますね。無理に例えるならライブ感(残響)あるライブハウス(SHIBUYA-AXなど)に少し似ているのですが、うまく言葉では表現できません。これは日常空間、映画館どちらにも感じられないもので、HDCSと並んで強烈な静的雰囲気を持つ箱のひとつです。
姉妹館であるシネマシティCITY1は新旧折衷の雰囲気をよく残し、シネコンでありながら旧式の面影を残す静的雰囲気を感じます。

TOHOシネマズの「Basis」箱は従来の同系列館の箱と比べて、高音域の通りがスムーズな印象を受けます。吸音処理で生じる沈みがちな場内雰囲気から少し距離を置いた、優しい居心地を感じられる静的雰囲気があるように思います。比較的、重たさを感じにくい場内空間になっています。落ち着いた赤系の内装材による視覚的効果もあるかもしれません。

以上は完全に個人的な感想に過ぎませんが、箱によって様々な個性や表情があることが伝われば幸いに思います。

映画館の構造は基本セオリーがあり、構造はどこも似ているものです。しかし実際には箱ごとの個性は確実に存在しており、それが再生音響の個性に影響しているのは間違いありません。
静的雰囲気の違いは様々なファクターが重なり合って生まれるのでここでの詳述は省きますが、
同じ箱でも座席の配列やメーカーを変えるだけで変化が生じるほど場内の音響特性は微妙なバランスで成り立っています。当然ながら映画館の運営会社ごとに技術ノウハウやテクニックが存在しているので、このさじ加減でも静的雰囲気は変化をみせます。

「そんなのどこも一緒だろ!」とお思いのあなた、今度映画館に出かけられる際はよーく耳を澄ましてみて下さい。そして違う会社の映画館にも行ってみてください。もしかしたら何か違いが感じられるかもしれないですよ。それは深遠なる映画館マニアへの第一歩かもしれません!

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2007年7月 1日 (日)

File.94 事故報告書

本日は映写スタッフにとって怖い対象、映写事故報告書についてご紹介します。

映写係のお仕事とは、お客様に対し快適で高品質な映画鑑賞環境を提供すること。そのために映写係は普段から劇場機材をメンテナンスして設備維持を行い、非常時のための対応シミュレーションで緊急事態に備えるなどの対策をとっています。こうした日々のメンテナンス、訓練の積み重ねが高品質・安全な映写業務の根幹となるのです。

映写事故は発生しないほうが良いと誰もが願っています。しかし予期せぬ映写機材トラブルや天変地異、緊急警報の鳴動、電力供給の寸断など不可避のアクシデントに見舞われることも実は珍しくありません。通常お客様が映写事故に遭遇する確率は非常に低いですが、映写係を務めていると1度や2度はこのような人的ミスに因らない映写事故を経験するものです(なぜかトラブルが多い劇場もありますけど)。
人的ミスは事故原因がその場で判明するので対応・復旧策をすぐに取れるのですが、突然の機械トラブルや天変地異などは原因の特定・復旧に時間がかかることが多いようです。

天変地異、いたずらによる非常警報鳴動等映画館に非がない原因による映写事故でもお客様にとってそれは関知することではなく、正常な映写が行えなかった時点でサービス提供に瑕疵があるので、原因はどうあれど映写担当には胸の痛む状況です。
このような不可避原因のトラブルでも説明すればご理解いただけるほど世の中甘くはありません…。映画館として映画をきちんと提供できなかった点は事実なので丁重に謝罪するしかありません。スタッフにとってはやり切れない思いでいっぱいとなります。

映写事故の定義については担当者によって見解が異なり決まっていません。確実に映写事故の範疇に入るのは映像や音響の明らかな不具合、上映開始時間の極端な遅延や一時中断と中止、本編中の窓違い(こまずれ)その他上映に支障のある不具合や状況が発生したときが該当します。その他の内容については現場で判断しているようです。

映写事故が発生したら理由の如何に関わらず映写事故報告書を作成するのが通例。いつ事故が発生し、どのような対応を行ったかを記録しておけば以後の運営の資料となり、後進の指導にも役立ちます。事故内容を精査すれば再発生を抑止することも可能です。

事故報告書の記入で重要なことは、映写スタッフが読んで事故当時の状況と時間経過、それによって発生した損失と対応方法を理解できるようにすること。事故発生直後に書くと気が動転していて正確な記述ができないことも考えられるので、気持ちが落ち着いてから作成したほうが良いでしょう。映写事故が発生すると映写係に相当な心身圧迫が生じるために記憶や時間感覚が曖昧になりがちなのです。

記述の基本は6W1Hです。
When(いつ)
事故発生時間と発生状況
Who(だれが)
事故発生時の人員配置と映写担当者
Where(どこで)
事故発生スクリーンナンバーと、機材・事故概要
What(なにを)
事故発生による影響
How(どのように)
対処と復旧方法
Why(なぜ)
事故原因
Whom(だれに)
今後のスタッフへの周知と今後の対応方針

小論文のTipsみたいになってきました(笑)。映写事故対応の間、お客様は状況が分からず困惑していることが多いので、映写係は迅速に処理することが大切です。そしてその時間経過を漏れなく記録しておけば対応の段取りも後々まで分かるので都合が良いです。また報告書とは別にレポートを作成して補足記述を行うこともあります。

時間経過が分かり対応の内容を事細かに記述していくのが基本となりますが、事故の渦中は復旧作業に専念して状況の記憶が曖昧になることもあります。そのため出来るだけ事故の際は映写室に複数の人員(他スクリーンの上映に必要な人員を除いて)を配置して状況記録を取っていくと事故報告書が作成しやすくなります。

映写事故報告書例
※この報告書はあくまで例です。劇場名、作品名、号数、内容等すべて架空のものです。記述内容も乱雑ですので参考例としてご覧ください。

複数のサイトを保有する映画館では事故の発生報告と事後事故報告書を本社に提出し、サイトの安全管理の指導資料に活用しています。そして系列サイトに事故報告書を配布して情報の共有を行い、今後の運営の参考として利用するなど映写教育用途に使用されています。
他サイトの事故は対岸の火事ではなく、明日はわが身として受け止めなければいけません。直後に同様の人的事故を起こしてしまうと情報共有の意味がありませんからね。

オープン直後のサイトだと不名誉にも事故報告書が量産されることもあるようです。最初は映写係も慣れていないので、経験があれば未然に防げたはずの事故が起こることもあって責任者の苦労が絶えない例もしばしば見受けられます。

停電や自然災害的要因など突発的な原因による映写事故を撲滅することはできません。事故から学び、活かすことで対応をスムーズにすることはできるので、映写係は事故報告書の情報を共有し、自己の技術に取り込むことで精進を続けながら業務を行っています。もし鑑賞中に映写事故に遭遇してもどうか暖かい目で見てあげてください。焦らすとさらにドツボにはまって事態が悪化することもよくありますので…。

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2007年6月23日 (土)

File.93 人海戦術

2007年公開映画の中盤戦は『スパイダーマン3』(興収65億円)と『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』(興収74億円)が大ヒットを記録して、各地の映画館は嬉しい悲鳴を上げました。日本全国の映画館関係者の皆様、おつかれさまでした。次は『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』や『トランスフォーマー』が待機していますよ!

今日は混雑時の映画館の対応をご紹介します。本題に入る前に興行収入についてお話をしましょう。
宣伝で「興行収入○億円突破!」というコピーを見ますが、いったい興行収入とは何なのでしょうか。興行収入の数字が大きいと、人気の高い作品だと想像はつきますが、観客にはあまり馴染みのない数字だと思います。

興行収入とは作品の売上成績を計る数字で、映画館で販売されたチケットの売上合計を表したもの。興行収入65億円の『スパイダーマン3』は全国の上映館で65億円分のチケットが販売されたことになります。
興行収入のチケット売上はそのまま映画館の収入にはならず、一定の歩合で配給会社に分配され配給会社の取り分が配給収入(配収)、残りが映画館の利益となります。この割合はだいたい50%から70%程度の間で決められることが多いですね。これにより映画館のチケット売上の半分以上が配給会社の収入になることが分かります。映画の売上げだけでは薄利なので映画館の収入は売店に頼るところが大きいと言えます
(参照 File.4 飲食業で成り立つ映画館File.45 定価1,800円

それでは本題に入りましょう。

興収が数十億円にもなる作品は、それだけ多数のお客様が映画館に来場されて映画をご覧になっているということです。興収は映画館の動員成績を端的に把握できる人気バロメーターなんですね。

動員成績が良ければ映画館は大忙し!押し寄せるお客様を前に、スタッフは東奔西走して業務をこなしていきます。猫の手も借りたいとはよく言ったもので、時には数千人に及ぶ来場者をわずかなスタッフで対応するには、各セクションの連携プレーと相互連絡が不可欠です。

シネコンでは各スタッフの持ち場が決められていて、各自が自分のセクションを責任を持って担当します(参照 File.72 セクション配置。しかし同じ時間帯に満席の作品が重なるとセクションの処理能力を上回ることもあり、こうなると運営のサイクルが崩れて混乱の元になってしまいます。
混雑に対応するには何よりも余裕ある人員の配置と、入退場がスムーズに行える作品上映スケジュールの作成が大前提で、人員は足りていてもスケジュールの組み方が不合理だと必ずサイクルが乱れます。上映スケジュールの作成は劇場運営のカギを握るポイントのため、様々な条件や環境を熟考のうえで決定されます。


ロビー外まで長蛇の列。ここまでくると熾烈になってきます

混雑時に運営サイクルが乱れると修正するのが難しいため、スムーズな流れを途絶えさせないようなセクション連携が必要です。お客様の流れはボックス→コンセ→劇場→トイレ→退場とパターンが決まっているので常に先を読んでお客様の動向を把握し、先手を打っていかなければ対処が出来なくなってしまいます。

持ち場のセクションが落ち着いたら、違うセクションの補助に向かうことも大切です。最も人手を要するのは上映終了後の場内清掃。これはフロアスタッフの仕事なのですが、複数作品の上映時間/終了時間が重なるとフロアスタッフが出払ってしまうため他のセクションから応援に向かいます。
同様に売店の制服を着たスタッフがチケットを販売していたり、その逆の光景も珍しいことではありません。他セクションの補助に入るスタッフの多くは経験の豊富なベテランです。チケットの販売などは未経験者がすぐに出来るものではないため、経験者が応援に向かう必要があるのです。この応援のことをシネコン用語でヘルプとかバック、ショートハンドなどと言います。

場内清掃は他セクションの応援も交えて人海戦術をもって対応しますが満席状態ともなれば場内の散らかり具合も派手になり、清掃には相応の時間を要します。お客様に楽しく快適に映画をご覧いただくことが映画館スタッフの願いですが、時に想像を超えるような荒れ具合を呈していることもあってそのたびに悲しくなります。ゴミはゴミ箱に。公共の映画館を多くの方に気持ちよく利用していただくためにも最低限のマナーは守っていただきたく思います。清掃時間を要すればそれだけ開場時間も遅れます。
場内清掃が終わる頃には次回のお客様が入口前に集まってきています。入場アナウンスと共に補助スタッフは再び持ち場に戻り、自分の仕事に専念します。

興収成績の良い作品の陰には多くのスタッフの努力があり、映画を楽しみにして来場されるお客様がいます。混雑した映画館はお客様にもスタッフにも大変なひと時となりますが混雑時にこそスムーズにお客様をご案内できるように日々準備をしておきたいものです。
夏休みも『ハリー・ポッター』など話題作があり大混雑が予想されます。「夏休みは混んでいるからイヤ!」なんて言わずに皆様、映画館でお会いしましょう!

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2007年6月13日 (水)

File.92 IMAXメモリアル 6

5回に分けてお送りしてきたIMAXシアターの閉館特集は今回で終了です。更新が長引いて長期連載となり申し訳ございませんでした。本日は閉館間際に訪れたIMAXシアターの所感を記して締めくくりたいと思います。


☆最高水準のクオリティ健在

久しぶりに訪れた品川と、最初で最後の訪問となった軽井沢は共に素晴らしい鑑賞環境を持つIMAXシアターでした。映像や音響はIMAXならではの高品質で、接客も好感がもてました。品川は劇場のフロント部分から入場する構造のおかげで、巨大なスクリーンが最初に視界に飛び込んでくるインパクトが効果的な演出として機能していたと思います。

☆サウンド

品川は音響が程よくまとまっていて、どちらかといえば派手な音響が特徴的だった新宿と比べると地味な印象を受けるものの、大スクリーンに負けないパワーのある音と大型映像館とは思えぬほどの肉声感あるダイアローグ再生は特筆できます。サラウンドスピーカーが2基でありながら、左右方向の空間表現も上手に再生しており性能の高さを窺わせました。

軽井沢はやや全体的に響きが大雑把でダイアローグ再生も品川には及びませんが、新宿を髣髴とさせる押しの強い低音域やパワフルなフロントの重量感は品川以上の感がありました。ステージ側のレフト付近に多少のビリツキがあったのはこのパワーが原因だったのかもしれません。またメインのみならずサラウンド側も量感に溢れていて、エキサイティングな映像音響体験ができる個性を感じました。IMAXシアターとして楽しめる音であったと思います。

☆映像

両館とも70mm/15パーフォレーション/IMAXフォーマットのポテンシャルを体感できる品質が提供され、HD撮影フォーマットや2K DLPや4K SXRD等の最新デジタル映写方式をはるかに上回る映像品質があり、フィルムの底力を感じることができました。
軽井沢で鑑賞した『ミステリーオブナイル』はナイル川の水面にある無数の波模様と水飛沫やオアシスに生える木々の葉っぱが破綻なく描き出されており、フィルムならではの立体感も相まって自分もその場にいるかのような臨場感満点の映像が展開。さらにナイル川流域の黄昏空の映像は、紅に染まった夕空を巨大なフィルムで受け止めた成果が現れており息をのむ美しさでした。この圧巻と言える描写力はラージフィルムフォーマットの独壇場ですね。

スクリーン上部の左右等に多少の周辺減光があるのは残念でしたが、大画面であることを考慮すれば実用上は問題のない光量であったと思います。シャープな像をスクリーンに結んでいたのでフォーカス精度の素晴らしさを最前列でも堪能できる映写です。

☆消えゆく大型映像上映館

もしも品川が閉館していなければ今頃『スパイダーマン3』や『300』をIMAXフォーマットで鑑賞できていたかもしれない…と思うと寂しいですね。いまさらではありますが、もっとPRをして広く認知してもらいたかったと悔やまれます。

思えば日本万国博覧会(大阪万博)でIMAXが日本にデビューしてから37年の歳月が流れました。この長い期間をもってしても、大型映像上映館が日本に浸透していないことは残念に思います。
2001年に東京IMAXシアターが閉館した際に抱いた懸念、それは新宿で成功できなければ、品川ではさらに厳しいのではないかということ…。

そして2007年。最新の設備を有していた軽井沢、品川をはじめその前にも穂高(長野県にはIMAXシアターが2サイトあった)や敦賀、会津若松などの数少ない大型映像館が姿を消していきました。衰退の一途をたどる日本とは対照的に、中国や韓国では大型映像館のオープンラッシュが続いています。
一部のファンや教育目的だけでなく、普通に映画を見に行く感覚でIMAXが楽しめるような環境を作るには積極的な宣伝をしていくしかないと思います。作品はワーナー・ブラザースを中心とするハリウッド娯楽大作のIMAX版がコンスタントに制作されていますから、宣伝と作品次第では集客力も上がったのではないでしょうか。なによりIMAXの精細で迫力ある映像で楽しめるのですから。それともIMAXはやはりマニアックな世界なのでしょうか…。

☆閉館後の跡地利用について

ファンには気になる閉館後の消息についてです。
軽井沢は完全に廃、半地下に立地していたIMAXシアターの部分には床が建設されて劇場の場所は埋められます。工事終了後の施設用途の詳細は現在検討中ですが、映画館としての存在ではなくなります。さようなら、メルシャン軽井沢IMAXシアター…。

品川は少し状況が異なります。なんと品川プリンスホテルで営業するシネコン品川プリンスシネマ(全10スクリーン、1,640席)の11番目のスクリーンとしてリニューアルオープンします。2001年に東京IMAXシアターが閉館して新たにテアトルタイムズスクエアになって再出発をしたのと同じですね。すでにIMAX映写機は撤去されているのでIMAX上映を行うことは叶いませんが、品川が今後も映画館として存続するのは嬉しいニュースだと思います。(追記:2007年12月21日にシアターZEROとしてリニューアルオープンいたしました)

今回の訪問でIMAXの凄さを改めて実感することができたと同時に、貴重なシアターが2館同時に閉鎖されてしまったことは残念です。大阪市周辺にご在住の方はぜひ一度、南港のIMAXシアターに足を運んでみてください。他にはない映像体験ができますよ。品川が35mm上映館で復活したら喜び勇んで出かけてみようと思います。


横川&軽井沢と言えばやっぱりコレ!

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2007年5月24日 (木)

File.91 IMAXメモリアル 5

IMAXシアターの閉館特集・軽井沢編の更新が遅くなり申し訳ございませんでした。
今回はメルシャン軽井沢IMAXシアター場内の様子をご紹介いたします。品川に劣らぬ堂々とした設計の箱でした。少しでもその様子が伝われば幸いです。




IMAXシアターメモリアル Vol.5
~メルシャン軽井沢IMAXシアター 3~





劇場ロビーは赤絨毯
高級感を漂わす赤絨毯に彩られた劇場ロビー。チケットカウンターは周辺施設のインフォメーション機能を兼ね備えています。カウンター後ろの壁裏が映写室、画像奥手に場内へ通じる扉が見えます。販売商品のスナック類に混じって、コダックのカラーフィルムが販売されているのが印象的でした。



やっぱり巨大スクリーンのIMAX!
場内に入った途端に視界に飛び込んでくる巨大な銀幕。いまはもう過去のものになりつつある70mm映画館を髣髴とさせるものがありますね。場内の広さは品川と同じくらいで、レイアウトも非常に似ています。
観光で来場したと思われる若い男性グループは「うわーでかいでかい!」と感嘆の声を上げていました。

前回記事で「この大きさの建物のなかに高さ16mの巨大なスクリーンを装備するIMAXシアターがあるようには見えません。」と記述しましたが、場内に入るとその理由が分かりました。実このシアターは地下約8mを掘り下げて建築されており客席部は地下部分に立地、劇場の上半分と天井部分が地上の建築部分にあたるのです。写真は客席最上段からの撮影で、この地点も地下です。軽井沢町が景観に配慮して建築高に制限を設けていることに関係しているのでしょうか。



急なスタジアムシートもIMAXらしさ満点
このアングルも品川IMAXシアターとそっくりです。画像を比較していただくとよくお分かりいただけると思います。品川と軽井沢は規模も構造も姉妹シアターと言ってもいいのではないでしょうか。
まだ新しい劇場なのに雨漏りしているのか、右側の非常口周りの床が大変濡れていました。劇場外に付随するポスターケースを設けた部屋にも雨漏りの跡がありました。




最前列中央部から映写室方向を望む
品川は映写窓が3ヶ所あったのに対し、軽井沢は2ヶ所です。左手の扉が入場口で右手が退場口になっています。


客席部の見渡し
軽井沢の座席番号は最後列が「A」から始まるのに対して、品川は最前列が「A」。席番のつけ方が逆になっています。
座席はスクリーンに対して湾曲した配置なので端の席でも見やすいように配慮されています。サラウンドスピーカーを見てみると、最前列付近をカバーするような角度で設置されているように見えます。通常の映画館の設置方法とは大きく異なるので興味深いですね。



場内を横方向から見たようす
劇場設計図で言う立面図に近いアングルで見てみましょう。巨大スクリーンでありながら映写機の設置位置を高くすることで、画面と映写機がほぼ正対しているのが分かります。映写品質に関わる部分をきちんと処理した良い設計です。
また、前方部の壁面が折れ構造になっています。客席側に広くなる構造はよくありますが、逆に狭くなるのはあまり例がないかもしれません。側壁面は吸音構造の違いがあるのか一部に段差が付いて色合いにも変化があります。サラウンドスピーカーの設置角度がスクリーン中央方向を向いているのがこの画像だとよく分かります。




映写窓
IMAXシアターの映写窓をじっくり見たことがある方は少ないと思います。通常映画館でも普段はお客様に見向きもされない地味な映画館設備です(笑)。
おそらく音漏れか振動対策なのでしょう、窓枠に吸音材が付けられています。映写機の動作音は意外に大きいので場内と映写室の間に遮音対策が必須とされ、多目的ホールで上映したりすると作動音が派手に場内に漏れたりします。IMAXシアターでもわずかな音漏れが確認できました。
左側の窓に見える黒い筒は映写ランプの排熱を促す排気口です。またこの給排気音が大きかったりします。




巨大なサラウンドスピーカー
映写窓に引き続いてこちらも地味な映写機材、サラウンドスピーカーです。サラウンドスピーカーとは主に環境音の再生を担当する機材で、前方スクリーン裏に設置されているメインスピーカー以外の再生音を鳴らしています。雑踏のざわめきや雨の音、場内左右に移動する音などはサラウンドスピーカーで実現されています。IMAX作品『DEEP SEA』で表現されている水中の雰囲気や、『ミステリー・オブ・ナイル』の怒涛の濁流音もサラウンドスピーカーが効果的に使用されることで臨場感を高めています。
それにしても大きいですね…。重量はいったいどのくらいあるのでしょうか。重厚感ある外観で格好良いです。




最終日間近なのにガラガラでした
これだけの立派なIMAXシアターが閉館して本当に残念です。遠方のために閉館前のこの1回しか訪れられなかったのが本当に悔やまれます。実際行ってみて感じたのは、大阪天保山や東京新宿・品川のIMAXシアターと比較しても遜色のない素晴らしい映画館だということです。惜しいですね…。
『ブルー・オアシス2 DEEP SEA』の上映期間延長が決まった天保山のサントリーIMAXシアターには是非とも国内最後の牙城として頑張ってほしいと思います。こちらも近いうちに訪れようと思っています。

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2007年5月 6日 (日)

File.90 IMAXメモリアル 4

IMAXシアター閉館特集の4回目です。今回はメルシャン軽井沢IMAXシアターの建物の様子をご紹介します。



IMAXシアターメモリアル Vol.4
~メルシャン軽井沢IMAXシアター 2~



フードコート付近からIMAXシアターを望む
軽井沢駅から線路沿いに徒歩2分の好立地で、IMAXシアターの手前にはフードコートがあり和洋中なんでもござれの品揃え。ショッピングもグルメも充実しています。外壁が茶色で統一されていて落ち着いた雰囲気です。




メルシャン軽井沢IMAXシアターの全景
フードコートと同じ色彩で統一されているので一見するとIMAXシアターとは気づきにくいかもしれません。




本当にIMAX?
建物を真横から見た様子なのですが、手前の人物と比較してみるとスケールに違和感が生じませんか? この大きさの建物のなかに高さ16mの巨大なスクリーンを装備するIMAXシアターがあるようには見えません。




スクリーンの形状と、客家円楼を連想させる湾曲
スクリーンの裏側に相当する部分は壁面がカーブしており形状にはIMAXシアターらしさを感じますが、やはりスクリーンの規模に反して小ぶりな印象を受けます。この違和感は場内に入ると解消されたのですが、IMAXシアターだから大きな建物が建っているのだろうと先入観を抱いていた当サイト管理人の単純な発想は見事に打ち破られました。

余談ですがこのアングルを見た瞬間、私は思わず客家土楼(はっかどろう)を思い浮かべてしまいました。客家土楼とは中華人民共和国の福建省と広東省の境界付近の山地を中心に見受けられる客家の巨大集合住宅のことです。
興味のある方は「土楼」、「円楼」、「承啓楼」などの語句で検索してみてください。円楼は見る角度によってはこの画像にそっくりですよ。客家土楼については
『客家円楼』(旅行人ウルトラガイド 岡田健太郎氏著)が詳しく、世界でも珍しい土楼のガイドブックとして知られています。

近年、土楼は団体観光客が増えてきて観光地化しつつあると聞きますが、個人的におすすめの土地なので、観光で厦門(アモイ)、泉州、汕頭(スワトウ)などに行かれる方は是非足をのばしてみてください。簡単なご旅行相談にも応じます(笑)。




この角度はIMAXっぽい
特徴的な庇の形状が客家円楼らしさを感じさせる一因になっているように思います。この角度から見るとなるほど、IMAXシアターらしさがうかがえます。




品川とは色が異なります
品川のIMAXシアターのロゴは青色で、軽井沢は黄色です。サイトによってカラーが異なるのでしょうか? 個人的には品川の青色がIMAXのイメージに合っているような気がして好きですね。




ひっそりと佇む案内看板
表通りに面した側にIMAXシアターの案内看板が掲げられていますが可哀想なほど目立っていませんでした。




素敵なパン屋さんがありました
IMAXシアターの隣にあるプリンスパン工房には焼きたてのパンが豊富に揃っています。フードコートのいわゆる観光地価格とは違ってこのパン屋さんはリーズナブルな価格設定で、併設するカフェでゆっくりお茶をしながら楽しむことができます。
人気商品というカレーパンはサクサク感ある表面生地にしっかりとした風味のあるカレーが仕込まれており大変美味しかったですよ。
観光地だからといって手抜きを感じさせない商品に好感を持ちました。

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2007年4月25日 (水)

File.89 IMAXメモリアル 3

品川と軽井沢にあるIMAXシアターの閉館記事連載3回目です。前回の品川に引き続いて軽井沢をご紹介いたします。閉館と聞いて遠路をいそいそと出かけて行きました。
久しぶりの遠出だったので旅行記風に綴りたいと思います。



IMAXシアターメモリアル Vol.3
~メルシャン軽井沢IMAXシアター 1~




メルシャン軽井沢IMAXシアター周辺マップ
品川と同様に駅前の一等地に立地していて交通の便は申し分ありません。周囲は軽井沢プリンスホテルのリゾート地として開発され、多くの観光客で賑わっています。


メルシャン軽井沢IMAXシアター DATA
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢
開館日:2000年12月20日
総座席数:258席
スクリーンサイズ:16.275m×21.3m
最終上映作品:『ピカチュウの海底大冒険』、『ミステリーオブナイル』、『伝説のヴァイキング~果てしなき探求への旅~』




JR横川駅に到着
東京方面からは長野新幹線(北陸新幹線)を使うと手軽に出かけられる軽井沢、今回は各駅停車の旅です。東京から高崎線と信越本線の普通列車に揺られて、群馬県安中市の横川駅に到着しました。駅舎は以前に訪れたときと変わっておらず懐かしさを感じると同時に、前はなかった自動改札機が設置されているのが新鮮な印象。入口脇の花壇に心が和みます。
この日の東京は大雨でしたが、群馬県に入ると素晴らしい晴天に恵まれました。上州名物のから風もなく、高原性の気候と相まって気持ちの良い旅を満喫。




JR横川駅構内
急勾配の難所として知られる碓氷峠越えの拠点として知られた信越本線横川駅は、長野新幹線の開通によって横川~軽井沢の区間が廃止されて軽井沢駅と分断、信越本線群馬県側の末端の駅となりました。

新幹線開通前の信越本線は群馬県の高崎駅から新潟駅までを結んでいたのですが、今は高崎~横川、横川~軽井沢は廃線、軽井沢~篠ノ井(しなの鉄道)、篠ノ井~新潟と三つに分かれています。高崎から横川までは実質、独立した路線の様相を呈しているうえに群馬県内のみの区間なので信越本線の呼称は違和感もありますが今もなおこう呼ばれているようです。
横川駅に隣接して碓氷峠鉄道文化むらが整備され、家族連れや鉄道ファンで賑わっています。今も昔も鉄道ファンには馴染み深い駅なのでしょう。

横川駅といえばご存知、おぎのや峠の釜めし。長野新幹線開通前は機関車を増結しないと列車が碓氷峠を越えられなかったために増結作業で停車時間が長く取られていて、その間に乗客が釜めしを購入するのが風物詩となっていたのは有名ですね。現在はホームでの立ち売りもなくなり寂しさを感じます。今でも駅前のおぎのや本店と売店で釜めしを販売しており、この名駅弁を味わうことができます。




横川駅からバスに乗り換えて軽井沢へ
横川駅と軽井沢駅は隣駅同士でしたが、新幹線の開通によってこの区間は分断されたのでJRバス関東がバスによる代替輸送を行っています。群馬県の横川駅と長野県の軽井沢駅で県境を越えることから、人の流動が少なくて鉄道は廃止されたのでしょうか…?
路線バスは都道府県境を越えない路線が一般的と思うので、越県が目的のこの路線は珍しいように思います。
バス車内からは岩峰として知られる妙義山のパノラマを一望できます。右側の列に座ればその光景を存分に楽しめることでしょう。この日は利用客も多くて7割方の座席が埋まっていました。




IMAXシアターのある軽井沢に到着
鉄道とバスの旅を楽しみ、軽井沢に到着しました。軽井沢といえば全国にその名を知られるリゾート地なのに、IMAXシアターの知名度はサッパリだったのが何とも残念です。
新幹線の駅となり先代に比べとても立派な駅舎に様変わりしていました。広々とした近代的駅舎でコンコースの雰囲気は長野駅に似ているように思います。リゾート地らしい洒落た駅舎で素敵です。




軽井沢駅から見た軽井沢プリンスホテルスキー場
新幹線を使って都心から気軽に来られるスキー場として人気の高い軽井沢プリンスホテルスキー場です。標高差と規模の小ささは致し方ない半面で、浅間山を望む風景美やよく整備された箱庭感覚のコース、高い晴天率が多くのリピーターに支持されています。

2007年シーズンは稀にみる暖冬のために各地のスキー場は雪不足に悩まされたようで、軽井沢も例外ではありません。ここは元々降雪量が多い地域ではないので苦しい営業だっただろうと推測します。この写真を見ると人工降雪機でどうにかコースを維持している厳しい様子がよく分かりますね。
この冬、多くの西武系スキー場が営業譲渡および廃業しており、そのなかには北海道のニセコ東山スキー場など一流スキー場も含まれています。さすがに軽井沢は西武グループにとって大切なブランドイメージでしょうから存続すると思いますが、IMAXの閉館とともに消えゆくものへの侘しさを感じます。




軽井沢駅よりIMAXシアターを望む
画像中央のやや左奥手にある大きな屋根を持つ建物がメルシャン軽井沢IMAXシアターです。手前の長屋状の建物は飲食店街、さらに左奥はショッピングモールもあって様々な楽しみかたができるエリアが形成されています。



「IMAXシアターの画像がないぞ」とお叱りの声が聞こえてきます(笑)。
それは次回のお楽しみということで…Vol.4へと続きます。

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2007年4月16日 (月)

File.88 IMAXメモリアル 2

前回に引き続いてIMAXシアターの閉館特集です。前回は外観とロビーの様子でしたので今回は場内に入ってみましょう。


IMAXシアターメモリアル Vol.2
~メルシャン品川IMAXシアター 2~



ドカーン!と巨大なスクリーン、これがIMAX!

22m×16m…。
数値では分かっていても実際に眼前にするとその巨大さに圧倒されてしまうこと間違いなしのスクリーンサイズ。35mm映画館では
日本最大のスクリーンサイズを持つユナイテッド・シネマ豊洲10番スクリーン(9.29m×22.6m)と横幅はほぼ同じでも、縦(高さ)が圧倒的に違います。以前にご紹介した新宿ピカデリー4のなんと約133倍もの大きさがあるんですよ。オフィスビルの4~6階分ほどの高さを持つスクリーン全体が映像で満たされる迫力はまさにthink big!!
ちなみに大阪のサントリーIMAXのスクリーンはさらに大きいで
す。






映像との一体感を実現する視野限界のスクリーン
最上段の客席列から見た視界がこれです。この画像の撮影には24mm広角レンズ(ライカ判換算)を用いていますが、座席を画角に含めるとスクリーンの全てを写すことはできないほどのスケールです。中央から前よりの列に座ると視界は完全に映像で埋め尽くされ、頭上から降ってくるような錯覚すら味わえます。

IMAXにおけるベストポジションは一般的にスクリーンと映写室壁面の中間よりも後ろ側と言われますが、最前列付近を好む方も多いと聞きます。IMAXの精細な画像は最前列でも鑑賞に耐えるうえに現実世界では味わえない映像感覚なので意外に楽しいのです。
当サイト管理人も最前列にチャレンジしたことがありますが眼前一杯に拡がる映像の巨大さ、情報量の多さに大脳が順応できなかったのか頭がパニックになったことを憶えています(笑)。長編作品は止めておいたほうが良いかもしれません…。





場内は急角度
高さが16mもあるスクリーンを使っているので客席は極端なスタジアム形式です。よってご覧の通り階段も非常に急で、1座席の段差間に階段が3段あります。手すりの角度もきついですね。この階段なら池田屋階段落ちも可能!?





映写室の壁面は緩やかなカーブ
映画館の多くは映写室側の後部壁面はフラットになっているものですが、メルシャン品川IMAXシアターは弧を描いた形状になっていて、ちょうど客席のカーブと同じ形状なのが分かります。壁面は濃灰色の化粧布で覆われてグラスウール吸音材が用いられています。濃灰色なのは画面への乱反射を防ぐためです。IMAXシアター場内の縦横方向の形状を考えれば吸音調整を含めて音響設計はさぞ難しいのではないかと推測します。
中央上部に映写窓が三つ、奥のはしごの上側に巨大なサラウンドスピーカーが見えています。





客席よりも下の位置までスクリーンがあります
場内を横から見るとこのようになります。画面と客席の位置関係が分かりやすいと思います。スクリーンは客席最前列よりも下側から立ち上がっているので観客は足元から映像を体感できることが臨場感の向上につながっています。通常の映画館ではスクリーンは最前列床面よりも高いところに設置されるため、このような設計はIMAX特有のものですね。特に最近の映画館にはスクリーンの設置位置が高いところも多く、観客と画面との一体感に欠ける設計例も少なくありません。

スクリーンを見てみると緑色の誘導灯の照り返しがあります。このようにスクリーンは周囲の光線にデリケートなため場内は暗い色で統一されているのです。この誘導灯は映像品質に悪影響があるので上映中は消灯されます。
それにしても客席が本当に急角度ですね。





シアター内の全景
高い天井と急な段差、絶壁のような壁面構造。IMAXシアターらしい場内です。足腰が弱い方は席に着くまでが一苦労かもしれません。これは閉館の数日前の様子ですが場内は空席が目立っていました。
開館からわずか5年足らずの2007年3月31日を最後にメルシャン品川IMAXシアターは閉館しました。東京IMAXシアターなき後に、東京唯一のIMAXシアターとしてオープンしたものの力及ばず閉館となってしまいました。今後また東京にIMAXシアターが建設されるかどうかは厳しい局面と思われます。

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2007年4月12日 (木)

File.87 IMAXメモリアル 1

2007年3月31日、日本から二つのアイマックスシアターが姿を消しました。メルシャン品川IMAXシアターメルシャン軽井沢IMAXシアターです。

IMAXと言ってもあまり知られていないかもしれませんね。IMAXとは通常の映画フィルム(35mm、4パーフォレーション)の約10倍ものサイズ(70mm、15パーフォレーション)のフィルムを用いた撮影・上映システムのことで技術開発元はカナダのIMAX社。

撮影用フィルムは記録面積大きいほど情報量が増します。つまり8mmより16mm、16mmよりも35mmが高画質ということで、IMAXはその比類なき記録面積により35mmフィルム上映に比べても圧倒的な解像度と立体感を持つ映写が可能となっています。
スクリーンサイズも高さ15m×横20mを越えるものが使用され文字通りIMAX(Image Maximum)と呼ぶに相応しい贅沢な映像システムとなっています。

日本においては1970年の日本万国博覧会(大阪万博)で初披露されて以来、日本各地にIMAX技術を用いた上映館が建設されました。しかし2001年に日本を代表するIMAXシアターだった東京IMAXシアター(東京都新宿区)が閉館、その後も富士通ドームシアター(千葉市美浜区)や穂高IMAXシアター(旧長野県穂高町、現安曇野市)などが相次いで閉館しました。
映写機材の特殊性から封切映画の上映が極端に少ないことと宣伝不足による知名度の低さもあって残念ながら
大型映像上映館は日本では今もなお馴染みが薄いのが現状です。科学館や生涯施設を除いた常設IMAXシアターは、大阪市港区のサントリーミュージアム天保山IMAXシアターを残すのみとなりました。

IMAXについての技術的背景への言及はまたの機会にして、今回は先日閉館したメルシャン品川IMAXシアターを偲びたいと思います。品川の閉館により首都東京から完全にIMAXの灯が消えたことになり残念な限りです。


IMAXシアターメモリアル Vol.1
~メルシャン品川IMAXシアター 1~



メルシャン品川IMAXシアター周辺マップ
品川プリンスホテルのほぼ中央部に位置し、品川駅前の立地で交通至便。IMAXシアターに隣接して全10スクリーンの品川プリンスシネマ(35mm上映館)が営業しています。
なお、品川プリンスホテルは立地こそ品川駅前ですが所在地は港区高輪です。地図を見れば分かりますが品川駅自体が港区にあるんですね。京浜急行の北品川駅は品川駅より南側にありながら「北品川」でこちらは品川区です。鉄道マニアには有名ですが知らないと何ともややこしい!?



Google Earthで見たらこんな感じ
中央の円形低層建築の6~7階にIMAXシアターがあります。それにしても品川プリンスホテルは規模が大きいですね。画像周辺がぼけて見えるのはGoogle Earthの無料提供版だからです。ご容赦ください。
(経緯度:35°37'40.59 139°44'10.88)


メルシャン品川IMAXシアター DATA
所在地:東京都港区高輪4-10-30
開館日:2002年4月24日
総座席数:271席
スクリーンサイズ:16m×22m
最終上映作品:『ブルーオアシス2・DEEP SEA』、『T-REX ショートバージョン』



品川駅前から見た品川プリンスホテル
近年の再開発によってプリンスホテルは一挙に高層化されました。中央のひときわ大きい建物がメインタワー(39階建て143m)、右奥がアネックスタワー(32階建て108m)。京浜急行品川駅舎の右横に写っているのがイーストタワーで旧本館にあたり、元は修学旅行生用に建設されました。品プリといえばこの建物を思い浮かべる人も多いでしょう。客室総数3,680を数えるこの巨大ホテルの中央部にIMAXシアターがあります。




メルシャン品川IMAXシアター外観
Google Earthの画像と比較してみると位置関係が分かりやすいと思います。正面のガラス張りの建物にはIMAXシアターの他にスーベニールショップやフードコートが入居しています。奥手の高層建築がメインタワー、画像には写っていませんが左手にイーストタワーがあります。



目立たないけれどIMAXのロゴが
よく見ると上層部にネオン看板が掲げられています。周りに派手めな色彩が多いので目立っていないですね。実にIMAXらしいというか…。



メインタワーとのツーショット
あいにくの曇空のうえの夕方だったので空は美しくありませんが、この2つの建築の対比はなかなか素敵です。



大きなIMAXの広告
品川プリンスシネマの脇にあるIMAXシアターへの通路には、こんな広告が掲げられていました。これはIMAXに興味がない人には訴求力のない広告かもしれません。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの初期のTVCFもそうでしたが欧米のビジュアルイメージをそのまま日本で使っても違和感が先行してあまり宣伝効果がないように思います。
2D(平面映像)、3D(立体映像)問わずIMAXは高度で素晴らしい映像技術なのでそれをもっと押し出してほしかったと今になって思います。IMAXで見る『マトリックス』(キアヌ・リーブス主演のあのマトリックスです)とかは本当に凄かったですから…。もうすぐ『スパイダーマン3』のIMAX版も世界公開される矢先の閉館で残念です。広告の色褪せ具合が寂しさを醸しだしているようです。



メインロビーの様子
ホテルの一角だけあって、非常に清潔感のあるロビーになっています。床もピカピカですね。左手にショップとチケットボックス、中央がスポンサーであるメルシャンのディスプレイ、右手が劇場入口です。
閉館が決定した後も動員数は芳しくなかったようで、入替時間には10名ほどのお客様が場内から退出してきました。



Simax7
チケットボックス全景
オープンカウンターのシンプルなチケット売場です。白色基調でまとめられていて、さりげなくポスターを飾るなどセンスの良さを感じます。奥に神札が置かれているのが印象的。



Simax8
上映作品の案内板
メルシャン品川IMAXシアターの最後を飾った『DEEP SEA』と『T-REX』のポスターがロビーに掲げられています。両作品とも3D映画で特殊偏光眼鏡を使用して立体映像を実現しています。ユニバーサル・スタジオの「ターミネーター2:3-D」と似ていますが、IMAX映写による巨大スクリーンの迫力にはさすがと感じさせられます。
とくに『DEEP SEA』は海中生物たちを丹念に追った良質のドキュメンタリーで、IMAXの途方もない情報量とスクリーンサイズのおかげでさながらスキューバダイビングをしているかのような臨場感が味わえます。
右のポスターはIMAXのキャッチコピー
「think big.」を謳っています。



Simax9
気品ある劇場エントランス
ゲートをくぐるともぎり台、その奥はガラス張りの明るいフロアとコンセッションが用意されています。映画館というよりも、さながらエアポートラウンジのような高級感があります。IMAXシアターだと気づかずに、品川プリンスシネマと間違ってこちらに来てしまうお客様も多いみたいですね。こんな気品ある贅沢な映画館はなかなかありません。



Simax10
燦然と輝くIMAXロゴ
エントランス上部に輝くIMAXのロゴマーク。サイバーな青色とメタリックな質感がIMAXにとてもマッチしていますね。メルシャンがスポンサーなので脇にはしっかりとメルシャンロゴも設置されています。
IMAXのレタリングはシャープさが際立っていて、個人的にはTHXと同じく見るとわくわくするロゴです(笑)。

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2007年4月 8日 (日)

File.86 権限委譲

これまで映画館のお仕事について何度か記事を掲載してきました。映画館の仕事内容(現場)について詳しくお知りになりたい方も多いようなので、今回も仕事に関連した内容をご紹介したいと思います。

映画館の業務は営利活動でありサービス業です。よくマスコミや映像制作業と混同されるのですが、映画館はお客様から金銭をいただいて映画と鑑賞環境を提供する商いであって、業種で分けるならサービス業の性格が最も強い仕事だと思います。
そのため華やかなマスコミのイメージを抱いて入社すると、イメージとのギャップに驚かれる方もいるようですね。もちろん、映画館での業務が映像関連企業との人脈作りに役立つこともありますし、舞台挨拶やイベントが多い映画館(大都市圏に集中してしまいますが)だと意外なつながりができることもあります。

映画館で正社員として働く方法は、多くの企業と同じように新卒採用や中途採用を通過するほか、アルバイトから契約社員を経て正社員を目指す道もあります。これら社員登用については日を改めて詳述したいと思います。

このように映画館では正社員、契約社員、アルバイトの主に3種の雇用形態によって成り立っていて、前者ほど全従業員数に占める人員割合は少なくなり、営業を前線で支えているのは多勢のアルバイトということになります。映画館に訪れたお客様と接する劇場係員のほとんどがアルバイトといっても過言ではありません。

普段は現場にいない正社員や契約社員は主にオフィスで事務・雑務を行っています。繁忙期で現場が大混乱に陥りそうなときはオフィスに最低限の人員を残してアルバイトの補助に向かうこともしばしばです。社員はオフィスでデスクに向かって仕事をしていれば良いわけではないのですね。
このことはアルバイトがいちばんよく見ているので、混雑時にも手助けを渋っているような社員はアルバイトスタッフ間ではすこぶる評判が悪くなるようです(笑)。

サービス業の映画館、しかも繁忙期ともなると増えてくるのがお客様からの意見・要望、指摘です。これをクレームと言うといわゆる「ゴネる」イメージを思い浮かべてしまうことがあるのでお客様からのご意見として取り扱うのが良いでしょう。
ご意見は運営における大切な経営資源のひとつなので軽視することはできません。
自分たちの劇場に足を運んでくださったお客様がわざわざご意見を出すまでに至った経緯と原因を受け止め、開発的に対処していく必要があります。ご意見の100%を運営にフィードバックすることはできませんが、分析をして劇場の問題点を洗い出していくのは大切な作業となります。

前述したように現場のスタッフのほとんどがアルバイトということは、電話を除けばお客様から直接ご意見を頂くのもアルバイトに他なりません。ご意見の内容は実に様々で「場内が寒い(暑い)」といった空調管理の不備、「映像がぶれていた、音がおかしい」など映写不備についてのご意見が特に多いようですね。

このようにご意見をいただいたときに現場のスタッフがお客様への対応を判断するのか、オフィスの社員に委ねるのかは大きなポイントとなり、基本としてはご意見を頂戴したときは契約社員以上の人間が対応することになります。ある程度の地位・役職の者が対応することはお客様に対しての礼儀であり、どのような業種でもこれは当てはまります。

劇場や会社によって様々ですが、ご意見に対してアルバイトにある程度までの対応判断を任せているところもあります。これはよりスピーディーに対応するとともに他セクションへの負担を緩和するためのシステムなのです。ご意見対応のために逐一社員が向かうということはお客様にそれだけ待ち時間を強いることになり好ましくありません。

ご意見⇒アルバイトが対応⇒社員に報告⇒社員が現場へ⇒社員が再びご意見を伺う⇒対応をとる

社員対応だとこれだけの手順が必要になりますね。ふたつめの「アルバイトが対応」の時点で権限を委譲しておけばお客様の待ち時間や労力を緩和させることができます。ここで判断がつかないような事案があった場合は社員に報告すればいいのです。

管理人もいくつかの映画館でお客様からご意見を受けているスタッフの姿を見たことがありますが、(管理人が思うに)現場が判断できそうなご意見に対しても社員を呼び寄せることでお客様の怒りを増大させてしまっている事例を何度も見たことがあります。とくにお怒りのご意見のときはお待たせすることと、同じことを繰り返し言わされる(または相手が言う)ことは逆効果で、さらにお客様の不満を大きくしてしまいます。また社員が接客中や電話応対で手を離せない状態だと延々とお待たせることに…。
現場判断できそうな事案の場合には社員を呼ばずにアルバイトリーダー等がその場で判断し、接客することで収束することがほとんどです。この場合は確実に判断応対ができる事案に限られ、内容については社員に報告することが必須となります。

またご意見を頂戴したアルバイトと駆けつけた社員が対応することでスタッフ2名が拘束されることになるので繁忙期には労働力の大きな痛手となって他のセクションへの負担が増してしまい、引いては来場者全体への待ち時間増大につながります。
アルバイトで対応できる範囲をあらかじめ決めておくことで、お客様にとっても会社にとっても有意義になるのです。お客様の立場に立つが原則ということです。もちろんアルバイトでは判断のつかない例も数多くあるので、そのような場合は積極的に上司の判断を仰ぐことが大切です。

このようなスムーズな接客を実現するためには社員とアルバイトが信頼しあってなければいけません。つまりは職場の信頼関係と和がなければ行えないことなのです。社員がアルバイトを信頼していなければ権限委譲はできませんし、アルバイトが社員と好意的な関係でなければ報告するのをためらうこともあるかもしれません。常日頃から職場を和やかに保つ努力も社員にとっては大切な仕事の一つと言えますね。
ご意見対応には各方面各業種に様々なノウハウがあると言います。映画館以外の職業の対応例を参考にすることで、お客様に還元できることが増えるように思います。

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2007年3月18日 (日)

File.85 アルバイト採用シーズン

桜の開花を控え、季節は春となりました。この冬は観測史上過去最高の暖冬とのことでスノーリゾート地では雪不足に悩む半面、実に暖かく過ごしやすい季節でしたね。春といえば入学・卒業シーズンです。4月から新たな道に進む方も大勢いらっしゃることでしょう。進学された方は新天地でのアルバイト先をいろいろ模索しているかもしれませんね。

今日は季節がらに合わせて映画館の採用シーズンについてお話ししたいと思います。

まずはスタッフの構成についてですが映画館で働くスタッフの大多数を占めるのはアルバイトスタッフです。年齢層は様々ですが18~35才くらいが中心で、20代中頃までは学生が占めていて日々勉学やサークル活動などと両立しながらの忙しい生活を送っている方が多いですね。

進学や異動が多くなるこの季節に映画館では大量募集をかけます。それまで働いていたスタッフが卒業や就職で退職していくために新たなスタッフが必要で、逆を言えば映画館でアルバイトを希望する人にとって春は最大のチャンスシーズンでもあるのです。

基本的に映画館では他のサービス業と同じく営業に支障が出る欠員が生じた場合は随時採用を行いますが、それとは別に春夏秋冬の年4回くらい定期的に募集を行うケースが多くみられます。
そのうち最大の募集シーズンは3~4月で、春休み興行とゴールデン・ウィーク(大型連休)に備えるために十分な人員確保を行います。続いては夏休み興行を意識した7月頃の夏季採用、この時期になると春採用のスタッフのなかから欠員が生じていることもあり比較的多数の募集を行います。
夏季採用は就業直後からハードな勤務となるため即戦力となりうる人や、短期限定での採用など制限が設けられることがあります。

春夏の大量採用の時期は同期の仲間も多くいるので、オフの日でもおたがいに交遊できる友人が作りやすいのでおすすめです。働きやすい職場環境はもちろんですが、人間関係でストレスを感じないこと、気の合う仲間がいることは楽しく働くためには重要なことだと思うので応募する際は大量採用シーズンをおすすめします。なんといってもスタートラインがみんな同じなので安心感がありますよ。

募集は映画館内の掲示やホームページ、アルバイト情報誌などで見つけることができます。募集が見つからなくても電話で問い合わせてみると考慮される場合もあるので興味がある方はあきらめないほうが良いでしょう。むしろその積極性が評価されることもあるのです。ただし映画館が忙しい時間帯の電話は逆効果なので、上映スケジュールを見て時間帯を選ぶなどの配慮はほしいところです。

春・夏採用で入社すると長期休暇の繁忙期をいきなり迎えます。仕事に慣れないうちに大混雑の勤務になったりするとかなり大変なので、最初の数日は平日勤務を希望したり、徐々に慣れていったほうが良いかもしれません。繁忙期ゆえに鍛えられるので春休みが終わる頃には一人立ちできているはずです。最初は大変だと思いますが、忙しければ忙しいほど後々ラクですね。

映写スタッフは基本的にスタッフ間のセクション異動によって賄いますが、この時期は新規に募集をかけることも多くあります。他のセクションと違って技術職の側面があり、経験がものを言う仕事なので一人立ちするまで研修が行われます。
何時であってもミスは無いことにこしたことはありませんが、春夏の長期休暇繁忙期に映写事故を起こすと興行会社側にとっては特に大変なことになってしまいます。映写業務に関しては焦らず急がず順を追って慣れていくしかありません。拘束時間が長いので、勤務時間を多めに取れる方が優遇されます。

映像業界に就職希望の方が映画館でアルバイトをされているのも多く見受けられます。映画館の仕事はサービス業なので映像の知識を直接的に学ぶことはできませんが、自館で上映している映画をくまなく鑑賞することで作品から学ぶことはできます。また映写の仕事をすれば映画館の最前線がどのように映画を上映をしているのか、映写機の構造や上映機器システム、画面のサイズ比と映写サイズの関係など将来的に仕事とは直結しないような知識でも意外なところで役に立つことがあるかもしれません。
貪欲に知ろうとするほど映写の仕事は映像作りに間接的に役立つ様々な知識が得られると同時に、さらなる映写品質(よりよい映像と音響)を模索するきっかけにはずです。映写スタッフにとって品質の向上が大切なのは言うまでもありませんね。


今後、映画館で勤務を希望している方に申し上げます。
これまでの掲載記事でも触れてきましたが
映画館スタッフの仕事とは、制作者が作り上げた映画作品をお客様に満足していただける鑑賞環境と上映品質でご提供することです。そのためには映写はもちろんですが各セクションのスタッフが連動してお客様をお迎えすることが大切です。自分がお客となって映画館に訪れた際に「こうだったらいいな」ということを思い描いて勤務することが大事なのです。

チケットを売ったりもぎったり、ポップコーンを作ったり映画を上映することは少し覚えれば誰でもできる作業で、あくまで基本業務です。これだけではお客様にご満足頂くのは難しいのです。「どうすれば喜んでいただけるか」難しいことですがこれは常に念頭において頂きたいと思います。
そのうえで興味のある方はぜひ映画館で働いてみてください!辛いこともあると思いますが映画に囲まれ映画を観に来るお客様や職場仲間と助け合いながら勤務することで得るものは多いと思います。劇場に対してはもちろん、映画作品の評価はスタッフ一人一人の努力にかかっているということを忘れずに楽しく勤務してもらえたら嬉しく思います。

一人でも多くのスタッフが一人でも多くのお客様のご満足のために模索し努力をする。映画館勤務者にとって大事なことだと管理人は考えています。大量採用の時期をむかえこれから映画館に応募しようと思っている方にはぜひ、バイトだからと安易に思わずにこだわりを持ってお仕事をしてもらいたいと願います。
映画館は映画好きにとってはたまらなく楽しい職場です。映画はもちろん映画館が好きな方、映画館で働こう!

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2007年2月28日 (水)

File.84 フィルムと検査機

先日興味深いニュースを目にしました。

「LOST」撮影フィルムが、空港の手荷物検査機で消去される!
人気ドラマ「LOST」の撮影済みフィルムが、空港のX線検査装置で消去されるというアクシデントが発生した。事件が起きたのは「LOST」のロケが行われているハワイのホノルル空港。フィルムの缶には、X線検査装置に通さないようにとの注意書きが貼られていたのにも関わらず、係員が機械に通してしまったため、すべての収録映像が台無しになったという。消去されてしまった場面を撮り直すためには、30万ドル(約3600万円)の経費がかかるようだ。
2月20日21時33分配信 eiga.com

何とも不運な事故です。未現像フィルムを移送する際にはX線検査機に対して十分な注意と配慮が必要なのですが、それが何らかの理由で機能していなかったようですね。

今回はこのニュースに関連して、撮影フィルムと検査機との関係についてご紹介いたします。

映画の撮影媒体の大部分には映画用35mmフィルムが使われています。ご存知のようにフィルムは感光材が光を受けることで化学変化(感光反応)を起こす性質を利用しており、撮影時にキャメラレンズを通してフィルム感材面に当てられた光線によって像が形成されています。
フィルムは照明光や太陽光はもちろんのこと、放射線にも感光します。一例としてはチェルノブイリ原発事故直後に撮影されたニュースフィルムに大量の白いノイズが映し出されるのですが、これは原子炉から大気中に放出された放射線物質によってフィルム全体が感光していることを如実に表しています。

そのため放射線を利用する荷物検査機へ不用意に未現像フィルムを通すと同様に感光してしまう危険があり、感光すれば被害の程度にもよりますがカブリと呼ばれる濁りや縞模様が写って使い物にならなくなってしまいます。

・検査機について

空港の荷物検査機は主に2つの種別に分けられ、機内預け(受託)荷物用検査機と手荷物用検査機がありますが特に注意を要するのが機内預け荷物用検査機です。手荷物検査機は基本的にはフィルムセーフで運用されています。

現在フィルムにとって脅威となるのがこの数年の間に世界の主要空港に導入されている通称「InVision」と呼ばれる検査機です。主に機内預け荷物検査機として運用されており、特徴として危険物の被疑ある物品があったときに自動的にビーム出力を上げて探知する機能を備えています。この高出力(幅1cm/出力100-300 mR)は従来型検査機の数百倍にも達するX線エネルギーとなってフィルム画像を破壊してしまいます。


InVision検査機 CTX 2500

皮肉にも航空の安全を確保するために開発された機能がフィルムにとっては致命的なものとなりました。探査方法にも特徴があり、分かりやすく例えるなら従来型の検査機は被写体を平面状に捉える医療用レントゲン写真で、InVisionは立体的なCTスキャンのような構造になっています。

このInVisonに撮影用フィルムを通した際の感光率は100%と言われており、撮影者にとって最も注意を要する検査機器のひとつです。奇しくも映画フィルムが収められた金属缶や写真用35mmフィルムの金属ケース(パトローネ)はInVisionの出力を上げさせるだけのガード力があるため、容赦なく強力なX線を照射されてしまう原因となっています。
以前から撮影者の間では「フィルムは機内預け荷物にはしない」が常識となっていましたがInVisionの登場でこれは疑う余地がありません。InVisionは撮影者にとってまさに悪魔のような恐るべき存在なのです。

今回『LOST』のフィルムをLOSTさせてしまったのはほぼ間違いなくInVision検査機。ホノルル空港では実際にInVisionが運用されているからです。恐らくは別検査となるはずだった撮影済フィルムを係員が誤ってInVisionに流してしまったのでしょうね。
なお記事には「消去」とありますがInVisionにフィルムを通しても完全に画像が消滅してしまうことはありません。つまりは使い物にならないほど被曝感光してしまったということでしょう。なじみの薄い「感光」よりも分かりやすさを重視して「消去」の表現を用いたと推測しますがいささか誤解を招く恐れがあるように感じます。

現在InVisionは米国内主要空港と世界の主要空港を中心に50ヶ所以上で稼動しているといわれ、実際にどこの空港で運用されているかは保安上の観点から公表されていません。ホノルル(HNL)、ロサンゼルス(LAX)、ニューヨーク(JFK)等の他、国内空港では関西国際空港国際線ターミナルと成田空港第1旅客ターミナル南ウイング(国内線・国際線)・第2旅客ターミナル国内線で運用されているようです。将来的には手荷物検査機にも導入されると言われているので、撮影者は空港利用前に事前調査・準備をしておくことが大切ですね。

ひとつの目安としては荷物預けカウンターの手前に検査機がある場合は多くが従来型で比較的安全、無い場合(コンベアの奥で利用客から見えないところにあるタイプで、インラインインスペクションと言います)は危険。また検査機の概観が医療用CTスキャナのようなものは危険です。素人目には確実な識別ができないので運用係員に尋ねるのが良いでしょう。安全なものには「FILM SAFE」との表示があるはずです。

・検査機への対策

では撮影者はどのように自衛したら良いのでしょうか。写真などがお好きでフィルムを航空機や国際航路に持ち込むことがある方の参考になれば幸いです。
抜本的な対策は以下の通りです。

 ・未現像フィルムは検査機に通さない(航空会社や運送会社に預けない)。
 ・空港では手検査を。
 ・空港利用前に滞在先のラボで現像処理をする(現地でフィルムを購入)。

検査機からフィルムを保護する最善の方法はいかなる場合も荷物検査機にフィルムは流さないこと、これに尽きます。しかしながら現在の世界情勢を鑑みれば必ずしも要求が通るとは限りませんし、海外の空港ともなれば外国語で意思表示することにためらうこともあるかと思います。

ちなみに米国では米国連邦航空局(FAA)規則によって旅客が感光性製品の非X線検査を要求できる権利を認めています。撮影者の財産と権利を保障する点で評価できると思います。

108.17(e)
No certificate holder may use an X-ray system to inspect carry-on or checked articles unless a sign is posted in a conspicuous place at the screening station and on the X-ray system which notifies passengers that such items are being inspected by an X-ray and advises them to remove all X-ray, scientific, and high-speed film from carry-on and checked articles before inspection. This sign shall also advise passengers that they may request that an inspection be made of their photographic equipment and film packages without exposure to an X-ray system. If the X-ray system exposes any carry-on or checked articles to more than 1 mill roentgen during the inspection, the certificate holder shall post a sign which advises passengers to remove film of all kinds from their articles before inspection. If requested by passengers, their photographic equipment and film packages shall be inspected without exposure to an X-ray system.

FAA規則108.17(第108部--航空機運用者の安全性)(e)
認可保持者は、検査所およびX線検査システムの目立つ位 置に、機内持ち込み荷物または預託荷物がX線によって検査されることを旅客に告知すると共に、検査前にX線フィルム、科学用フィルム、および高感度フィルムを機内持ち込み荷物や預託荷物から取り出すように旅客に助言する標識を掲示しない限り、X線を使用して機内持ち込み荷物または預託荷物を検査することはできない。この標識はまた、旅客がその写 真機器やフィルムパッケージの検査を、X線検査システムを通 さずに行なうように要求できることをも、旅客に助言するものとする。X線検査システムが機内持ち込み荷物または預託荷物に1ミリレントゲンを超える量 を照射する場合、認可保持者は、すべての種類のフィルムを検査の前に荷物から取り出すように、旅客に助言する標識を掲示するものとする。旅客から要求された場合、旅客の写真機器やフィルムパッケージは、X線検査システムを通すことなく検査されるものとする。
 

まず基本的対策としてはフィルムは手荷物とすることです。手荷物検査機では通常ISO400までは安全とされており、国内空港ではISO1600までの安全が保証されています。なおこの安全基準はあくまでガイドラインであり、検査機の運用は空港のセキュリティ状況によって日々変更されます。また検査機に幾度も流すことがある長期渡航や、増感現像処理を行うフィルムの場合はさらに注意を要します。最悪の事態を想定しあらかじめ露出過多で撮影し減感現像を行う荒技もあるようですがこれは本当に緊急手段で非現実的すぎますね。


手荷物検査場

運良く検査機の使用を拒否して認められれば手検査が行われます。これは文字通り係員が手にとって目視検査をする方法で、場合によっては硝煙検査が行われることもありますね。手検査は時間がかかるうえに係員への負担を強いるので時間に余裕を持って検査ゲートに向かうことが条件となります。
機材を手検査する場合はキャメラやレンズが問題なく動作するかチェックされます。イミテーションか本物かどうか調べるためなので、シャッターや絞りなどの基本動作を求められるのです。

・管理人の対策法

ここで参考として管理人が行っている検査機対策をご紹介します。
個人的な経験からのやり方ですのであくまでご参考までに…。

  1. 基本的にフィルムは検査機に通さない!
    しかし保安体制によっては聞き入れてもらえないので、検査機に通されることを前提として準備をしておきましょう。
  2. カメラやマガジンからはフィルムを抜いておく。少しでも係員の負担を減らすために感光問題のないフィルム以外の機材は検査機に通せるようにしておきます。
  3. フィルムは一目でそれと分かるように露光しない程度まで裸にしておき、透明なビニール袋やプラスチックケース、ネットなどに収めて係員にすぐフィルムと分かってもらえるように準備をします。管理人は軽くて丈夫な洗濯用ネットで代用しています。
  4. 絶対に預け荷物にはしない。最重要ポイントです。
  5. 検査ゲートには誰よりも早く向かう。手検査は時間がかかるうえに検査係員へ負担を強います。お願いする立場なのでその他のお客様や係員へ出来る限り迷惑をかけないことが大切。
  6. ゲートの前でフィルムを準備して出しておきます。余計な時間を取らないためと、係員には「フィルム手検査を要求する客が来た」とあらかじめ分かってもらうためです。
  7. 係員に手検査を要求。海外空港で英語に自信がない場合も大丈夫。
    「This is a film for cinematography(photography),Do not X-RAY.Hand inspection please.」程度で十分通じます。フィルム以外の機材や物品は率先して検査機にお願いすれば混雑時以外は承認されやすいです。
  8. 自身は素早く金属探知ゲートを通過し、邪魔にならない場所で待機。ここで不用意に警報が鳴らないように金属品は忘れずに身体から外しておきましょう。
  9. 手検査をしてもらったら必ず御礼の言葉と感謝の気持ちを伝える。

一目で分かるよう洗濯ネットに入れたフィルム缶。表面にはイーストマン・コダック社の「DO NOT X-RAY」ステッカーを貼付しX線に弱いフィルムであることアピール。係員にフィルムであることと、検査機検査を希望していないことを瞬時に分かってもらえることが大切。

今まではこれらの対策のおかげか派手に感光したことはありません。しかしながら従来機でも検査回数が多ければ少なからず影響はあるようでISO400の写真用フィルムがかすかにカブリを生じたことがあります。通常の使用では気づかない程度のカブリですが背景が淡色や単色のときはやはり目立つので注意が必要ですね。

注意すべき点として写真用品店で販売されているフィルム用X線防止袋は絶対に使ってはいけません。X線防止袋を使うと検査機は正体不明の物品と認識、InVisionでは最大出力を誘因して取り返しのつかないダメージを受ける元です。通常検査機でも出力を上げる要因になり最悪の場合は感光することがあるため、フィルムを保護しようとして使うとやぶ蛇になることも。また精密検査のためにバッグの開封を求められるなど良いことはほとんどなく係員の心証にも良くありません。
X線防止袋は普段のフィルム保存用に活用するのが一番です。あまり知られていませんがフィルムは光のない暗黒に保存していても宇宙からの自然放射線によって徐々に感光しています。X線防止袋はこの被曝を軽減することができるので長期保存用アイテムとして有効利用ができるのです。

検査の際は身なりも重要で、きちんとした身だしなみほど手検査を受け付けてもらいやすい傾向があります。聞いた話では上位クラスの搭乗券も効果があるとかないとか…。たしかに第一印象が係員に与える影響は大きいと思うので、長期旅行等の場合でも不審者と思われぬよう小奇麗な身だしなみを意識しておきたいものです。


フィルムを持って楽しいフライトを!

誤解を防ぐために追記すると、検査機による影響を受けるのは未現像フィルムのみで、現像処理後のフィルムは問題ありません。またデジタルカメラやビデオカメラの記録媒体に関しても感光物質ではないので問題はありません。ですがカメラなどの精密機器や貴重品を受託荷物とするのはリスクが大きいので、いずれにしても機内持ち込みすることをおすすめします。

今回のニュースは制作者、空港関係者双方共にプロの仕事としては信じられないような珍事でしたが、実際にこういうことがあるんだという具体例となったと思います。損害額30万ドルという規模の大きさにも驚かされました。ドラマの撮影にビデオではなくフィルムを使用していることに驚いた方もいらっしゃるかもしれませんね。

余談ですが最初にこの記事を書き上げた直後、トラブルで全て消去してしまいました…。本記事は当サイトとしては長文の記事なので消えた瞬間は茫然自失…。第一稿はもっと長かったのです。内容がアレなだけに笑うしかありませんでした。皆様もお気をつけください!?

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2007年2月21日 (水)

File.83 映画館設備マニア

前回のFile.82 映画館マニアに続いて、映画館マニア記事の第二弾です。

シネマコンプレックス(複合型映画館)によく出かける方はお気づきかと思いますが、近年の映画館における映写設備の向上はめざましいものがあります。大手シネコンを中心として作品の力を存分に引き出すための様々な設備・工夫が施されるようになり、映画館は単に映画を鑑賞するのではなく「体感」する施設へと変貌しつつあります(参照 File.61 東西最新シネコン)

同時に増加しているのが今回ご紹介する映画館設備マニア。彼らは映画館で映像や音響の性能を独自判断し、高性能で好みに合う映画館を探している人々で、そのなかで中心的存在となるのが音響マニア、映画館の音響に対して一家言を持つタイプです。

一般的に理解しがたい世界かもしれませんが、音響マニアと自認するほどの人になれば気分や作品に応じて映画館を使い分けるようになります。同じ作品でも映画館によって音や映像の再現能力が異なるために、自身の経験から作品にマッチするであろう映画館を独自に選出してわざわざそこに出かけて行くのです。彼らにとって映画を観ることと同時に「この作品をこの劇場で観る!」という強い動機が存在するんですね。

さらにのめりこめば映像と音を愉しむために同じ作品を複数の映画館で見比べに出かけることもあります。映画を楽しむと共に、同一作品を違う劇場で見比べて映画館の上映クオリティを判断するのです。同じ作品を違う劇場で見るということは比較対象を設けることとなり、劇場の性能や個性を明確にチェックする基準となります。違う劇場で見なければ音響の良し悪しが作品によるものなのか、劇場性能によるものなのか判別しにくいため客観的にチェックする良い方法と言えるでしょう。

ここまでお読みになって「信じられない!」という方も大勢いらっしゃると思います。しかし映画館ごとの音響性能は軽視できないほどの格差があることは事実で、音響制作者が満足に足る再生能力を持ちうる劇場は多くはなく、それらの劇場で鑑賞する作品は音声だけでも説得力を感じさせる力を持ち得ています。ハリウッド大作映画では音の制作にも多くの時間が割かれ、入念に音響が創り込まれているのを実感することができます。

映画館と一口に言っても設備水準や映写性能には大きな差異が存在していて、とくに現行のデジタル音響を効果的に再生するには音響学、映画音響学、建築音響、室内音響、電子工学などを踏まえた劇場設計が不可欠となっており、最新の映画館はこれらを踏まえた綿密な配慮がなされていますが、それでも劇場ごとの性能差は歴然と存在しています。つまり、最新のシネコンでも必ずしも完璧ではなく、逆に従来の映画館でも優れたサイトは存在するということです。

映画館設備マニアはそういった高品質な映画館をインターネットの口コミや劇場の設備内容から予測して出かけていきます。ディープな人だと音響と内容に期待をかけている作品であれば新幹線や航空機を使ってまで遠路の劇場に遠征していくことすらあるんですよ。
そんな遠征音響マニアを最も多く生み出したであろう映画はやはり『スター・ウォーズ』シリーズ。1977年の第一作から常に最新最高の映像音響技術を投入し続けたハイテク映画で、映画音響の新たな次元を切り拓いたTHXの生みの親としてもこれは疑う余地がありません。日本からアメリカの劇場まで遠征しに行ったファンの武勇伝を何度も耳にしたものです。

その一方で『スター・ウォーズ』の上映は映写係にとって非常にストレスのかかる作品でもありました。『スター・ウォーズ』は音響マニアでなくても熱狂的ファン層の厚みがあり、そのうえ音響に対しては特に厳しい音響マニアがウジャウジャ観に来るので(笑)、THX認定シアターともなれば絶対に映写事故は許されない状況に追い込まれていましたね。最終作のエピソード3は全国でデジタル上映設備に不具合が頻発し、悲劇的な状況に陥った映画館もあったようです。

お話しを戻します。

映画館設備マニアの多くは音響を重点的にチェックします。ホームシアターシステムの流行で家庭でもサラウンド音響(スピーカーを並べて音がグルッと自分の周囲を回ったりするやつです)が手軽に楽しめるようになったことから、家庭用機器から本物の映画館のサラウンド音場に興味を持った方も少なくないようです。また映画音響のデジタル録音による高音質化に伴い、ピュアオーディオから転向してくる人もいます。
しかし映像や映写技術に対してチェックを入れる人は少なく、映像よりも音響に興味がある方が多いようですね。映画館音響マニアに比べると映画館映像マニアは少数派と思われます。
映画は映像あってのものなので、もっと映像にも興味を持っていただきたいと思うこともしばしばです。

以前は音響再生方式(SRDやdtsなど)の違いがマニアの間では注目されていましたが現在はSRD(ドルビー・デジタル)での上映が主流のため、再生方式にこだわりを見せる人は少なくなりました。
むしろ最近乱立傾向にある、
映画館独自のオリジナル劇場規格に注目が集まっています。ルーカス・フィルムが確立したTHXを筆頭にそれにならって構築されているものがほとんどですが、各映画館が工夫を凝らして開発しマニアの心をくすぐっています。規格ごとに個性もあるので聴き比べる楽しみ、劇場選択の幅が拡がることでもこういった劇場規格は歓迎されていますね。劇場設計を重視して設備を前面にPRする興行会社も増えてきました。

こうして映画館マニアの間で評判の良い映画館が口コミで広がっていきます。音響マニアの方ならいくつかリストアップす